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流体制御技術を活かした漏れ防止輸送システムの共同開発手法

目次
はじめに:製造業の現場から見た漏れ防止輸送システムの重要性
製造業において、原材料や完成品の輸送工程で「漏れ」が発生するリスクは決して小さくありません。
特に化学プラントや食品、医薬品、精密機器などの業界では、少しの漏れが生産ライン全体を止めたり、品質不良を招いたりと大きな損失に直結します。
安全・安心への社会的責任が高まる中、流体制御技術を駆使した「漏れ防止輸送システム」の開発は、いまや全ての製造業にとって不可欠なテーマとなっています。
しかし、現場を見渡すと、昭和時代から使い続けてきたアナログ設備と、最新のデジタル制御技術が混在する状況が多く、現場ごとの知見やノウハウは十分に可視化・共有されていません。
本記事では、20年以上の製造業現場経験とバイヤー・サプライヤー両方の視点を持つ筆者が、流体制御技術を活かした漏れ防止輸送システムの「共同開発手法」について、現場目線で実践的に解説します。
流体制御技術とは:製造業における基礎知識の再確認
液体・気体を自在にコントロールする基盤技術
流体制御技術とは、液体や気体など流れを持つ物質(=流体)を、狙い通りの状態で搬送・分配・遮断し、圧力や流量などのパラメータを精密に調整する技術です。
バルブやポンプ、アクチュエータ、センサー、配管、シール材など、多岐にわたる要素技術から成り立っています。
生産現場においては、原料の受け入れから、工程間移送、冷却や洗浄、最終的な排出まで、無数の流体制御ポイントが存在します。
よって、わずかな漏れや制御の乱れが大きなロス・品質問題を引き起こすため、設計・保全・現場オペレーションすべてで高度な技術と細やかな運用が求められています。
現場にはびこる「昭和の常識」とデジタル化の狭間
日本の製造業は世界有数の現場力を誇りますが、流体制御の現場にも昭和時代からの「現場ノウハウ」や「勘と経験」が色濃く残っています。
例えば、「このバルブは〇番まで閉めても大丈夫」「配管のつなぎ目は手で確かめれば漏れない」といった属人的な管理が今も当たり前のように行われています。
一方、IoT対応センサやビッグデータを活用したリアルタイム監視も少しずつ浸透しつつあります。
このアナログとデジタルの狭間こそ、現場の課題であり、共同開発でイノベーションを生み出すチャンスでもあります。
漏れ防止輸送システム共同開発の意義と現状
共同開発が求められる理由
漏れ防止輸送システムの開発には、バイヤー(ユーザー側=現場の製造業)とサプライヤー(装置メーカーや部品メーカー)が、互いの知見と強みを持ち寄る必要があります。
なぜなら、実際の現場では一律のソリューションでは通用せず、工場ごとの製品特性や流体特性、設置スペース、運用体制、保守体制、安全基準にいたるまで多くの条件を最適化しなければならないからです。
バイヤー側は「うちの現場で何が困っているのか」「どう使いたいのか」など生のニーズや運用実態を明確に説明する必要があります。
一方、サプライヤー側は「どんな技術や部品が現場の課題解決に貢献できるのか」を技術的・コスト的制約を踏まえつつ提案します。
実際によくある開発の失敗要因
・バイヤー側の現場知識と課題が抽象的または担当者の頭にしかなく、うまく伝えられず「お任せ」になる
・サプライヤー側がカタログスペックや過去実績にとらわれすぎて、現場を深く観察できない
・経営層は「新技術で一気にショートカット」したいが、現場の抵抗感が強い
・現場担当者(昭和世代)が「変える必要ない、今のやり方が一番安全」と反発
・POC(実証実験)の際に協力体制や情報共有のルールが曖昧で、開発スピードが著しく落ちる
このような状況を避けるため、共同開発には明確な手法と心構えが必要となります。
実践的:流体制御を活かした漏れ防止輸送システムの共同開発プロセス
1. 現場ヒアリングと課題の「見える化」
全ての始まりは、「現場担当者の生の声」を徹底的に汲み取ることです。
製造現場での課題・不便・ヒヤリハット事例をピックアップし「輸送経路のどこで、どのような漏れが、どのタイミングで発生しているか」を洗い出します。
ここで重要なのが、現場スタッフへの丁寧なヒアリング。
「こんなこと言っても仕方ない」という遠慮や、「うちの会社だけのやり方」といった思い込みをすべて取り去りましょう。
写真や動画で実際の問題箇所を共有し、トラブルログ・保全記録・ドレン排出データなど定量的な情報も並行して集めます。
