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JISフランジ(JIS B 2220)の指定——5K・10K・20K の呼び圧力、形状・座の記号、ASME との違い

この記事のポイント(結論先出し)
JIS フランジの代表は JIS B 2220(鋼製管フランジ)で、呼び圧力 5K・10K・10K 薄形・16K・20K・30K・40K・63K、呼び径 10A〜1500A を扱う。呼び圧力の数字はそのまま使える圧力ではない。使える圧力は材料と流体の温度で決まり、10K の SS400 などのフランジでは、区分 I の場合で 120 ℃以下 1.4 MPa、300 ℃では 1.0 MPa になる(区分 II では全温度で 1.0 MPa)。しかも SS400 や S20C は 16K 以上の圧力-温度基準に入っていない。発注では「JIS B 2220 SOP FF 10K 50A SS 400」のように、フランジの種類・ガスケット座・呼び圧力・呼び径・材料記号をそろえて書き、亜鉛めっきなら ZN を付ける。ASME B16.5 はクラス(150〜2500)とインチ系の寸法で決まる別の体系で、JIS B 2220 には対応する国際規格が無い。呼びが近いからといって JIS と ASME のフランジを置き換えない。
目次
JIS B 2220 の範囲:「10K フランジ」はどの規格の何を指すか
「10K フランジ」と言うとき、多くは JIS B 2220:2012(鋼製管フランジ)のフランジを指す。この規格は、蒸気・空気・ガス・水・油などの一般配管、圧力配管、高圧配管、高温配管、合金鋼配管、ステンレス配管に使う鋼管・バルブなどの配管部品を接合する、呼び圧力 5K・10K・10K 薄形・16K・20K・30K・40K・63K、呼び径 10A〜1500A の鋼製管フランジの規格である[1]。2012 年 2 月 20 日に改正され、2021 年 10 月 20 日に確認されている[1]。
材料が鋳鉄なら JIS B 2239(鋳鉄製管フランジ)で、こちらは呼び圧力 5K・10K・10K 薄形・16K・20K、呼び径 10A〜1500A を扱い、フランジの種類はねじ込み式(TR)と一体フランジ(IT)だけである[2]。同じ「10K」でも鋼製と鋳鉄製で規格が違うので、発注書には規格番号を書く。
JIS B 2220 の序文は、対応国際規格は現時点で制定されていないと書いている[1]。JIS のフランジは国内の鋼管(JIS G 3452 の SGP など)に合わせた体系で、規格の附属書には接合する JIS 鋼管の外径が参考として載っている。たとえば呼び径 50A の外径は 60.5 mm である[1]。規格の適用範囲の注は、一般配管を JIS G 3452 の配管用炭素鋼鋼管などを用いた配管、圧力配管を JIS G 3454 の圧力配管用炭素鋼鋼管を用いた配管としている[1]。JIS G 3452 自体は、使用圧力の比較的低い蒸気・水(上水道用を除く)・油・ガス・空気などの配管に用いる管の規格である[6]。管の選び方はSGP の指定の記事で扱っている。
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呼び圧力の数字は「使える圧力」ではない——圧力-温度基準の読み方
JIS B 2220 は、流体の温度と最高使用圧力の関係(圧力-温度基準)を表 11 で決めている[1]。表は呼び圧力ごとに、材料グループ番号と区分(I・II・III)で分かれていて、流体の温度が上がるほど最高使用圧力が下がる。炭素鋼の材料グループ 001(SS400、S20C、SF390A、SFVC1、SC410、SCPH1 など)を例にすると次のとおりである[1]。
| 呼び圧力 | 材料グループ | 常温以下〜120 ℃ | 220 ℃ | 300 ℃ |
|---|---|---|---|---|
| 5K(区分 I) | 001・002・003a | 0.7 MPa | 0.6 MPa | 0.5 MPa |
| 10K(区分 I) | 001・002・003a | 1.4 MPa | 1.2 MPa | 1.0 MPa |
| 10K(区分 II) | 001・002・003a | 1.0 MPa | 1.0 MPa | 1.0 MPa |
