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展示会に出なくても海外バイヤーと繋がるオンライン営業の仕組み

目次
はじめに:製造現場のアナログ営業からの脱却
日本の製造業は、長らく「昭和」のアナログな営業手法に強く根ざしてきました。
特に、中堅・中小のメーカーでは、展示会や商談会など「顔の見える場」がビジネスの主戦場となってきました。
しかし、グローバル化やパンデミックの影響、デジタル化の波が押し寄せる現在、展示会への出展や海外出張だけに頼った営業スタイルは、コスト面・効率面で限界を迎えつつあります。
実際、長年展示会頼りだった現場でも、急速に「オンライン営業」を取り入れる動きが広がっています。
本記事では、現場目線で捉えた「オンラインで海外バイヤーとつながる仕組み」と、その実践ノウハウを解説します。
これから海外販路拡大を目指す製造業の営業担当者、バイヤーを目指す方、あるいはサプライヤー視点で「新時代の営業動向」を知りたい方へ。
ラテラルシンキングで築く、新たな製造業の地平線にご案内します。
製造業の「展示会神話」の限界とは
展示会が持つ本当の価値と課題
製造業の現場に20年以上いると、展示会がネットワーキングやPRの場として「不可欠なイベント」とされてきた歴史を痛感します。
実際、展示会では
・リアルな製品体験
・縁故や偶然の出会い
・その場の熱量や共感
といったアナログならではの利点があります。
一方、課題も明白です。
・大規模な出展コスト(数百万円規模)
・現地での膨大な人手確保と事前準備
・地理的・時間的な制約(コロナ以降は特に深刻)
・展示会後のフォローアップの難しさ
そして何より、「来場=見込み客」ではなく、せっかくのバイヤー接点が、名刺交換止まりで終わるケースも多発していました。
昭和の頃と比べ、ものづくりのグローバル競争が激化し、「出ていれば勝手に売れる」という時代は今や昔。
展示会『だけ』に頼る旧態依然の営業体質に、現場から疑問の声も上がっています。
アナログ時代の限界が露呈する現場の実情
私自身も、コロナ禍の際に
・出展予定イベントが中止、延期
・海外出張のハードル急上昇
・現地通訳や現地パートナーのサポート混乱
に直面し、従来モデルの限界を痛感しました。
しかし、この危機を契機に、一部の先進的な工場や営業現場では「オンラインシフト」への大きな転換が加速しています。
この転換の最前線を、現場管理職・営業リーダーとして体感してきた知見を交えて解説します。
なぜ今「オンライン営業」なのか
オンライン営業がもたらす3つの変化
1. 距離と時間の壁を突破できる
2. 継続的なコミュニケーション、商談育成が可能になる
3. コスト・スピード・選択肢が大幅に拡大する
オンラインツールの発達により、海外バイヤーと
・リアルタイムに情報交換
・サンプルや資料の即時送付
・複数の担当者をつなげた多対多商談
など、「地理」「言語」「部署」などの壁を乗り越えるコミュニケーションが可能になりました。
また、展示会のような1点突破型でなく、メールやWeb会議、ECサイトを活用した「継続チャネル化」で関係性を育てることができ、リードナーチャリング(見込み客育成)につながります。
オンライン営業だから生まれる新しい価値
・「商談前」段階でも詳細データやPR動画で商品力を知ってもらえる
・「海外バイヤーのニーズ」をリアルタイムで把握できる
・SFA(営業支援ツール)などデジタルマーケティングの導入による業務効率化
・小ロット、ニッチな提案も効率よく出来る
ここ数年、日本の製造業現場でも「オンライン営業窓口」を強化することで売上や販路が拡大した事例が増えています。
バイヤーを目指す方、あるいはサプライヤーの方にも、この流れは見逃せません。
海外バイヤーとつながるオンライン営業の仕組み
具体的な実践ステップ:準備から運用まで
1.自社の商品・サービス情報のデジタル化
まず、ホームページやデジタルカタログを充実させましょう。
写真やスペックだけでなく、製造現場の様子や動画によるアピール、過去の導入実績なども重要です。
2.ターゲットバイヤーに届く「チャネル」を洗い出す
自社単独のWebサイトに頼るのではなく、
・BtoB向けのグローバル販路サイト(Alibaba、Thomasnet, mfg.com, GlobalSourcesなど)
・業界専門のマッチングプラットフォーム
