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投稿日:2026年10月16日

六角ボルト・ナットの規格 JIS B 1180・B 1181——部品等級、附属書品との違い、呼びの書き方

この記事のポイント(結論先出し)

六角ボルトの JIS B 1180 と六角ナットの JIS B 1181 には、ISO に合わせた本体の製品と、ISO によらない国内独自の附属書の製品が同じ規格番号の中に入っている[1][2]。両者は等級の表し方も、同じねじの呼びでの二面幅も違うので、規格番号とねじの呼びだけでは品物が一つに決まらない。本体の製品は「部品等級(A・B・C)」で公差の水準を表し、附属書の製品は「仕上げ程度(上・中・並)」で表す[1][3]。附属書は将来廃止するので新規設計には使わないのがよいとされている[1]。発注書には、規格が示す呼び方の並びどおりに、種類・規格番号・対応 ISO・ねじの呼び×呼び長さ・部品等級を書き、ねじ部の長さや座付きなど標準と違う形を求めるときは指定事項として足す。

「六角ボルト M12×80」で手配すると、何が決まっていないか

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六角ボルトと六角ナットは、規格品の代表として「JIS 品」とだけ書いて手配されることが多い。だが JIS B 1180 の中には、ISO 4014〜ISO 4018・ISO 8676・ISO 8765 を基にした本体の六角ボルトと、これらの ISO によらない六角ボルトを定めた附属書 JA が並んでいる[1]。JIS B 1181 の六角ナットも同じ作りで、ISO 4032〜ISO 4036・ISO 8673〜ISO 8675 によらない六角ナットを附属書 JA に置いている[2]。

附属書 JA の適用範囲には、ボルトについても、ナットについても、「この附属書は,将来廃止するので,新規設計の機器,部位などには使用しないのがよい」と書かれている[1][2]。それでも附属書の製品は使われ続けている。2018 年に発表されたばね座金のゆるみの研究でも、試験に使ったボルトは JIS B 1180 附属書の M10 だった[7]。市場には両方の製品が流通していると考えて、発注書でどちらを買うのかを書き分ける必要がある。

強度区分(8.8・10.9 など)と表面処理の決め方はボルトの強度区分と規格の指定で扱った。この記事では、形状・寸法・部品等級と、呼びとねじ長さの書き方に絞る。座金は平座金とばね座金の選び方と指定に分けた。

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本体の製品と附属書の製品は、どこが違うか

下の表は、本体と附属書の違いのうち、発注と受入に関わるものを規格本文から並べたものである。寸法の値は M10 と M12 の二面幅だけを引いた。ほかの呼びの寸法は、規格の寸法表で確かめる。

項目 本体の製品(ISO による) 附属書 JA の製品(ISO によらない)
公差の水準の表し方 部品等級 A・B・C[1] 仕上げ程度 上・中・並[1]
ボルトの種類の分け方 呼び径六角ボルト・全ねじ六角ボルト・有効径六角ボルト[1] 六角ボルト(二面幅÷呼び径が 1.45 以上)と小形六角ボルト(1.45 未満)[1]
ボルトの二面幅(M10/M12) 16 mm/18 mm(部品等級 A・B、基準寸法)[1] 17 mm/19 mm(六角ボルト・上、基準寸法)[1]
ボルトのねじの公差域クラス 部品等級 A・B の並目は 6g[1] 4h・6g・8g から選ぶ。指定が無ければ 6g[1]
ナットの分け方 スタイル 1・スタイル 2・六角ナット-C・六角低ナット[2] 六角ナットと小形六角ナットを、形状で 1 種〜4 種に区別[2]
ナットの二面幅と高さ(M10) スタイル 1:二面幅 16 mm、高さ最大 8.4 mm[2] 六角ナット・上:二面幅 17 mm、高さ(m)8 mm[2]
呼び方の例 呼び径六角ボルト-JIS B 1180-ISO 4014-M12×80-8.8-部品等級A[1] 六角ボルト 上 M8×40 -6g 8.8[1]

二面幅が 1 mm 違うと、使う工具が変わる。同じ M10 でも、本体のボルトと附属書のナットを組み合わせると、締付けに 16 mm と 17 mm の二つのスパナが要ることになる。組立の現場で「ボルトとナットで工具が合わない」と言われたら、どちらかが附属書の製品である可能性を疑ってよい。逆に、既存の機種で附属書の製品を使っている部位を本体の製品に切り替えると、工具や、ボックスレンチを差し込む逃げの寸法が合わなくなることがある。切り替える前に、設計部門に確かめてもらう。

