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OEMパーカーの原反手配から縫製完了までの全プロセスを解説

目次
はじめに
OEMパーカーの生産は、ひとつの製品が市場に出るまでに多くの工程と関係者の連携が必要です。
その中でも、原反の手配から縫製完了までのプロセスは、バイヤーやサプライヤー双方にとって「現場感」のあるノウハウが要求されます。
この記事では、製造業の現場で20年以上携わった経験から、OEMパーカー生産の全体像と、今なおアナログ色の強い業界特有の事情も交えながら、最新動向や注意点を解説します。
OEMパーカー生産における全体プロセスの流れ
OEM生産とは何か
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、発注元が設計・仕様を指示し、それに基づき受託側が製造を担当する生産方式です。
アパレル市場では、自社ブランドで販売するために外部工場を活用し効率よく製品開発・生産が行われます。
OEMパーカー製造の流れ概要
大まかな流れは、以下の通りです。
1. 企画、仕様打ち合わせ
2. サンプル作成、承認
3. 原反(生地)の手配
4. 副資材の手配(ファスナー・リブ・タグ等)
5. 裁断
6. 縫製
7. 検品、出荷前検査
8. 梱包、納品
この記事では、3~6の「資材手配」「裁断」「縫製」にフォーカスして掘り下げていきます。
原反手配:品質を左右する第一歩
原反選定の重要性
パーカーの着心地・耐久性・デザイン性の根幹は「生地(原反)」の選択にかかっています。
例えば、裏毛・裏起毛の違い、綿/ポリエステル/混紡の割合次第で、製品の価格帯もターゲットも大きく変わります。
ここで妥協をすると、商品価値の大部分を失ってしまうことになりかねません。
原反手配における現場的な課題
昭和の時代から続くアナログな「顔の見える流通」や「電話一本での原反発注」は、依然として根強く残っています。
実際、多くのサプライヤーは「この生地ならこの問屋」といった信頼と実績ベースの人脈商売を続けています。
デジタル発注システムに切り替えたくても、生地スワッチや現物確認は「現地で目利き」が好まれるのが現状です。
ロット管理と納期リスク
生地は、同じ素材でもロットによって色味や風合いに微妙な違いが生じます。
これは工業製品としての「ばらつき」によるもので、「ロットぶれ」を吸収できる管理体制が求められます。
また、原反の納期遅延や欠品も品質トラブル・納入遅れの原因となりやすいため、2次調達ルート確保や日程のマージン取りも重要です。
副資材手配と資材管理の現場力
副資材とは
パーカーには本体生地以外にも、ファスナー、リブ、プリントネーム、洗濯ネーム、タグなど多くの副資材が使われます。
これらは「見えないコスト」になりがちですが、品質やデザインの一体感を生み出す重要なポイントです。
副資材の調達業務あるある
・同じブラックでもリブと本体で色ブレ…
・ファスナー在庫不足による生産遅延…
・代替品でクレーム発生…
アナログ業界あるあるですが、副資材は1品番ごとに「仕様書通り」「現物サンプルと完全一致」を守るため、手間と注意が不可欠です。
副資材管理のすすめ
昭和世代の現場では副資材管理が「在庫棚と伝票」「口頭伝達」に偏りがちです。
しかし現代ではサプライチェーンマネジメント(SCM)の観点から、Excelや簡易システムによる発注/在庫/納期管理も広まりつつあります。
バイヤー志望者やサプライヤーには「可視化・共有・トレーサビリティ強化」の視点を持つことが今後ますます重要です。
裁断工程:量産安定化への分岐点
裁断の重要性
大量生産を前提とするOEMパーカーでは、裁断で全体の「歩留まり」と「仕上がり」が決まります。
「型入れ(マーキング)」の数センチの無駄が、千枚単位のロスや追加生産につながりかねません。
昭和流VS最新技術
アナログな現場では熟練の裁断工が型紙をマットに並べる「手裁断」が根強く残ります。
一方、現在はCAM(自動裁断機)やCADソフトの導入が進み、省人化や正確さが確保される時代になっています。
それでも「現場の手直し力」「生地ごとのクセ(伸び縮み)」を見抜ける職人の勘が、最終的な品質保証の礎になっているのが日本らしい特徴です。
裁断工程の管理ポイント
・生地端材の有効活用
・ミス裁断時の即リカバリー策
・資材ロス低減と納期短縮の両立
現場目線では「〇〇さんに任せれば安心」といった属人化も顕著ですが、業務標準化(マニュアル化)とデジタル連携の融合がカギとなります。
縫製:品質を生み出す中核プロセス
縫製現場のリアル
パーカーはTシャツや肌着に比べ縫製点数が多く、パーツ構成も複雑です。
小規模企業では「全工程を一貫で」こなす現場や、「ファスナー付け」「フード取り付け」など分業方式の現場など様々です。
熟練工の不足や求人難、単価上昇など、昭和から続く人手依存モデルの課題が今なお根強く残っています。
設備投資と自動化の現状
ミシン自体の省力化・自動化は進んでおり、IoT対応ミシンや自動糸切り、自動送り装置などが導入されています。
しかし、パーカー独自の曲線縫いやフード部分の厚物縫製などは、どうしても人の技術が不可欠です。
いずれ完全自動化が進む領域ではありますが、現場で「手当て」できる力が製品品質の高さにつながっています。
品質管理と納期意識
不良ゼロを目指すには、
・縫製前後の中間検査
・操作マニュアルの周知
・進捗管理(生産日報やラインバランス表による状況把握)
が求められます。
また、納期遅延へのプレッシャーや品質基準とのバランス取りはバイヤー・サプライヤーともに永遠のテーマです。
アナログ業界からの脱却:デジタル化と人力の両立
現場力とDXの間で
多くの現場では今なお「FAXで原反発注」「電話で進捗把握」「足で通う現場調整」が幅を利かせています。
一方、デジタル化・自動化の波は確実に製造業にも押し寄せています。
「アナログ良さ」を活かしながら、「ヒューマンエラー削減」「情報共有の効率化」を目指すバランス感覚が、今後ますます重要になります。
今求められるバイヤー像・サプライヤー像
バイヤーとしては、現場工程を深く理解しサプライヤーへの適切な要求水準(無理難題ではなく、現実的な指示)を出せること。
サプライヤーとしては、現場のリアルな情報をデータで瞬時に可視化し、進捗や管理状況をバイヤーに「見える化」すること。
これらが信頼関係と持続的な協働を生むポイントです。
まとめ:OEMパーカー生産の現場知見を活かす
OEMパーカーの原反手配から縫製完了までのプロセスは、原反や副資材の選定・調達、裁断・縫製の現場管理など多岐にわたり、いずれも現場力と仕組み化の両立が求められます。
人と人、現場とデータ、アナログとデジタルの間で最善解を探るこの分野こそ、現場経験者の知恵が最大限に活きるフィールドといえるでしょう。
製造業に携わる方、バイヤーを目指す方、サプライヤーの立場で顧客理解を深めたい方にとって、この記事がOEMビジネスの羅針盤となることを願っています。