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ワンタッチ継手とエアチューブの選び方(JIS B 8381-1)——外径・材質・使用圧力と型番での指定

この記事のポイント(結論先出し)
ワンタッチ継手(空気圧用のプッシュイン継手)の JIS は JIS B 8381-1:2022 で、外径 2〜16 mm の樹脂チューブ用の継手を、ISO 14743 に対応する I 形と国内で使われてきた J 形に分けている。I 形の使用範囲は -20〜80 ℃・最高 1.6 MPa だが、チューブの定格圧力の方が低ければ、組み合わせた全体の最高使用圧力はチューブの定格圧力になる。J 形はチューブの種類で最高使用圧力が決まり、ポリアミドチューブ 1 種(AH)で 1.0 MPa、ポリウレタンチューブ 2 種(UL)で 0.25 MPa と 4 倍の差がある。規格は継手の細部の設計を製造業者に任せており、別の製造業者の継手とチューブを組み合わせたときの性能までは保証していない。発注では、継手の呼び記号(形状・チューブ外径・ねじ)と、チューブの種類・外径・使用圧力を対にして書き、型番で買うときは組み合わせる相手の型番まで指定する。
目次
ワンタッチ継手の JIS(B 8381-1)は I 形と J 形の 2 本立て
「ワンタッチ継手」は工具を使わずにチューブを差し込んで接続できる継手の通称で、JIS では JIS B 8381-1(空気圧用継手-第 1 部:熱可塑性樹脂チューブ用プッシュイン継手)が扱っている。現行版は 2022 年 2 月 21 日に改正された版で、外径 2 mm〜16 mm の熱可塑性樹脂チューブ用プッシュイン継手の設計と性能について、一般要求事項と試験方法を定める。機器に埋め込むものは除き、エアブレーキシステムには適用しない[1]。
この規格は継手を 2 種類に分けている。I 形は ISO 14743 に対応する継手、J 形は従来から国内で使われてきた継手(旧 JIS B 8381:1995 に適合するもの)である[1]。構造の設計は製造業者が決めるとされ、条件は、工具を使わずにチューブロック機構とリリーススリーブの操作でチューブを接続・取外しでき、チューブとの間を密封する構造であることだけである[1]。
購買の立場で押さえたいのは、規格が決めているのは「呼び」と最低限の性能と主要寸法の上限で、製品の細部は製造業者ごとに違ってよいという点である。たとえばチューブの挿入深さは最大値(外径 6 mm で 19 mm 以下)が決まっているだけで、表に無い各部の寸法は製造業者が決める[1]。同じ「外径 6 mm 用」でも、製造業者が違えば寸法の細部も、チューブを保持する仕組みも同じとは限らない。
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使える圧力と温度は「継手」ではなく「継手とチューブの組」で決まる
I 形と J 形で、使用条件の決め方が違う。I 形は、温度 -20〜80 ℃、圧力 -0.09 MPa〜1.6 MPa(最高使用圧力)の範囲で使うとされている。ただし I 形より低い定格圧力のチューブを使う場合は、継手とチューブのアセンブリの最高使用圧力はチューブの定格圧力とすると明記されている[1]。継手のカタログに 1.6 MPa と書いてあっても、つないだチューブがそれより低い定格なら、配管としての上限はチューブ側で決まる。
J 形は、適用するチューブの種類で最高使用圧力(定格圧力)が決まり、周囲温度と使用空気温度は -5〜50 ℃の範囲で使う[1]。J 形に使うポリアミドチューブとポリウレタンチューブの寸法と性能は附属書 JA で決められている[1]。主な違いを並べると次のとおりである[1]。
| チューブの種類(記号) | J 形継手との組の最高使用圧力 | 外径 6 mm の最小曲げ半径 | 破壊圧力の下限(20 ℃) | 破壊圧力の下限(50 ℃) |
|---|---|---|---|---|
| ポリアミドチューブ 1 種(AH) | 1.0 MPa | 25 mm | 6.0 MPa | 3.6 MPa |
| ポリアミドチューブ 2 種(AL) | 0.5 MPa | 21 mm | 3.2 MPa | 2.0 MPa |
| ポリウレタンチューブ 1 種(UH) | 0.4 MPa | 23 mm | 2.5 MPa | 1.2 MPa |