2. 技術要件の明確化:漏れ防止ポイントごとの最適解
ヒアリングから抽出した課題をもとに、要件定義を行います。
配管・バルブ・シール・接続部・搬送機器など、各パートの構造と動作条件、「許容できる漏れ量」と「管理すべき閾値」を具体化します。
特に、現場の多くでは「ちょっとだけなら漏れても大丈夫」とされている箇所が散見されます。
ここで、バイヤー・サプライヤー協働で「本当の許容範囲はどこか?」を仕切り直しましょう。
この段階では、サプライヤー側の提案力が真価を発揮します。
「最新の高機能弁やシール材を使えば良い」だけでなく、流体の特性(腐食性・粘性・圧力変動など)や運用メンテコストも加味したベストバランスを模索することが重要です。
3. POC(実証実験)と現場フィードバック
新たな漏れ防止機構や自動検知システムを導入する場合、現場で「小さく始めて」「本音ベースのフィードバック」を集めることがカギとなります。
たとえば、新開発のバルブで「取付け・開閉操作・洗浄時の体感」や、「漏れ検知センサーの警報精度」「誤作動によるライン停止のリスク」などを実際に検証します。
現場側が感じた「これなら行ける」「この点だけ不安」といったリアルな声こそが改良の材料です。
POCの段階では、失敗やトラブル事例もすべて正直に共有し、サプライヤー側とその都度対策案を検討していきます。
4. 安全・保全まで見据えた標準化・教育
システム構築後は、運用・保守手順、トラブル対応マニュアルを現場で実際に使える内容で整備します。
操作する人の技能レベルを想定し、「誰が」「どこまで」「どうメンテすれば」漏れを未然に防げるか、教育体制を組みます。
このとき、「アナログ世代」にも優しい設計や「人に依存しすぎない運用ルール」が欠かせません。
例として、定期点検のチェックリスト自動印刷や、異常時の音声・メール通知など現場に溶け込みやすい工夫が有効です。
また、ISOや安全衛生基準にも適合させ、社外にも説明できる体制を築きます。
バイヤー・サプライヤー双方に求められるマインドセット
バイヤー(発注側)が意識すべきポイント
1.「現場はこうなってほしい」「今ここが困っている」を率直に伝える勇気
2.サプライヤーからの提案を頭ごなしに「無理・不要」とせず、まず現場で試す柔軟さ
3.設備投資計画と紐付けて、中長期でのコスト・効果・保全性を冷静に判断する目線
4.現場スタッフ全員への周知・教育まで責任を持つリーダーシップ
サプライヤー(提案・装置開発側)が意識すべきポイント
1.顧客現場を徹底的に観察し、「なぜこの運用なのか?」を理解する姿勢
2.本当に現場で役立つ最新技術・部材を分かりやすく提案・説明する工夫
3.短期的なコストダウンではなく、安全性・生産性・将来性の三拍子で議論する覚悟
4.トラブル時も逃げずに現場対応し、失敗を次の製品開発へフィードバックする誠実さ
昭和から令和へ:「現場の叡智」と「新技術」をつなぐ共同開発文化の確立へ
日本の製造業の強みは、現場の泥臭い知見を積み上げてきた歴史そのものです。
一方で、グローバル競争下では、「既存のやり方を超えた」新技術導入や革新的な運用モデルが求められています。
流体制御技術を活かした漏れ防止輸送システムの共同開発は、その両者を架け橋する有効なアプローチです。
バイヤーは「現場の本音」と「未来への期待」を持ち寄り、サプライヤーは「技術の引き出し」と「現場密着のサポート」で応える。
この双方の歩み寄りからしか、本物のイノベーションは生まれません。
もし、あなたが製造業のバイヤー、あるいはサプライヤーの立場で「これからの現場改善」に悩みを持っているなら、ぜひ現場徹底型の共同開発による「流体制御技術×漏れ防止」の挑戦に、一歩踏み出してみてください。
まとめ:明日からできる、現場発「共同開発型イノベーション」の始め方
・製造現場の“困りごと”を率直に洗い出し、正しい現状把握から始める
・要件定義からPOC、標準化・教育まで、バイヤー・サプライヤーが一体となるプロセスを重視する
・「昭和の慣習」も尊重しつつ、DX・新素材など新技術と現場運用の両立に挑戦する
・小さな一歩(クイックウィン)から現場の信頼を獲得し、段階的に全体最適化を目指す
流体制御技術を活用した漏れ防止輸送システムの共同開発は、ものづくり現場の価値と未来を同時に高める最前線です。
現場から発信される声と、新しい技術の融合こそ、製造業の競争力を支える大きな原動力になると確信します。
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