投稿日:2025年8月28日

ワークフロー設定で内部統制を守りつつ承認スピードを2倍にするnewji事例

はじめに:製造業界におけるワークフローと承認プロセスの課題

製造業の現場では、効率と品質が常に求められています。
しかし、いまだに「昭和的なアナログ管理」から抜け出せず、紙の書類やスタンプ文化がしぶとく根付いている工場も少なくありません。
こうした現場では、購買や支出の承認に何重ものチェックが必要となり、かえって意思決定や対応スピードが遅れることがあります。

現状維持バイアスにより、「今までこれで問題なかった」「うちはこれでやってきた」といった声が、DX推進の足をひっぱる例も多いです。
その一方で、サプライチェーンの複雑化やコンプライアンスの強化、人手不足の深刻化など、環境変化は待ったなしで押し寄せています。

こうした背景のもと、ワークフローの見直しと承認スピードの向上は極めて重要なテーマになっています。
実際、本記事のテーマである「ワークフロー設定で内部統制を守りつつ承認スピードを2倍にするnewji事例」を通して、製造業の現場にどんな変化が起きつつあるのか、現場ならではの視点で解説します。

newjiが直面した現場の課題と従来型ワークフローの弊害

紙と印鑑の“ムダ”が現場力を奪う

newjiでは、多品種少量生産へとシフトする中、材料や部品の調達の可否が生産計画や納期に直結していました。
従来、金額によって課長~部長~役員と“ハンコリレー”が続き、「部長が会議で不在だから2日後」「役員が出張中でさらに延びる」など、調達のたびに現場がイライラする事例が山積みでした。

これが急ぎの修理部品や海外との時差対応となると、さらに混迷します。
メール承認・電話確認…と「二重三重」の通過儀礼で工数がどんどん膨らみ、現場力がどんどん削がれていったのです。

無目的な“多段階承認”が招くコンプライアンスリスク

「内部統制」の名のもと、形式的に複数人の承認プロセスが導入されていましたが、実態は「前例踏襲」や「責任のなすり合い」の温床になりがちでした。
たとえば、“考える承認”ではなく“押印だけの承認”が常態化していたため、購買の値決めミスや二重発注、不正リスクの温床となっていた例も散見されました。

「ワークフローの名を借りた単なる事務的ストッパー」になっていしまうと、スピードも統制も両立しないのです。

ラテラルシンキングによる新しいワークフロー発想のきっかけ

目的軸で再設計する重要性

newjiでは、単なる「ワークフローのデジタル化」ではなく、「なぜその承認フローが必要なのか?」という原点に立ち返る視点が欠かせませんでした。

ここで活用したのがラテラルシンキングです。
「前任者からの引き継ぎをそのまま踏襲する」「全てに上長承認が必要」といった枠を外し、「リスクが大きいものだけ厳格に」「少額・定型発注は現場主導で自走」「プロセスの透明化と証跡管理を平行する」といった“目的軸”でフローを見直したのです。

「守り」と「攻め」を併せ持つアンチフラジャイル型へ

従来の“守り”一辺倒から、「ミスやトラブルに強く、かつ事業チャンスをモノにできる」アンチフラジャイル型のワークフロー設計を目指しました。

たとえば購買業務では、
・与信管理やコンプライアンスに関わる所だけ厳格承認
・定型リピートの部品は現場リーダー承認で即発注
・イレギュラー対応は自動アラートでリーダー陣に即座に通知
といった、「例外対応」と「標準対応」を分離し、意思決定のボトルネックを徹底的に排除しました。

これこそが、単なる承認スピードUP以上の“組織力強化”につながる分岐点でした。

newjiで構築した新しいワークフローの全貌

システム化・見える化で「証跡」と「速度」を両立

newjiでは、承認ワークフローを統合システムに集約し、全ての申請~承認の流れを一元化しました。
この際、誰が・いつ・何を・なぜ承認したか、全てが時系列ログ・コメントつきで残るため、監査対応や後追いチェックも万全です。
部門単位、金額単位で自動分岐するルール化により、“事務的な通過儀礼”が一掃されました。