| ポリウレタンチューブ 2 種(UL) | 0.25 MPa | 21 mm | 1.2 MPa | 0.9 MPa |
表から読み取れることは二つある。一つは、同じ外径 6 mm でも、チューブの種類によって組の最高使用圧力が 0.25 MPa から 1.0 MPa まで 4 倍違うこと。柔らかく曲げやすいポリウレタンチューブに替えると、圧力の上限が下がる。もう一つは、破壊圧力の下限が温度で下がることで、AH では 20 ℃の 6.0 MPa に対して 50 ℃では 3.6 MPa になる[1]。発熱する機器の近くや日の当たる場所を通す配管では、常温の値で判断しない。
ポリウレタンチューブ 2 種(UL)を J 形継手につなぐときは、インサートを付けて使うことが規格に書かれている[1]。仕入先がチューブだけを替える提案をしてきたら、インサートが要る組み合わせにならないかも確かめる。
チューブの外径は「呼び」が同じでも、許容差と材質で別物になる
チューブの外径のサイズ系列は 2・3・4・6・8・10・12・16 mm で[1]、継手の呼びはこのチューブ外径で表す。プッシュイン継手はチューブの外面をつかんで保持し密封するため、外径の許容差が性能に直結する。規格の附属書は、試験に用いるチューブの外径を、同じ切断面で測った最大径と最小径がどちらも許容差内に入ることとしており、たとえばポリアミドチューブの外径 3 mm では ±0.08 mm である[1]。附属書の注記も、チューブの機械的特性は継手がチューブの外面で保持していることを考慮していると述べている[1]。
実務上の注意は、外径が同じでもインチ系のチューブとはつながらないことである。JIS B 8381-1 は、国内の実用面を考えてミリ系のサイズ系列に 2 mm を加え、14 mm とインチ系を削除したと対比表に書いている[1]。海外製の装置の保守部品を国内で手配するときは、チューブがミリ系かインチ系かを現物か図面で確かめてから継手を選ぶ。
チューブ側の表示も確かめ先になる。空気圧システムの一般規則を定める JIS B 8370:2013 は、樹脂チューブに、製造業者または供給者の名前か商標、製造期日(年/期)、使用圧力範囲を明瞭かつ恒久的な方法で表示しなければならないとし、呼び外径の表示は任意としている[4]。受入では、チューブに刷られた使用圧力範囲が、発注時に決めた圧力を下回っていないかを見る。
ねじ側:M ねじ・G ねじ・R ねじと、I 形・J 形の違い
機器のポートにねじ込む側のねじは、継手の種類で決まり方が違う。JIS B 8381-1 は、M ねじと G ねじ付きの継手のねじとスタッドエンドは JIS B 8674 により、R ねじ付きの継手は JIS B 0203 によるとしている[1]。寸法表の R ねじの行には「I 形には適用しない」と注があり、R ねじ(管用テーパねじ)付きのスタッドは J 形だけである[1]。
JIS B 8674(空気圧用継手-ポート及び継手端部)は、空気圧用の平行ねじをもつポートと継手端部の規格で、ISO 7-1 に適合するねじ(管用テーパねじ)の接続部を対象にしていない。I 形は -0.09〜1.6 MPa・-20〜80 ℃、J 形は -0.09〜1 MPa・-5〜50 ℃で使えるように設計することを求めている[3]。つまり平行ねじのポートは、ねじ山ではなくシール材で密封する考え方の部品である。一方 JIS B 0203 の管用テーパねじは、ねじ部の耐密性を主な目的とするねじで、テーパおねじを R、テーパめねじを Rc、平行めねじを Rp で表す[5]。
購買で起きやすいのは、機器のポートが Rc なのか G なのか M5 なのかを確かめずに「1/8 の継手」と手配することである。ポートのねじが平行ねじ(G)なのに R ねじの継手を手配すると、ねじ込めても密封の仕組みが合わない。継手を手配するときは、相手の機器の取扱説明書か図面でポートのねじの種類を確かめ、呼び記号に「G 1/8」「R1/8」「M5」のように種類まで書く。ねじ穴側の指示の書き方はねじ穴とインサートの記事、管用テーパねじと SGP の組み合わせはSGP の指定の記事で扱っている。
呼び記号で書くと、形状・チューブ・ねじが 1 行にそろう