| 16K(区分 I) | 002・003a(001 は表に無い) | 2.7 MPa | 2.5 MPa | 2.3 MPa |
| 20K(区分 I) | 002・003a(001 は表に無い) | 3.4 MPa | 3.1 MPa | 2.9 MPa |
| 10K 薄形 | — | 通常、温度 120 ℃以下・圧力 0.7 MPa 以下の静流水に用いる | ||
この表から言えることが三つある。第一に、10K のフランジ(区分 I)でも 300 ℃の流体なら最高使用圧力は 1.0 MPa で、120 ℃以下の 1.4 MPa より 3 割低い[1]。第二に、SS400 や S20C などの材料グループ 001 は、16K 以上の行に出てこない。16K・20K のフランジは S25C・SF440A・SC480(グループ 002)などの材料になる[1]。図面の呼び圧力だけを変えて材料記号を SS400 のまま残すと、規格の表に無い組み合わせになる。第三に、区分 II・III は区分 I に制限を加えたもので(10K の材料グループ 001 の区分 II は、表のとおり 300 ℃まで 1.0 MPa)、どの区分を使うかはフランジの種類と呼び径ごとに別の表(表 12)で決まる[1]。区分の当てはめは設計で確かめる。
白フランジ(亜鉛めっきしたもの)の使用温度は 300 ℃以下とされている[1]。鋳鉄製の JIS B 2239 では、10K のねずみ鋳鉄(FC200)系の材料グループが 120 ℃以下で 1.4 MPa、220 ℃で 1.0 MPa と、鋼製とは別の圧力-温度基準になっている[2]。
フランジの種類とガスケット座の記号
JIS B 2220 はフランジの種類を形状で分け、記号を決めている[1]。
1. SOP(スリップオン溶接式・板フランジ)
板から作ることもできる、管を差し込んで溶接する形。
2. SOH(スリップオン溶接式・ハブフランジ)
ハブの付いた差込み溶接形。20K・30K では A 形・B 形・C 形がある。
3. SW(ソケット溶接式)・WN(突合せ溶接式)
WN の 5K・10K には代替寸法品(H)がある。
4. LJ(遊合形)・TR(ねじ込み式)・IT(一体)・BL(閉止)
TR のねじは JIS B 0203 の管用テーパねじによる[1]。JIS B 0203 はテーパおねじを R、テーパめねじを Rc、平行めねじを Rp で表す[5]。
ガスケット座は、全面座(FF)、平面座(RF)、はめ込み形(MF:メール座 MF-M とフィメール座 MF-F の組合せ)、溝形(TG:タング座 TG-T とグルーブ座 TG-G の組合せ)の 4 種類である[1]。どのフランジにどの座を組み合わせられるかも表で決まっていて、たとえば 5K の SOP・SOH・SW・TR・BL は FF だけ、20K 以上はどの種類も FF が無い[1]。ガスケット座面の仕上げ粗さは FF と RF が Ra 3.2〜6.3 μm、MF と TG が Ra 3.2 μm 以下で、受渡当事者間の協議で他の仕上げにしてもよいとされている[1]。
規格には使い方の注意も書かれている。5K で呼び径 400A 以上、10K で 250A 以上の全面座の SOP と BL は、フランジにかかる曲げモーメントが過大にならないよう、リングガスケットの代わりに全面形ガスケットを使うのが望ましいとしている[1]。これは「望ましい」の推奨で、要求事項ではないが、ガスケットを手配するときの確かめどころになる。
ガスケットとボルトは、フランジの規格とは別に決める
フランジに挟むガスケットの寸法は JIS B 2404(管フランジ用ガスケットの寸法)が決めている。対象は JIS B 2220・B 2239・B 2240・B 2241 の本体に定めるフランジで、ISO 7005 シリーズのフランジに対応するガスケットには適用しない。ガスケットの材料と使用基準はこの規格では決めていないと序文に明記されている[3]。寸法の規格だけで流体と温度に合うかは決まらないので、ガスケットの材料の確かめ方はO リングとガスケットの記事を参照してほしい。
ボルトについて JIS B 2220 は、JIS B 1180 の本体による六角ボルトと JIS B 1181 の本体による六角ナットを使う場合は部品等級 A または B のものを使い、ねじの呼び M24 以下では JIS B 1256 の並形・部品等級 A で硬さ区分 200HV(ボルトの常温の降伏点または 0.2 % 耐力が 640 N/mm² を超えるときは 300HV)の平座金を併用するのが望ましいとしている[1]。部品等級と本体・附属書の違いは六角ボルト・ナットの記事、締付けの管理は締付けトルクの記事で扱う。
