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RPA導入でメール発注を完全自動化し担当者負荷を劇的削減した実践ステップ

目次
RPA導入でメール発注を完全自動化し担当者負荷を劇的削減した実践ステップ
はじめに:今も根強いアナログ管理の壁
製造業の現場では、令和の時代になっても「昭和的」なアナログ管理が根強く残っています。
多くの企業で調達・購買業務においてExcelや紙ベースの発注管理、そしてメールでの発注依頼が日常茶飯事です。
発注書の作成、関係部署への確認、サプライヤーへの個別メール送信といった作業を、担当者が地道に積み重ねているのが現実です。
このような環境下では、毎日数十件、時には百件以上のメール発注が発生し、担当者の業務負担が膨大になります。
手作業によるミスや情報の抜け漏れ、トラブル対応のための残業など非効率が蔓延しています。
しかし、デジタル化の波とともにRPA(Robotic Process Automation)の導入が注目されています。
本記事では、実際にRPAによるメール発注業務の完全自動化に成功し、劇的な業務負荷削減を実現した実践ステップを現場目線で解説します。
なぜメール発注自動化が製造現場に求められるのか
発注業務は、各部署の要望や生産計画に左右されるため、社内外の調整が絶えません。
従来はベテラン担当者の「経験」と「勘」に頼る部分が多く、属人化しやすい業務です。
ここで発生する問題点を洗い出しますと、以下の通りです。
・発注漏れや見落としによる納期遅延
・同じ内容のメールを複数回作成する非効率
・担当者が休むと業務が滞る属人化
・大量メール処理による精神的ストレスと残業
こうした問題は長年現場を悩ませてきましたが、RPAによる自動化により大幅な改善が期待できます。
RPA導入前に知っておきたいアナログ管理の実態
まず、現場をよく観察しますと、意外と多くの工場やオフィスで「メールを一件ずつ手打ちで送信」という運用が継続しています。
理由は「これまでのやり方が慣れている」「システム化するには費用がかかる」「営業先やサプライヤーが柔軟に対応できない」など、非効率でも現状維持を選択しがちな企業文化です。
加えて、日本の製造業ならではの「お取引先ごとに納品書スタイルが異なる」「発注書の定型はあるがフォーマットが微妙に違う」など、カスタマイズが求められる点で完全自動化は困難とされてきました。
RPAとは?製造業の発注自動化にどう活用できるか
RPA(Robotic Process Automation)は、ホワイトカラー業務の自動化を担うソフトウェアロボットです。
ルール化可能な定型業務であれば、人的作業をロボットに代行させることができます。
RPAの特徴は、既存システムやメールソフト、Excelなどの「ユーザー操作をソフトウェアがなぞる」点にあります。
システムを大幅に改修せずとも、現在の業務フローを活かしたまま自動化できるのが最大の強みです。
製造業のメール発注においては
・発注リストをExcelで管理
・関係部署の承認フローがメールもしくはワークフローで完了
・発注先ごとに所定のフォーマットで送信
この一連の作業を担当者が「クリック」「コピペ」で実施しているのであれば、RPA導入の効果は極めて大きいです。
RPA導入ステップ:実際の自動化プロセスを追う
次に、実際の現場で行ったメール発注自動化のリアルなプロセスを順を追って紹介します。
1. 業務プロセスの洗い出しと標準化
まず最初に、現行のメール発注業務を担当者と一緒に細かく分析しました。
どのファイルからどんな情報を抽出し、どのタイミングで誰にメールを送っているかを、全ステップ画面キャプチャ込みで可視化します。
併せて「これは誰がやっても同じ結果になる作業か」「例外処理はどのくらい発生しているか」を確認し、RPAに任せられる範囲を明確化しました。
この段階で、社内ルールや業務フローのムダ・ムラ・ムリ(3ム)も同時に浮き彫りになり、場合によってはフロー自体を改善するチャンスにもなります。
2. 例外処理のパターン把握と縮小化
メール発注には「たまにしか発生しないイレギュラー」も付きものです。
例えば、緊急発注、納期未確定、先方からのリクエストがある場合などです。
RPAはルール化できない業務には不向きのため、例外業務は明確に分けておきます。