附属書の「仕上げ程度」は表面粗さと寸法の組合せ

附属書の仕上げ程度は、表面粗さと形状・寸法の組合せで決まる。上は座面・軸部・頭部上面の表面粗さが Rz25、頭部側面が Rz50 で、上の寸法表に合うもの、中は座面が Rz25・軸部が Rz50 で中の寸法表に合うもの、並は表面粗さを特に規定せず並の寸法表に合うもの、とされている[1]。並の六角ボルトは寸法表の範囲が M6〜M52 で、上(M3〜M64)とは呼びの範囲も違う[1]。附属書の製品を使い続ける部位では、「附属書の六角ボルト」とだけ書かずに、仕上げ程度まで指定する。

部品等級は公差の大きさの区別で、呼び長さで変わる

本体の製品の部品等級は、締結用部品の公差の規格 JIS B 1021 が定める区分で、公差の大きさに関連し、等級 A が最も厳しく、等級 C が最もゆるいとされている[3]。同じ規格は、ここに規定された公差は、ほかに規定がなければめっき前の締結用部品に適用するとしている[3]。めっきを付けた製品の寸法をどう判定するかは、ねじの公差域クラスの記事(ねじの公差域クラス 6H/6g の指定)で扱った。

発注側が注意したいのは、呼び径六角ボルトの部品等級 A と B が、ねじの呼び径と呼び長さで機械的に分かれることである。JIS B 1180 の種類の表では、並目ねじの呼び径六角ボルトは、呼び径 1.6〜24 mm で呼び長さが 10d(d は呼び径)または 150 mm のいずれか短い方以下のものが部品等級 A、それを超えるものと呼び径 27〜64 mm のものが部品等級 B とされている[1]。部品等級 C は別の製品(ISO 4016 に対応)で、呼び径 5〜64 mm の範囲である[1]。

たとえば M12 なら 10d は 120 mm で、150 mm より短いので、呼び長さ 80 mm のボルトは部品等級 A、130 mm のボルトは部品等級 B になる。図面に「部品等級 A」と書いたまま呼び長さだけを伸ばすと、規格上その組合せは存在しない、ということが起こりうる。部品等級を書くときは、呼び長さと合わせて規格の種類の表で確かめる。

ナットも同じで、スタイル 1 の並目ねじは、呼び径 1.6〜16 mm が部品等級 A、18〜64 mm が部品等級 B である[2]。ナットの部品等級は呼び径だけで決まる。

部品等級は座金の選び方にも関わる

部品等級は、組み合わせる平座金の種類を選ぶときの手がかりにもなる。平座金の規格は、部品等級 A・B の六角ボルトとナットには部品等級 A の平座金、部品等級 C のものには部品等級 C の平座金を、望ましい組合せとして示している[8]。座金の側の指定は座金の記事で詳しく扱う。

呼び長さとねじ部の長さをどう書くか

呼び長さはどこからどこまでか

おねじ部品の呼び長さとねじ部長さの規格 JIS B 1009 は、軸線に直交する座面をもつボルトや小ねじの呼び長さを、座面からねじ先の端面までの長さとしている[4]。皿頭のボルトや小ねじでは、頭部頂面からねじ先の端面までになる[4]。六角ボルトの呼び長さには頭の高さが入らない。ばね座金や平座金を入れる部位では、座金の厚さとナットの高さを足して長さを選ぶことになるので、座金を変えたときは呼び長さも見直す。

ねじ部の長さは、本体の製品では「参考」

本体の呼び径六角ボルトの寸法表では、ねじ部長さ b は「参考」の欄に、呼び長さが 125 mm 以下、125 mm を超え 200 mm 以下、200 mm を超える場合の 3 通りで示されている[1]。M12 では、呼び長さ 125 mm 以下のときの b が 30 mm(参考)である[1]。規格が寸法として規定しているのは、円筒部の長さ(ls・lg)のほうで、lg の最大は呼び長さから b を引いた値とされている[1]。また、推奨する呼び長さは寸法表で ls と lg の欄に数値が書かれたものとされ、寸法表の太い階段線の上側の区域にある呼び長さのものは、全ねじ六角ボルトの表によるのがよいとされている[1]。

