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コーターマシンで使うフィルタ部材の目詰まりと圧力損失問題

目次
はじめに:フィルタ部材の目詰まりと圧力損失がもたらす現場課題
コーターマシンは、製造業の現場において非常に重要な役割を果たしています。
特に機能性フィルムや電子部品などの分野では、高精度な塗布工程が製品品質の肝となります。
その過程で“フィルタ部材”は、塗布液の異物混入防止や装置トラブルの回避、製品不良率の低減といった面で不可欠な存在です。
しかし、このフィルタ部材が目詰まりを起こすと、内部の圧力が上昇し、塗布の均一性が損なわれたり、コーターマシン自体が停止に追い込まれたりします。
一方で、フィルタの選定やメンテナンスが属人的に行われがちなアナログ的な現場も多く、昭和時代から脱却しきれていない工場現場ならではの課題が浮かび上がっています。
この記事では、実践現場で培った経験を軸に、コーターマシンで使うフィルタ部材の「目詰まり」と「圧力損失」という課題に対して、発生要因・影響・最新動向・現実的な対策を深掘りしていきます。
フィルタ部材の役割と選定基準を現場目線で解説
フィルタ部材の主な役割
コーターマシンの工程においてフィルタ部材が果たす主な役割は、大きく以下の3点に集約されます。
・塗布液中の微細異物・凝集物の除去
・装置やノズルなど機械部品の保護
・製品の線状異物や塗りムラの発生防止
たとえば、電子部品や高機能フィルムの世界では100ミクロン以下、時には10ミクロン単位の異物も大問題となります。
塗布液の安定性を確保することで、歩留まり向上やクレーム予防に直結します。
現場視点でのフィルタ選定基準
昭和世代の現場では「とりあえず細かい目を選べば良い」といった安易な判断でフィルタを選定しがちですが、実はこれが後述する“目詰まり”や“圧力損失”の温床となります。
注目すべき実践的なポイントは以下の通りです。
・ろ過精度(ミクロン数値):液体中の異物サイズ・目的に合わせて選定
・材質:塗布液と化学的に相性が良い素材選択(例:PTFE、ステンレス、ナイロンなど)
・ろ過面積および構造:圧力損失と寿命に大きく影響
・交換性・メンテナンス性:現場の作業サイクル・工数削減
現場では“コスト優先”と“安定操業”のせめぎ合いが常であり、「価格が安い」「入手性が良い」だけで短絡的に選ばれることがありますが、長期的には目詰まり頻度や装置停止ロスの方がはるかに高コストとなります。
フィルタ部材の目詰まりが起きるメカニズムと現場事例
目詰まり発生の原因
フィルタ部材の目詰まりは、単純に「目が細かいから詰まりやすい」で片付けられるものではありません。
以下のような複合的な要因が大きく関わっています。
・塗布液中の異物混入(原料由来、保管時のホコリ、洗浄不足)
・塗布液の経時変化による凝集・沈殿物の発生
・添加剤や助剤の影響でフィルタ表面に粘着物が付着
・長期間の連続稼働やライン停止時の乾燥
過去の経験上、温湿度変化による塗布液の性状変化や、ロット間の微妙な配合違いが顕著な違いを生むケースも多々見てきました。
実際の現場で起きている事例
・新ロットの塗布液に切り替えた途端、流量低下と圧力上昇が顕在化
・梅雨時期や冬季の加温工程で、フィルタの“ベタつき”が激増
・ノズル詰まりが頻繁化し、ライン全体の停止に至る
・社歴の長い作業員だけが“耳感”でポンプ音の微妙な変化に気付き対応している
こうした事例は、実は「目詰まりを未然に察知し、迅速に解消する仕組み」が現場に根付いていないことに起因します。
圧力損失の実態と放置したときのリスク
“圧力損失”とはなにか?