JIS B 8381-1 は継手の呼び記号を英数字で表すと定めている。I 形は「継手の記号-接続するチューブまたはねじ」の後に「ISO 14743」を付け、J 形は先頭に「JIS B 8381-1 J」を付ける[1]。継手の記号は、接続端のタイプ(スイベル SW、バンジョー BJ、隔壁 BH、プラグ PL、ポート P、スタッド SD、チューブエンド TE)と形状(ストレート S、エルボ E、ティー T、ランティー RT、ブランチティー BT、クロス K、ワイ Y)の組み合わせで表す[1]。
規格が示す例では、外径 6 mm のチューブを G 1/8 のポートにつなぐスタッドストレートは、I 形で「SDS-6 x G 1/8 ISO 14743」、J 形で「JIS B 8381-1 J SDS 6 x G 1/8」と書く。径違いのチューブをつなぐストレートは「S-6×4」のように外径を小文字の x で分ける[1]。型番だけの手配に比べて、呼び記号で書くと「どの形で、何 mm のチューブを、どのねじにつなぐか」が仕入先と食い違わない。
規格に適合する継手は、試験報告書・カタログ・販売文書に「JIS B 8381-1-ISO 14743-適合空気圧用プッシュイン継手-I 形」または「JIS B 8381-1-適合空気圧用プッシュイン継手-J 形」と表示するとされている。包装には製造業者名、呼び記号、製造年月(またはその略号)を表示する[1]。受入のときは、包装の呼び記号と発注書を突き合わせる。
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規格が確かめている性能と、確かめていないこと
規格の試験は、継手とチューブを接続したアセンブリで行う。I 形には引張力・圧力性能・気密性・接続力・取外し力・耐久性、J 形にはそれに流量特性と外観を加えた要求事項を適用する[1]。たとえば J 形の耐圧試験は定格圧力の 1.5 倍を少なくとも 30 秒間加えて変形や漏れが無いこと、破壊圧力試験は定格圧力の 3 倍まででチューブの抜けや破壊が無いことを見る[1]。試験の前には接続と取外しを 4 回行い、5 回目の接続の状態で試験するとされている[1]。
注意したいのは、試験は「規格の附属書で決めたチューブ」と「製造業者が指定する接続方法」で行うことである[1]。製造業者 A の継手に製造業者 B のチューブを差した組み合わせは、規格の試験の範囲の外にある。規格がそれを禁じているわけではないが、組み合わせの性能を確かめているのは製造業者自身の資料である。装置の仕様書で継手とチューブの製造業者を別々に選ぶなら、組み合わせてよいかを継手側の製造業者に確かめるか、現物で漏れと抜けを確かめてから採用する。
外観について、J 形の継手の仕上がり部には有害なきず・割れ・ばりなどが無く、内外の表面にはめっきなどでさび止め処理を施す(耐食材料の部分は不要)とされている[1]。シール材として O リングを使う継手の材質の考え方はO リングとガスケットの記事を参照してほしい。
締込み継手(JIS B 8381-2)との違い
空気圧用の樹脂チューブ用継手には、ナットでスリーブを締めてチューブを保持する締込み継手もあり、JIS B 8381-2:2008(熱可塑性樹脂チューブ用締込み継手)が扱っている。対象は機械設備の空気圧システムで用いるポリアミドチューブまたはポリウレタンチューブを接続する締込み継手で、最高使用圧力はポリアミドチューブ 1 種で 1.0 MPa、2 種で 0.5 MPa、ポリウレタンチューブで 0.4 MPa、使用温度は -5〜50 ℃である[2]。チューブ外径の系列は 4〜12 mm で[2]、プッシュイン継手より範囲が狭い。
締込み継手の構造は、チューブを挿入した後にユニオンナットなどでスリーブを圧縮変形させて保持・密封するもので、設計は製造業者が決める[2]。振動のある場所で抜けを嫌って締込み継手を選ぶといった判断は、設計者が決めることで、購買の側で「同じ外径だから」とプッシュイン継手に置き換えない。
装置の部品として買うとき、仕様書と発注書に書くこと
1. 継手の呼び記号
形状(S・E・T など)、接続端(SD・SW など)、チューブ外径、ねじの種類と呼び(M5・G 1/8・R1/8)。I 形か J 形か。
2. チューブの種類と外径
ポリアミドかポリウレタンか、種類の記号(AH・AL・UH・UL など)と外径×内径。ミリ系であること。
3. 使用圧力と温度
