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コンプレッサーで使う潤滑油路部材の加工と詰まりトラブル

目次
はじめに:コンプレッサーと潤滑油路部材の重要性
コンプレッサーは、あらゆる製造現場で心臓部とも言える存在です。
圧縮空気は工場の生産ラインや自動化設備、計測機器の動力源として不可欠です。
そのコンプレッサーを安定稼働させる上で欠かせないのが、潤滑油の適切な流通を保証する潤滑油路部材です。
潤滑油の通り道となる油路部材は、ギヤや軸受などの摩耗を防ぎ、コンプレッサー全体の寿命やパフォーマンスに大きく影響を与えます。
一方で「油路の詰まり」や「加工不良」などのトラブルが生じやすいポイントでもあるため、設計・調達・加工・品質管理のそれぞれの現場では絶えず課題意識がつきまといます。
本記事では、製造現場で20年以上経験した筆者の視点から、潤滑油路部材の加工と詰まりトラブル、その予防策について詳しく解説します。
潤滑油路部材はなぜ詰まるのか?現場目線で考える根本原因
油路詰まりの多くは「設計・加工の見逃し」から始まる
コンプレッサーの油路詰まりは、単なる異物混入やオイルの劣化だけが原因ではありません。
現場を熟知した立場からいえば、多くの詰まりは「人の気づかない設計上の盲点」や「部材加工のプロセス不備」が発端となるケースが多いです。
油路部材の内部には、目視できないミクロな加工不良が局所的に存在することがあります。
例えば、BTA(深穴加工)やブローチ加工でのバリ残り、めねじ部の清掃不足、微細な穴径誤差などです。
特に昭和時代から続くアナログな工程や、図面の伝承が口頭や経験値に依存しがちな現場では、こうした微小な「見逃し」が積み重なります。
油路内部は後加工や清掃がしにくく、完成後のチェックも容易でないため、製造現場では「油路のブラックボックス化」現象とも言われています。
分解・再現試験から見えてきた現場の真実
現場で過去に取り組んだ事例では、「油圧が立ち上がらない」というトラブルが生じた際、新品部品の分解やフロー検査を徹底的に実施しました。
その結果、油路にごく小さな金属切粉や手袋の繊維片が付着していたこと、さらに図面にない「微妙な段差」が発見されたのです。
こうした「過去から繰り返された小さなミス」が集積し、油の流れを妨げたりフィルター詰まりにつながっていることが分かりました。
加工工程での注意点と詰まりリスクの低減策
油路構造の設計段階から徹底検証を
まず最重要なのが、油路部材の設計段階で可視化・検証を徹底することです。
目に見えない深穴、屈曲部、小径オリフィスなどは、CAD上だけでは流動シミュレーションや異物混入リスクが見えにくい箇所となります。
設計者は油流れだけでなく、「清掃経路」や「組立後の確認手段」の確保まで織り込む必要があります。
3DデータやCG流体シムなどデジタルツールの活用を推進し、「油が本当にスムーズに流れるか」「コーナー部に加工ムラが残らないか」を設計段階からレビューすることが、昭和の現場からデジタル時代への最大のシフトです。
加工現場での「段取り八分」と職人の知恵
油路部材の加工では熟練者の段取りが問われます。
例えば、
– 穴あけ後のエアブローと目視検査
– 超音波洗浄による内部異物除去
– めねじ部のバリ取りを特殊工具や内視鏡で確認
など、現場では「型にはまった検査方法」だけでなく、加工現場独自の知恵や経験則で不具合に挑んできました。
実際に「バリが残りやすい素材や加工条件」の情報共有、「過去に詰まり事故を起こした製品のフィードバック」など、現場作業者のナレッジを見える化することが、アナログ現場の底力をデジタルへ活かす一歩です。
洗浄と出荷検査:ここで80%以上のトラブルを未然防止
油路内の異物混入を防ぐ決め手は、厳格な洗浄手順と出荷前検査です。
特に「油路を流体でパージし、その排出口から捕集した異物を測定する方法」は、現場の経験によって改善されてきた手法です。
洗浄後は専用治具でエアと油の流動テストを行い、「詰まり」や「流量低下」の兆候を見逃さないことが重要です。
ここで問題があれば、出荷前に組立戻し・洗浄や再加工が入り、トータルな品質確保につながります。
調達・サプライヤーの視点:油路部材トラブルを防ぐためのバイヤーの役割
安易なコストダウンは「品質リスク」を招く
