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投稿日:2025年6月7日

日本からイランの倉庫への梱包済み貨物輸送の国際フォワーダー選定方法

はじめに―国際輸送の「壁」と選定の重要性

海外市場へのビジネス拡大が加速する中、日本からイランの倉庫へと梱包済み貨物(完成品や部品)を届ける場面が年々増えています。

ですが、国際輸送は単なる「手配」だけではありません。

特にイランは政情や規制、物流インフラの整備状況、慣習・文化の違いなど、国内輸送や東アジア諸国への輸送とは雲泥の差があります。

ここで活躍するのが「国際フォワーダー(国際貨物利用運送事業者)」です。

では、単に“イラン向け実績あり”を謳う業者の中から、どのような視点で自社に最適なパートナーを選ぶべきなのでしょうか。

本記事では、メーカーの現場目線+調達・生産管理・品質管理それぞれの立場での悩みや、長年昭和型ビジネスが根付いてきた物流業界の現実もふまえ、ラテラルシンキング(本質から切り込む思考)で深掘りします。

イラン向け輸送の本当の難しさとリスク

1. 輸送ルートの不安定さ ― ロジスティクスが日々変化

日本からイランの倉庫まで貨物を運ぶとなると、一般的な海上輸送ルート(日本→中国・東南アジア→中東→イラン)が中心です。

しかし、地政学リスクや欧米の経済制裁、周辺国の情勢変化により、「昨日使えた航路や経由港が、明日には使えない」事例が珍しくありません。

また、イラン国内では、港湾から倉庫への内陸輸送も多種多様な事情が絡み、首都テヘランまでのトラック運送で遅延・保険事故が多発するケースも存在します。

2. 規制とドキュメント―予期せぬトラブルの温床

イランは貨物の内容や梱包・原産国表示、各種書類(インボイス、パッキングリスト、原産地証明など)に関して、日本や他国の基準とは異なる法規制や手順を運用しています。

ほんの些細な書類ミスや表示ミスでも、没収・遅延・罰金など厳しいペナルティにつながります。

さらに、金融制裁による支払い遅延リスク、「ダミー会社」を用いた不正輸送の横行など、現地ならではの商習慣も侮れません。

3. コミュニケーションの壁―言葉・文化以上の「距離」

実務レベルでも、ペルシャ語・英語はもちろん、現地担当者の文化的背景や意思決定プロセスの違いに苦しむ場面が頻繁に起こります。

また、現地でトラブルが起きた際に「報告が遅れる」「真実が伝わらない」「現地サプライヤーと連携できず、最悪の場合は連絡断絶」など、事前のリスク管理の甘さが大きな損失に直結します。

【現場目線】フォワーダー選定で絶対に押さえるべき5つのポイント

1. 「実運送」と「付加価値サービス」の実績

表面的な輸送実績だけではなく、「イラン側の通関手続き」「現地倉庫入庫代行」「現地側サプライヤー導入支援」までワンストップ対応できるかを必ず確認しましょう。

日本語・英語でのリアルタイム状況報告、現地語(ペルシャ語)での現地業者との調整力――こうした“コミュ力”はカタログやWEBサイトからは見えません。

過去のトラブル事例と対応内容、現地代理店との関係値、緊急時のBCP(事業継続計画)的な対応力などを具体的な事例で確認するのが現場目線です。

2. サプライチェーン全体の最適化提案ができるか

輸送=“荷物を運ぶだけ”というのは昭和の考え方です。

現代フォワーダーは、サプライヤー→倉庫→通関→工場着までの工程+調達・内部統制・品質保証まで視野を広げて総合提案できるかが差別化ポイントです。

たとえば、
– 複数ルートの提案(荷主のBCP観点でプランB、プランCを明示)
– 梱包形態や出荷頻度に応じた最適物流コスト提案
– パッキングや出荷書類の標準化支援
– ”国内→フォワーダー→現地対応”のワンチーム体制の構築