つまり本体の製品を指定した場合、ねじが切られる長さは呼び長さに応じて規格が決める。設計上、ねじ部をもっと長く(あるいは短く)したい場合は、規格品のままでは手に入らないので、指定事項として長さを書き、特注になることを前提に見積を取る。JIS B 1180 の適用範囲も、規定する寸法と製品仕様以外の要求がある場合は、受渡当事者間の協定によって、たとえば JIS B 1009 などから選択するとしている[1]。

附属書の製品では、呼び長さとねじ部長さの組合せを表で示し、ねじ部長さと不完全ねじ部の長さの和が呼び長さ以上になる場合は全ねじとし、特に必要がある場合は指定によって表以外の長さを使うことができるとしている[1]。附属書の製品はねじ先の形状や頭部の座付きも「使用者が指定する」とされている項目が多い[1]。指定しなければ製造側の標準で作られる。

発注書には、規格の呼び方の並びで書く

JIS B 1180 と JIS B 1181 は、種類ごとに製品の呼び方の例を示している。本体の呼び径六角ボルトなら「呼び径六角ボルト-JIS B 1180-ISO 4014-M12×80-8.8-部品等級A」、本体の六角ナットなら「六角ナット-スタイル1 JIS B 1181-ISO 4032-M12-8」である[1][2]。附属書の製品は、ボルトなら種類・仕上げ程度・ねじの呼び×呼び長さ・ねじの公差域クラス・強度区分・材料・指定事項の順に並べ、指定事項には座付き、ねじ部長さ、ねじ先の形状、一段大きい二面幅、表面処理の種類などを必要に応じて示すとされている[1]。附属書のナットの呼び方の例は「六角ナット 2種 上 M8 -6H -4T」である[2]。

実務の提案としては、次のように書くと取り違えが減る。

1. 対応する ISO の番号を必ず入れる
本体の製品は、呼び方に ISO 番号が入る。ISO 番号があれば、附属書の製品ではないことが文字の上で分かる。逆に、附属書の製品の呼び方には ISO 番号が入らない。

2. 部品等級か仕上げ程度のどちらかを必ず書く
どちらも書いていない発注書は、本体か附属書かが決まらない。

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3. 標準と違う形は指定事項に書く
ねじ部長さ、座付き、ねじ先、表面処理などを、呼び方の末尾の指定事項として書く。口頭や別紙で伝えると、納品書と照合できない。

4. 規格番号に発行年を書く
JIS B 1180 と JIS B 1181 の最新改正は 2014 年で、ボルトは 2011 年版の ISO 4014 などを、ナットは 2012 年版の ISO 4032 などを基にしている[1][2]。一方、ISO 4014 は 2022 年 6 月に第 5 版が、ISO 4032 は 2023 年 8 月に第 5 版が出ており、どちらも前の版を置き換えている[5][6]。ISO 4032:2023 の適用範囲は呼び径 M5〜M39 で、それより小さいものと大きいものは附属書 A を見るよう書かれている[6]。JIS の表の範囲(スタイル 1 は呼び径 1.6〜64 mm)とは整理の仕方が違う[2]。海外の仕入先が ISO の最新版で作るときは、どの版で作り、どの版で判定するかを決めておく。版の時間差の考え方はボルトの強度区分の記事でも触れた。

図面や購買仕様書の書き方の全体は購買仕様書の書き方にまとめてある。ステンレス製のボルトを棒材から削り出して作る場合の鋼種の選び方は、SUS303 と SUS304 の棒材の選び方で扱う。

受入で確かめること

JIS B 1180 は、規格の全ての要求事項に適合した製品の包装の外面に、種類、部品等級、ねじの呼び×呼び長さ、ねじの公差域クラス、強度区分、材料(一部の製品)、数量及び指定事項、製造業者名またはその略号を表示するとしている[1]。附属書の製品では、部品等級の代わりに仕上げ程度を表示する[1]。受入では、この包装の表示と発注書の呼び方を突き合わせるのが最初の確認になる。

形状と寸法の確かめ方について、附属書の製品は、形状・寸法の検査を JIS B 1071 の測定方法またはこれに代わる方法で、ねじの検査を JIS B 0251 のねじ用限界ゲージまたはこれに代わる器具で行うとしている[1]。本体の製品では、受入検査の手順を JIS B 1091 によるとしている[1]。現物で本体と附属書を見分けるなら、二面幅を測るのが手早い。前の表のとおり、M10 と M12 では 1 mm 違う。