配管の使用圧力と周囲温度。継手の最高使用圧力ではなく、チューブとの組で満たすこと。
4. 製造業者の組み合わせ
継手とチューブを同じ製造業者でそろえるか、別にするなら組み合わせの確認をどちらが持つか。
5. 受入で見る表示
継手の包装の呼び記号と製造年月、チューブの使用圧力範囲の表示。
配管の支持について、JIS B 8370 は配管支持具の推奨最大間隔を呼び管外径 10 mm 以下で 1 m としている[4]。継手の抜けを継手だけの問題にせず、チューブの支持と曲げ半径も図面で決める。ねじ込み式の金属の管継手の指定はねじ込み式管継手の記事、配管のフランジはJIS フランジの記事で扱う。設備の駆動部の保守部品はV ベルトとタイミングベルトの記事にまとめた。
よくある質問
Q. ワンタッチ継手のカタログに 1.6 MPa とあれば、配管も 1.6 MPa まで使えるか。
A. 使えるとは限らない。JIS B 8381-1 は、I 形継手より低い定格圧力のチューブを使う場合、継手とチューブのアセンブリの最高使用圧力はチューブの定格圧力としている。使えるかはチューブの種類で決まる。
Q. 別の製造業者の継手とチューブを組み合わせてよいか。
A. 規格は細部の設計を製造業者に任せており、試験も製造業者が指定する接続方法で行う。組み合わせの性能を規格が保証しているわけではないので、継手側の製造業者の資料で確かめるか、現物で漏れと抜けを確かめてから採用する。
Q. 柔らかいチューブに替えたい。
A. ポリウレタンチューブはポリアミドチューブより組の最高使用圧力が低い(J 形で 0.4 MPa・0.25 MPa に対し 1.0 MPa・0.5 MPa)。配管の使用圧力を下回らないかと、2 種ではインサートが要ることを確かめる。
Q. 海外製の装置の継手が国内品と合わない。
A. チューブがインチ系の可能性がある。JIS B 8381-1 のサイズ系列はミリ系で、インチ系は削除されている。現物のチューブ外径を測るか、装置の部品表で系列を確かめる。
まとめ
ワンタッチ継手の JIS は JIS B 8381-1 で、ISO に対応する I 形と国内で使われてきた J 形がある。使える圧力は継手とチューブの組で決まり、チューブの定格圧力が低ければそれが上限になる。J 形ではチューブの種類によって組の最高使用圧力が 0.25〜1.0 MPa と 4 倍違い、破壊圧力の下限は温度で下がる。規格は細部の設計を製造業者に任せており、別の製造業者の継手とチューブの組み合わせまでは保証していない。発注では、継手の呼び記号(形状・チューブ外径・ねじの種類)と、チューブの種類・外径・使用圧力を対にして書き、ポートのねじが R か G か M かを相手の機器で確かめる。
出典・参考資料
- JIS B 8381-1:2022 空気圧用継手-第 1 部:熱可塑性樹脂チューブ用プッシュイン継手(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2022 年 2 月 21 日改正・2026 年 6 月 22 日確認)
- JIS B 8381-2:2008 空気圧用継手-第 2 部:熱可塑性樹脂チューブ用締込み継手(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2008 年 3 月 20 日制定・2022 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 8674:2017 空気圧用継手-ポート及び継手端部(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2017 年 5 月 22 日制定・2022 年 10 月 20 日確認)
- JIS B 8370:2013 空気圧-システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2013 年 5 月 20 日改正)
- JIS B 0203:1999 管用テーパねじ(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1999 年 3 月 20 日改正・2024 年 10 月 21 日確認)
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