全体の8割を自動化し、2割に残る例外は担当者が手動対応するルールへ変更しました。
また、メール本文やファイル添付、タイトルなど定型化できるものは徹底的にひな形化し、バリエーションを最小限に抑えます。
3. RPAロボットの設計・テスト・実装
業務フローが“RPA向き”に整ったら、いよいよロボットの設計に着手します。
経験上、UiPathやWinActor、Power Automate(Microsoft)など、ノーコード/ローコード系のRPAツールが工場の現場にも導入しやすいです。
ロボットは「Excel発注リストを開く→内容チェック→メールソフト起動→発注内容をコピー→指定フォーマットでメール生成・送信」の動きをプログラムします。
この段階で、「人がやるより細かいチェック(例:宛先や添付漏れ確認)」も加えることができます。
設計が終わったら、必ず本番稼働前にテスト運用を繰り返して不具合を潰します。
パイロット運用時には、エラーや運用者からのフィードバックを記録し、改善点を反映させることが重要です。
4. 社内教育・運用マニュアルの整備
RPAの導入は、単なるツール投入では終わりません。
現場担当者への「なぜ自動化するのか」「ロボット停止時の対応」「例外時の運用」など、業務全体の理解が求められます。
実際の立ち上げ時には、運用マニュアルを図解入りで簡潔にまとめ、トラブルシュートや問い合わせルートも明確化しました。
また、サプライヤーにも「自動メール送信開始のお知らせ」を発信し、新しい運用に戸惑いが出ないよう配慮します。
メール発注自動化の具体的効果と現場の変化
RPAによるメール発注自動化を導入し、以下のような効果を実感しました。
・1日50~100件近くのメール発注業務が、ほぼ全自動化
・ヒューマンエラー(宛先ミス、添付忘れなど)が実質ゼロに
・担当者は「例外業務」と「交渉」「戦略的購買」など本来の付加価値業務へシフト
・RPA稼働状況は自動ログで可視化され、内部監査やトレーサビリティも強化
・定時退社・残業削減を業務量の見える化とセットで達成
現場からは「誰でも簡単にメール発注を引き継げる」「急な欠員対応も安心」「サプライヤーからの返信もリアルタイムで集約できる」と大変好評でした。
アナログ文化から抜け出せない現場へのRPA導入アプローチ
とはいえ、すべての現場がスムーズに自動化を受け入れられるわけではありません。
「ミスがあったら最終的に責任を問われるのは人間」「自分の仕事がなくなるのでは」といった声も根強いです。
この場合、RPA導入は“人を減らす”のではなく“現場の守備力・生産性を上げるため”と繰り返し啓蒙することが成功のカギです。
また、「RPAはロボットのように働き、自動化しても人の判断は重要」ということを、実際の例外業務で示すことで納得感が高まります。
サプライヤーにとってのメリット:バイヤーが見ているポイント
サプライヤーの立場からRPA導入バイヤーを捉えると、「発注を正確・早く・間違いなく送ってほしい」「発注内容と納期管理が明確であること」を求めています。
RPA導入により、発注情報の正確さ、フォーマット統一、トレーサビリティ強化が実現し、問い合わせ対応も迅速化します。
また、バイヤー側がRPA・システム化で効率化されることで、サプライヤーへの無理な短納期・急な仕様変更依頼なども減少傾向になります。
結果として、協力会社とのパートナーシップ強化にもつながります。
まとめ:RPAは製造現場のメール発注の「新しい当たり前」へ
RPAによるメール発注自動化は、もはや単なるコストカットや効率化の手段ではありません。
人とロボットが共存し、現場担当者が本来果たすべき「クリエイティブな仕事」に集中できる環境を作るためのインフラづくりとも言えます。
日本製造業が昭和から令和へ大きく変わるためには、現場の苦労や現実に合わせた段階的な自動化が求められます。
長年のアナログ慣習と付き合いながらも、一歩一歩、RPAツールを現場に適した形で取り入れることが発展への鍵です。
調達・購買・生産管理の現場で悩む担当者、バイヤーを目指す方、サプライヤーからバイヤー像を深く知りたい方へ。
RPA導入の実践例を参考に、「現場に根付く自動化」の第一歩をぜひ踏み出してください。
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