めっき品では、本体の製品の公差はほかに規定がなければめっき前に適用される[3]。附属書の製品は、めっきを施したねじの最大許容寸法を 4h とし、めっきを施したねじに対する通りねじリングゲージは 4h のものを用いるとしている[1]。受入でめっき後のねじをゲージで見るときは、どのゲージで判定するかを仕入先と合わせておく。

受け入れた後で寸法違いが見つかったときの返品の扱いは、受領拒否・返品・やり直しはどこまで許されるかを参照してほしい。

よくある質問

図面に「六角ボルト JIS B 1180 M10×30」とだけある

本体か附属書か、部品等級(または仕上げ程度)、強度区分が決まっていない。新しく設計した部品なら、本体の製品として部品等級と ISO 番号を補ってもらう。既存の機種の部品なら、これまで納入されていた品物の二面幅を確かめ、附属書の製品だったなら仕上げ程度まで明記してもらう。

既存の機種で使っている附属書の製品は、すぐ切り替えるべきか

規格は「新規設計の機器,部位などには使用しないのがよい」としているので[1]、既存の部位まで直ちに切り替えるよう求めているわけではない。切り替えると二面幅が変わり、工具や周りの逃げ寸法に影響することがあるので、設計変更として扱う。切り替えない場合でも、どの機種のどの部位が附属書の製品なのかを品目マスタに残し、新規設計の部位に混ざらないようにする。

ナットの「スタイル 1」と「スタイル 2」は何が違うか

規格の寸法表では、同じ M12 の並目ねじで、高さの最大がスタイル 1 は 10.80 mm、スタイル 2 は 12.00 mm で、二面幅はどちらも 18 mm である[2]。スタイル 2 のほうが高い。組み合わせるボルトとの関係でどちらを選ぶかは設計の判断なので、発注側はスタイルを書き落とさないことを確かめる。

附属書のナットにある「3 種」は何に使うのか

附属書の六角ナットは形状で 1 種〜4 種に区別され、寸法表の注記には止めナットには通常 3 種のものを使用すると書かれている[2]。3 種の鋼ナットの機械的性質は受渡当事者間の協定によるとされているので[2]、3 種を発注するときは強度の扱いを別に決める必要がある。

まとめ

JIS B 1180 と JIS B 1181 には、ISO による本体の製品と、ISO によらない附属書の製品が入っている。附属書は将来廃止するので新規設計には使わないのがよいとされ、二面幅などの寸法も本体と違う。本体の製品は部品等級で公差の水準を表し、呼び径六角ボルトの部品等級 A と B は呼び径と呼び長さで分かれる。呼び長さは座面からねじ先までで、本体の製品のねじ部長さは呼び長さに応じて規格が決める。発注書には規格の呼び方の並びで、ISO 番号と部品等級(または仕上げ程度)を必ず入れ、標準と違う形は指定事項として書く。受入では包装の表示と発注書の呼び方を突き合わせ、迷ったら二面幅を測る。

出典・参考資料

  1. JIS B 1180:2014 六角ボルト(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2014 年 4 月 21 日改正・2019 年 10 月 21 日確認)
  2. JIS B 1181:2014 六角ナット(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2014 年 4 月 21 日改正・2019 年 10 月 21 日確認)
  3. JIS B 1021:2003 締結用部品の公差-第1部:ボルト,ねじ,植込みボルト及びナット-部品等級A,B及びC(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2003 年 3 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  4. JIS B 1009:2014 締結用部品-おねじ部品-呼び長さ及びねじ部長さ(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2014 年 9 月 22 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
  5. ISO 4014:2022 Fasteners — Hexagon head bolts — Product grades A and B(国際標準化機構(ISO)/2022 年 6 月発行・第 5 版)
  6. ISO 4032:2023 Fasteners — Hexagon regular nuts (style 1)(国際標準化機構(ISO)/2023 年 8 月発行・第 5 版)
  7. 角谷治彦・瀬良雅也・坂本博夫「ばね座金を用いたボルト締結部の設計指針の検討」設計工学・システム部門講演会講演論文集 2018.28(日本機械学会/2018 年)
  8. JIS B 1256:2008 平座金(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2008 年 3 月 20 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)

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