・LinkedInやFacebookなどSNS活用
・産業財系の海外バイヤー向けオンライン展示会
など、複数のチャネルを掛け合わせてみましょう。
特に欧米はLinkedIn、東南アジアはローカル系ECやWhatsAppなど、現地で一般的なツールの研究も不可欠です。
3.問い合わせやニーズを「仕組み」で拾う
実際の引き合いがあっても、展示会のような属人的な対応では機会損失が多くなります。
・即レス対応できるメール・チャットボット
・Web会議での商談スケジュール自動受付
・問い合わせ内容・やりとり記録を残すSFA導入
など、商談化率を高める仕組みづくりが重要です。
4.「オンライン説明会」や「ライブ製造現場中継」の実施
遠隔地のバイヤーと差別化をはかるには、Web会議システム(Zoom, MS Teams, Google Meetなど)を使った、
・製品デモンストレーション
・工場現場のライブツアー
・リアルタイムでのQ&Aセッション
などが効果的です。
これは現場に根付いたものづくりの強みを、ダイレクトに海外バイヤーに訴求できる大きな武器となります。
よくある現場のQ&A
Q: 「英語が苦手だけど大丈夫?」
A: 専門用語が多い製造業こそ、メールや資料はテンプレ化しておく、事前に翻訳ツール+英語力の高い若手をペアにすることで十分対応可能です。
Q: 「オンライン営業って結局コスト増じゃない?」
A: 展示会出展や海外渡航に比べ、1/10~1/100のコストで済みます。
うまくSFAやMA(マーケティングオートメーション)を使えば全社ナレッジにも繋がります。
Q: 「製品品質や信頼は伝わるの?」
A: オンライン商談+サンプル発送後のユーザーフィードバックなど、ステップを踏んで落とし込むことで信頼構築は十分に可能です。
オンライン営業成功のための3つのポイント
1.「現場力」をデジタルで伝える
日本の製造業が本来持つ「現場力」は、写真やカタログだけでは伝わりません。
自社工場の安全衛生管理、QCサークル活動、職人技術――
こうした「人・モノ・現場の空気」を、動画やライブ配信、インタビュー記事などで発信しましょう。
これらは欧米のバイヤーに対しても差別化要素として非常に有効です。
2.「買い手目線」の発信と対応が肝心
昔ながらの「売り込み」型営業から一歩踏み込み、「バイヤーがどんな課題を抱えているか」「どんな改善提案が刺さるのか」を、公開情報やSNS・コミュニティで調べておきましょう。
海外サプライヤーの立場で「なぜ日本メーカーに問い合わせるのか?」をBizDev(事業開発)視点で洞察する力も重要です。
3.データとナレッジを現場全体で共有する
商談履歴、バイヤーの反応、受注・失注の理由など、全てを「個人の勘と経験」だけに頼ると営業力は伸びません。
オンライン営業の利点は、「情報蓄積と分析→PDCAサイクルの高速化」にあります。
SFA、CRM、MAなどの導入が、一度にできなくても、まずはExcelやGoogleスプレッドシートなど身近なツールから始めて、少しずつ社内文化をアップデートしていきましょう。
今、製造業の営業現場こそ変革のタイミング
展示会や従来型営業の良さを残しつつも、「いつか元に戻る」のではなく、「新しい武器」としてオンライン営業を取り入れること。
それが国際競争の激しい今、日本の製造業が生き残るための一丁目一番地と言えます。
特に、バイヤー視点・サプライヤー視点を横断した「商流全体の変革」「現場目線のDX導入」「現場×営業の一体化」を進めていくことが、これからのグローバル製造業の大きなテーマとなります。
私自身も、現場での苦労や戸惑いがあったからこそ、「今、始めよう」と強くおすすめします。
まとめ:ラテラルシンキングで切り開く、製造業の未来
オンライン営業の取り組みは「新しいこと」「難しいこと」という先入観が先立ちがちですが、視点を変えれば
・現場力を新しい切り口で世界に発信
・昭和時代からのアナログ営業の限界を突破
・現場-営業-顧客が共通認識でつながる仕組みの構築
へと、大きく進化できます。
単なる「現場目線」を超えて、これからは「世界市場×現場知見」というラテラルな視点で、革新的な営業戦略を描いていきましょう。
今こそ、製造業の営業現場をアップデートする絶好のチャンスです。
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