呼び方と表示:発注書は規格どおりの並びで書く
JIS B 2220 は、一体フランジを除く製品の呼び方を、規格番号(または規格名称)、フランジの種類、ガスケット座、呼び圧力、呼び径、材料記号の順としている。白フランジの場合に限って亜鉛めっきの有無の呼び方(ZN)を付記し、10K 薄形は L、5K・10K の WN の代替寸法品は H、20K・30K の SOH は A・B・C の形式を付記する[1]。規格の例は次のとおりである[1]。
例 1
JIS B 2220 SOP FF ZN 5K 300A SS 400(スリップオン溶接式・板フランジ、全面座、白フランジ、5K、300A、SS400)
例 2
JIS B 2220 SOP FF 10K L 150A S 20 C(10K 薄形の板フランジ)
例 3
JIS B 2220 SOH RF 20K A 50A SUS F316L(20K のハブフランジ、A 形、平面座)
フランジの外周面には、呼び圧力・呼び径・材料記号と、溶解または鋳造番号(またはそれらを追跡できる品質管理番号)、製造業者名などを、押印・刻印など容易に消えない方法で表示するとされている[1]。受入では、外周の表示と発注書の呼び圧力・材料記号を突き合わせ、追跡番号で材料の証明書をたどれるかを見る。
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亜鉛めっきは、溶融亜鉛めっきなら硫酸銅試験で浸せき 5 回で終止点に達しないこと、電気亜鉛めっきなら JIS H 8610 の 2 級またはそれと耐食性が同等以上のものとされ、めっきは機械加工の後に施す[1]。めっき後に内径面や溶接部のめっきを除去するものは、加工代を見込んでめっきしてもよい[1]。
受渡検査:規格が必ず見るものと、注文で求めるもの
JIS B 2220 の受渡検査の項目は、寸法・外観・表面仕上げ・材料の各検査と、鋳鋼品の浸透探傷・磁粉探傷、鍛鋼品と鋳鋼品の超音波探傷である。ただし探傷の 3 項目には「注文者の要求による場合」と付いている[1]。材料検査は特に注文者の指定がない限り行うとされ、ロット検査の抜取検査方式は受渡当事者間の協定による[1]。
つまり、鋳鋼品や鍛鋼品のフランジで内部欠陥を探傷で確かめてほしいなら、注文時に求めておかなければ規格上は行われない。抜取の方式も、決めなければ決まらない。探傷の方法と合否の書き方は非破壊検査の指定の記事で扱っている。小径の配管で使うねじ込み式の継手はねじ込み式管継手の記事、装置内の空気圧配管はワンタッチ継手とエアチューブの記事、ポンプや送風機の駆動部の保守部品はV ベルトとタイミングベルトの記事で扱う。ねじ込み式フランジ(TR)では、ねじの軸線のガスケット座面に対する直角度が軸線の長さ 100 mm につき 0.9 mm 以内とされている[1]。
ASME B16.5 とは体系が違う——置き換えないための確かめどころ
海外の設備や図面では、ASME B16.5(管フランジとフランジ付き管継手)のフランジが指定されることがある。2025 年版の概要によると、ASME B16.5 はクラス 150・300・400・600・900・1500 のフランジを NPS 1/2〜NPS 24、クラス 2500 を NPS 1/2〜NPS 12 で扱い、要求事項はメートル系とインチ系の両方の単位で示されるが、ボルトとボルト穴の径はインチで表すとされている[4]。
JIS B 2220 は呼び圧力(5K〜63K)と呼び径(A)で、ASME B16.5 はクラスと NPS で寸法が決まる。JIS B 2220 には対応する国際規格が無く[1]、JIS B 2404 のガスケットも ISO 7005 のフランジ用ではない[3]。「10K と 150 は近い」といった呼びの印象で置き換えない。置き換えが必要なら、設計者が相手側のフランジの規格・呼び・寸法を図面で確かめ、ボルト穴の数と位置、外径、ガスケット座が合うことを承認してから手配する。
発注書・仕様書に書く項目
1. 規格番号
鋼製は JIS B 2220、鋳鉄製は JIS B 2239。ASME B16.5 なら版も。