加えて、モバイルアプリやメール通知との連携で、「現場監督や課長が現場にいても、その場で即承認」できる仕組みを徹底しました。

「自動化」できる領域の思い切りスリム化

判断基準が明確なリピート購買(消耗品・標準部品など)は、申請=自動通過フローへ移行。
これにより、毎月数百件あった「形式的承認」のムダを一気に削減しました。

一方で、「特殊材料の一時調達」「スペック変更が必要な部品」「新規サプライヤ発注」については、必ずコメント記入・添付ファイル要求を自動化。
これにより、リスクの高い案件だけを“見るべき人がしっかり見る”体制ができあがりました。

承認スピード2倍!newji現場に実際にもたらした変化

納期短縮とコスト低減のダブル効果

承認フローは、導入前は「最短で2日、平均1週間」という状況でした。
システム&ルール化で「最短1時間、平均2日」へ大幅短縮。
場当たり的な“急ぎ案件のお願い”が無くなり、現場⇔上長の信頼感も向上しました。

加えて、無駄な工程・チェックを削減したことで、「手戻り工数」「二重申請」の逸失コストも大幅削減されています。

パワーバランスが変わり、現場主体の組織へ

承認スピードが上がるだけでなく、現場担当者が待たされることなく、能動的にプロジェクト推進できる「自律性」が生まれました。
責任分界が明確になり、「現場で判断できること・できないこと」の線引きが全社で明文化されたことの価値は極めて大きいです。

新規サプライヤ開拓や、設備更新時の先行投資判断なども速くなり、「工場発」の現場改革やデジタル化推進が一気に進みました。

ワークフロー変革で生じた副次的効果と今後の展望

監査・内部統制面での信頼感が格段に向上

承認証跡がリアルタイムで見える化されたことで、外部監査・内部監査の負担が激減。
「○○さんがどんな根拠で承認したか」「後から振り返りやすい」といった効果が出ています。
不正抑止やコスト意識の醸成にもつながり、働く人たちからの評価も向上しています。

業界内DXの“成功体験”が社外ネットワークへ波及

同じサプライチェーン上の取引先や、他拠点工場へも、newjiで生まれたワークフロー事例が広まりつつあります。
また、バイヤー視点のノウハウ共有(例:「現場の声を拾い上げるワークフロー設計のコツ」)や、逆にサプライヤー側へ発注プロセスを明示することで、取引先との信頼関係も強化されています。

バイヤー・サプライヤー双方に考えてほしい3つのポイント

1.「なぜその承認が必要か?」を常に問い直す

形式的なハンコや承認ステップは、組織の惰性で増えていくものです。
その都度、「目的」「リスク」「価値」を見直し、得る効果よりムダの方が大きければ積極的に見直しましょう。

2. テクノロジーと現場知見の“2軸”を両立させる

「IT化さえすれば良い」と思い込むのは危険です。
現場の知恵や実情を踏まえ、システム設計や分岐条件を微調整し続けましょう。
現場・情報システム・管理部門が“対話”しながら進めることが、結局は一番の近道です。

3. サプライヤーも「発注側のプロセス」を知ることでWin-Winへ

サプライヤー側としても、取引先のバイヤーが「なぜこの承認を求めているのか」「どんなハレーションが起きているのか」を知ることで、先回りした提案や改善が可能です。
“現場目線”を持つことで、バイヤー・サプライヤー双方の信頼と生産性が向上します。

まとめ:アナログからの脱却と現場力の最大化が、未来のものづくりを強くする

製造業はいよいよデジタル化・自動化の第2ステージへ差し掛かっています。
かつては“内部統制”の名のもとに導入したワークフローが、今や現場力やスピードの妨げになっている側面も見逃せません。
本記事で紹介したnewjiのように、「守る」ための統制と「攻める」ためのスピードを共存させる新しいワークフロー設計は、まさにアナログからアジャイルへの大きな転換点です。

“間違いや不正を防ぐ”ために、現場の可能性や成長の芽を潰す…そんな時代はもう終わりを告げつつあります。
ワークフロー変革を通じて、もっと自由に、もっとスピーディに。
ものづくりの現場は、まだまだ自分たち自身で変えていく余地と可能性があるのです。

今こそバイヤー・サプライヤー双方が“現場発”の挑戦をしていく時です。
この潮流のなかで、一緒に「次の地平線」を切り開いていきましょう。

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