これらは調達購買や生産管理と連携した提案力なしに実現しません。

3. 情報開示とトラブル対応の透明性

国際物流で一番多いのは「予定日・出荷場所・通関進捗が読めない」ことによる計画遅延です。

最新のトレースシステム導入状況、上流~下流までの全情報共有体制、トラブル時のエスカレーション手順を契約前に明示してもらいましょう。

「うちの会社は昔から大丈夫」という精神論は昭和型業者の常套句です。

実際に“いざ”というとき、現場と現地をDXで繋いで自動的に情報が降りてくる…そうしたSaaS・クラウド連携に対応できる企業を優先しましょう。

4. コストの「見える化」と総合的メリット評価

目先の見積価格だけで業者選定すると、想定外コスト(荷下ろし費用、現地通関費、緊急時の追加料金)が後から膨らみがちです。

総コストを“ワンパッケージ”で出している業者か、追加料金発生条件を明確化しているかを確認すること。

加えて、「物流費の最適化」「トラブルによる事業損失リスクの低減」「発注から納品までのリードタイム短縮」など、非価格面のメリットを総合評価しましょう。

5. 各取引先(バイヤー/サプライヤー)目線の視点

バイヤーとしては、良質なサプライヤーとの取引継続性を重視します。

サプライヤー側も、自社製品の安全・確実な納品が守られなければリピート受注や長期契約に繋がりません。

現地事情に強い/輸出入の両サイドの課題を理解できる/異文化リレーションの実績ある、こうしたフォワーダーはバイヤー・サプライヤー双方から「信頼を借りられる」存在です。

物流の現場こそ、古い慣習や「この人なら…」で回ってきた業界ですが、そろそろ次世代型の協働関係構築が求められています。

アナログ思考が根強く残る物流業界の現実と進化

日本の物流現場、特に中小規模のフォワーダー・現地代理店の多くでは、「紙と電話と顔出し」がいまだに主流です。

DX化が進む大手企業と、実際の最前線での温度差は想像以上です。

イラン向け輸送では現地パートナー企業に“完全丸投げ”状態で、「日本側では正規の伝票を作っても、現地で手書きの書類に差し替わる」という事例が後を絶ちません。

しかし今、コロナ禍を経てメーカーサプライチェーンのグローバル化が途切れなく進み、「クラウドシステム連携」「トラブル情報の自動ノーティフィケーション」「パッキングリストの電子データ化」対応が勝敗を大きく分ける時代になりました。

昭和型からデジタル型へ。

業界に根強く残る家族経営・人海戦術至上主義から脱却し、次世代現場力とデジタルシフトを両立できるフォワーダーこそ、安心して任せられる企業と言えます。

ケーススタディ:失敗しないための「具体的選定手順」

1. 候補リストアップは現地実績+日本拠点で

従来は知人・取引相手の紹介が主流でしたが、今は“日・イラン双方で実務部隊がある業者”を優先的に選びます。

現地パートナーへの丸投げ型ではなく、日本本社で問い合わせ・指示・進捗管理が一本化できることを必ず確認しましょう。

大手国際フォワーダーでもイラン専門知識や独自ネットワークを持つ担当者がいない場合もあるため、「担当者指名可否」も重要な指標です。

2. 見積・提案段階での比較ポイント

単なる金額だけでなく、
– ルートごとのリードタイム・リスク評価
– 通関・入庫までの障害予見と回避策
– 追加料金や不可抗力時の補償有無
– 見積もり内容に含まれないコストの説明

これらを明確に比較しましょう。

また、書類例の提示や成功・失敗事例をヒアリングし、理路整然と答えられるかどうかも信用判断に直結します。

3. バイヤー・サプライヤーとの情報共有体制

発注側(バイヤー)および供給側(サプライヤー)は、フォワーダーの選定・切替えに不安を抱きがちです。

「どのタイミングで情報提供が必要か」「現地倉庫側がどこまで巻き込まれるか」「最終責任者は誰か」といった点を、実際の運用イメージを基に調整しておきましょう。

リレーション構築は一朝一夕にはできませんが、三者(バイヤー・サプライヤー・フォワーダー)が共通認識を持つことがトラブル回避への第一歩です。

まとめ―「相手任せ」は卒業し、新たな協働体制確立を

日本からイランへの国際貨物輸送は、複雑で変動の多い現場です。

フォワーダー選定は「ライバルとの差別化」「安定供給とリスク分散」のカギを握ります。

表面的な実績や価格だけではなく、サプライチェーン最適化提案、現地実務体制・DX対応力、透明な情報共有とトラブル対応力に着目しましょう。

バイヤー・サプライヤー視点で、“本当に価値あるパートナー”かを見極め、昭和型から未来志向の物流へ一歩踏み出すことが重要です。

複雑なイラン向け物流の現場を、戦略的なフォワーダー選定で成功への新たな地平線を拓きましょう。

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