調達・バイヤーの立場で最もありがちなのが「単価重視」の落とし穴です。
油路部材のような精密部品は、外観や素材スペックだけで“良品”とは限りません。
「安価な外注品を採用したら、洗浄品質や検査体制が不十分だった」
「加工外注先での汎用機械や棚落ち品混入があった」
という例は、筆者の現場でも多発していました。
バイヤーは現場に足を運び、
– サプライヤーの洗浄・検査工程
– 設備・治工具の管理レベル
– 油路内部の品質保証体制
を細かくヒアリングし、“見えないリスク”を把握することが何より重要です。
協力会社との信頼関係と、現場QA視点の供給体制を
単なる価格交渉ではなく、「油路詰まりという最終顧客からのクレームが、どれほど甚大な損失につながるか」を協力会社と共有することが肝心です。
サプライヤーへは、
– 内部洗浄・異物管理の標準化
– 不具合再発防止のPDCAサイクル
– 問題発生時の迅速な情報開示と原因究明
などを迅速に求め、現場目線のQA(品質保証)ができる体制を築きましょう。
これこそ最強のサプライチェーンリスク対策です。
バイヤーに求められる「共創力」と「現場への共感力」
最終的にバイヤーは「部品単価を最小化する」だけではなく、「現場の稼働リスクも含めた総合的な価値」を追求すべきです。
設計・製造サイドの担当者と同行して現地を確認し、バイヤー自身が現場の苦労や洗浄作業の重みを身をもって知ること。
その上で「本当に求めることは何か」を現場・サプライヤーと共創し、最善の部品供給体制を築くことが理想です。
サプライヤーの立場:顧客バイヤーの本音を理解する
現場バイヤーは「詰まり回避」のために何を見ているか?
サプライヤーとしては、「バイヤーが何に目を光らせているか」を読み取ることが信頼獲得の近道です。
油路部材におけるバイヤーの最大の関心事は「詰まりによる想定外トラブル防止」にほかなりません。
具体的には、
– 内部バリや切粉残留を徹底排除できる設備・工程
– 洗浄品質の追及(自動洗浄または専用洗浄ブースの保有)
– 品質記録の徹底(トレーサビリティや洗浄検査成績書など)
といった“品質の見える化”をどこまで実践しているか、が選定の大きなポイントです。
付加価値提案で差別化を図る
「うちは安いですよ」だけではなく、油路部材のノウハウや、過去事例のフィードバック、清掃治具の開発まで提案できるサプライヤーは、現場の評価が高くなります。
将来起こりそうな異物トラブルの予知、フィルター仕様の見直し、清掃しやすい設計提案など、「顧客より先回りした提案」があれば、長期的にパートナーとして選ばれる可能性が格段に高くなります。
デジタル化の波は油路詰まり問題にも有効か?
IoT・AI時代の油路管理とは
最新の工場IoT化により、油圧・油量のデータをリアルタイム監視し、流量異常や圧力低下を即座にアラートする仕組みも普及しつつあります。
AIを活用した異常検知や、流路シミュレーションによる“詰まり予兆”の見える化など、デジタル技術は確かに強力な味方です。
ただし、「現物現場」で起きている問題の背景には、図面に現れない「人の手のクセ」や「設備の癖」「現場の暗黙知」も深く影を落としています。
デジタル技術で“現場の見える化”を進めつつ、「人が育てた現場ノウハウ」を同時にデータ化することこそ、昭和のものづくりから次世代への本当のバトンタッチです。
まとめ:本質的な課題解決のために—現場・バイヤー・サプライヤーの共創を
コンプレッサー用潤滑油路部材の加工と詰まりトラブルは、「単一の工程だけで完結する問題」ではなく、設計・加工・検査・調達・現場のすべてが繋がった連鎖の結果として発生します。
調達やバイヤーは「コスト以外のリスク」も慎重に見極め、「現場の苦労に寄り添う姿勢」が問われます。
またサプライヤー側は、「本質的な顧客課題」を自ら考え、付加価値提案で差別化を図ることが不可欠です。
昭和から続くアナログな現場の知恵を活かしつつ、デジタル技術とコラボすることで、未来の製造業に新たな地平が拓けるはずです。
今後ますます高まる「油路詰まりゼロ」のニーズに向けて、現場・バイヤー・サプライヤーが一枚岩となり、日本のものづくりの持続的な成長と競争力強化に共に挑戦していきましょう。
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