2. フランジの種類とガスケット座
SOP・SOH・WN・BL など。FF・RF・MF・TG(組合せの相手も)。
3. 呼び圧力と呼び径
10K 薄形なら L。流体と最高温度も添え、圧力-温度基準に入るかを設計で確かめておく。
4. 材料記号
16K 以上で SS400 のままになっていないか。
5. 表面
黒か白(ZN)か。溶融か電気か。座面の仕上げを規格と変えるなら協議の内容。
6. 検査
探傷を求めるか、抜取の方式、材料の証明書。
よくある質問
Q. 10K フランジは 1.0 MPa まで使えるという理解でよいか。
A. 規格の圧力-温度基準で決まる。炭素鋼の材料グループ 001 の 10K(区分 I)は、120 ℃以下で 1.4 MPa、220 ℃で 1.2 MPa、300 ℃で 1.0 MPa である。区分 II・III が当たるフランジの種類と呼び径もあるので、表 11 と表 12 で確かめる。
Q. 10K を 16K に上げるとき、材料はそのままでよいか。
A. SS400 や S20C などの材料グループ 001 は 16K 以上の圧力-温度基準に入っていない。S25C・SF440A などのグループ 002 以上の材料にする。
Q. 鋳鋼品のフランジの探傷は、規格品なら行われているか。
A. JIS B 2220 の受渡検査では、浸透探傷・磁粉探傷・超音波探傷は注文者の要求による場合の項目である。必要なら注文時に求める。
Q. 海外図面の ASME クラス 150 を JIS 10K に替えてよいか。
A. 体系が別の規格で、ボルト穴の径はインチで表される。呼びで置き換えず、相手側の寸法と合うかを設計者が図面で確かめてから決める。
まとめ
JIS B 2220 は呼び圧力 5K〜63K、呼び径 10A〜1500A の鋼製管フランジの規格で、使える圧力は呼び圧力の数字ではなく、材料グループと流体の温度による圧力-温度基準で決まる。SS400 や S20C は 16K 以上の基準に入っていない。発注では、規格番号・種類・ガスケット座・呼び圧力・呼び径・材料記号を規格の呼び方の並びで書き、白フランジは ZN を付ける。探傷は注文で求めないと行われず、ガスケットの材料は寸法規格の外で決める。ASME B16.5 はクラスとインチ系の寸法で決まる別の体系なので、呼びの近さで置き換えない。
出典・参考資料
- JIS B 2220:2012 鋼製管フランジ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2012 年 2 月 20 日改正・2021 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 2239:2013 鋳鉄製管フランジ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2013 年 11 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 2404:2018 管フランジ用ガスケットの寸法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2018 年 2 月 20 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)
- ASME B16.5:2025 Pipe Flanges and Flanged Fittings: NPS 1/2 through NPS 24 Metric/Inch Standard(規格の概要)(規格販売サイト Normservis の規格紹介ページ/2025 年版)
- JIS B 0203:1999 管用テーパねじ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 3 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
- JIS G 3452:2026 配管用炭素鋼鋼管(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2026 年 5 月 20 日改正)
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