コーターマシンの塗布ユニットには、適正な圧力・流量で供給する必要があります。
フィルタが目詰まりを起こすと、圧力損失(ΔP)の数値が大きくなります。
この損失が大きくなることで
・ノズルからの塗布量低下およびばらつき増加
・ポンプに余計な負荷がかかり、寿命短縮
・流量・圧力管理センサーのアラーム発生→装置停止
といったリスクが一気に高まります。
目詰まり・圧力上昇を放置した“負のサイクル”
圧力損失の進行を放置すると…
1. 「なんとなく流量が減っている」状況が続く
2. 塗布品質がじわじわ低下、気付かずNG品増加
3. 装置の異常停止や、ポンプ・ノズルの故障が多発
4. 納期遅延やクレーム対応、損失コストが発生
5. 作業員の“属人的な勘と経験”頼みになる
このような負の連鎖が広がり、品質と生産性の両方を大きく損ねてしまいます。
最新動向:デジタル化と予防保全が切り拓く新たな時代
“アナログ脱却”の鍵となるデジタルモニタリング
近年の製造業では、IoT化と生産現場のデジタルトランスフォーメーションが加速しています。
コーターマシンのフィルタ部材管理にも、以下のような先進的なソリューションが登場しています。
・オンライン圧力センサーによる連続モニタリング
・フィルタ前後での圧力差(ΔP)データの可視化
・AIによる閾値設定・異常兆候の早期検知
・予防保全タイミングの自動アラート化
これにより「勘と経験」だけに頼らず、標準化された目詰まり管理が可能となります。
メーカーに求められる“サプライヤー連携”と提案力
製造業買い手(バイヤー)の立場では、コストダウンのみならず上流の品質担保が今後ますます重視されます。
サプライヤー側も単なる部材の“納入”ではなく、「どのようなろ材が現場に最適か」というコンサルティング提案と、予防保全まで踏み込んだサポートが今後の競争力となります。
たとえば、
・納入したフィルタの実使用環境ヒアリング
・現場に合わせた最適ろ過精度や材質の提案
・デジタルモニタリングサービスの共同構築
こうした“伴走型”ビジネスが、購買とサプライヤー双方の発展につながります。
現場で本当に有効な“目詰まり・圧力損失”対策
1. スタンダードな対策例
・定期交換サイクルの標準化(稼働時間、圧力差を基準に)
・フィルタ前後の圧力を定点観測し、目詰まり傾向をデータ化
・塗布液の前処理・全体の清浄管理の徹底
・ライン停止時には液体循環保温やドレーン排出を取り入れ“乾燥詰まり”防止
サプライヤーが用意する“ろ過シミュレーション”や“寿命診断サービス”も積極的に活用すると良いでしょう。
2. デジタル・DXの応用例
・IoT端末を使ってフィルタ前後圧力をクラウド管理
・閾値超過時に自動メール通知や発報
・設備保全部門と連携し、データをもとに保全計画を立案
こうしたデータ活用は「属人的なノウハウの形式知化」となり、技能伝承や人材の世代交代もスムーズに進みます。
今こそ“昭和型アナログ管理”から次世代製造現場へ
フィルタ部材の目詰まりや圧力損失の問題は、“一見地味”ですが、実は現場全体を左右する“生命線”です。
属人的な勘に頼ったアナログ管理から脱却し、最新のデジタルソリューションと現場密着型のサプライヤー連携で一歩進んだものづくり現場を実現しましょう。
まとめ:バイヤー・サプライヤーの新たな連携の時代へ
製造業の現場力強化には、単なる“部材選定”だけでなく、運用・保全・品質管理までトータルで考える「システム思考」と「データ活用」が不可欠です。
これからの時代、バイヤーもサプライヤーも、課題・データを共有し合い、高め合うパートナーとして協働していくことが製造業現場の発展と「昭和の壁」を超える唯一の道です。
現場でお困りの方は、ぜひ今目の前のフィルタ管理からデジタル化・仕組化を始めてみてください。
より安全で高品質なものづくりの一助になれば幸いです。
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