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防湿包装・アルミバリア袋の指定——透湿度の測定条件、JIS Z 1520 のはく厚さと範囲、シール強さ

この記事のポイント(結論先出し)
湿気を嫌う部品や製品を「アルミ袋で防湿梱包」とだけ指定しても、袋がどれだけ水蒸気を通すかは決まらない。防湿の物差しは透湿度で、JIS Z 0208(カップ法)の条件 B(40 ℃・相対湿度 90 %)か、JIS K 7129-1 などの機器法の条件 3(40 ℃・湿度差 90 %)で測った値を書く[3][4]。JIS Z 0303 は、防湿性のある包装材料を透湿度 15 g/(m2・d) 以下、ハイバリヤフィルムを酸素ガス透過度 5 fmol/(m2・s・Pa) 以下かつ透湿度 5 g/(m2・d) 以下と線を引いている[2]。アルミはくを紙かセロハンにはり合わせた材料は JIS Z 1520 がはくの厚さごとに透湿度の上限を決めているが、プラスチックとはり合わせた多層の袋はこの規格の対象ではない[5]。発注では材料の構成・透湿度とその条件・シールの強さ・ピンホールの扱いを書き、乾燥剤の量はその透湿度から計算させる[1]。
目次
「アルミ袋で防湿」では、何を守るのかが決まらない
電子部品、樹脂ペレット、吸湿すると性質が変わる粉体や部品を仕入先から送ってもらうとき、梱包仕様に「アルミ袋で防湿梱包」「バリア袋使用」とだけ書くことが多い。袋の見た目は銀色でも、アルミはくの厚さ、はり合わせた相手の材料、口のシールのしかたで、通す水蒸気の量は大きく変わる。届いた製品が湿気を吸っていたとき、「指示どおりアルミ袋を使った」と言われると、それ以上は詰められない。
この記事は、工業用途の防湿包装に使うアルミバリア袋(アルミはくを含む多層の袋)と防湿フィルムを、発注する側がどう指定し、受け取るときに何を確かめるかを整理する。食品の保存袋や小売の包装の話ではない。乾燥剤の種類と量の計算は乾燥剤シリカゲル(JIS Z 0701)の指定で、金属部品のさび止め包装の記号と包装の閉じ方の管理は出荷時の防錆の指定で扱った。ここでは袋そのものの指定に絞る。一般のポリ袋の指定はポリ袋(PE 袋)JIS Z 1711 の発注で扱っている。
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どの規格の防湿包装か——JIS Z 0301 と JIS Z 0303
防湿包装の方法を決めた JIS は、目的で 2 つに分かれている。JIS Z 0301(防湿包装方法)は、防湿包装材料と乾燥剤で内容物を乾燥状態に保つ方法を定め、金属・金属製品のさびの発生を防ぐ目的の包装は JIS Z 0303 によるとしている。過度の乾燥が好ましくない内容物には適用しない[1]。JIS Z 0303(さび止め包装方法通則)は、鉄鋼を主とした金属材料と金属製品を輸送・保管するときのさび止め包装を定めている[2]。
電子部品や樹脂材料のように「湿気を吸わせたくない」ものは JIS Z 0301、金属部品で「さびさせたくない」ものは JIS Z 0303、と使い分ける。どちらを使うかで、包装材料に求める線の引き方も変わる。
JIS Z 0301 が防湿包装材料に求めること
JIS Z 0301 は、防湿包装材料として透湿度が小さく包装に適するものを用いるとし、「包装に適する」とは主に、包んだり折り畳んだりしても性能が低下しないこと、容易に封じられること、輸送中の振動などでピンホールが発生しない材料であることをいう、と注で説明している[1]。さらに、柔軟な包装材料ではヒートシールなどで密封すること、包装の表面積はできるだけ小さくすること、包装の中に入れる紙・段ボール・緩衝材など吸湿性のある材料はあらかじめ乾燥させるのが望ましいことを定めている[1]。
購買の目線で読むと、この 3 つ(透湿度が小さい・折っても性能が落ちない・振動でピンホールが出ない)は、カタログの透湿度の数字だけでは確かめられない。平らなフィルムの透湿度が小さくても、袋に加工して折り目がつき、輸送で揺すられた後に同じ値を保っているとは限らない。袋を承認するときは、透湿度の値に加えて、折り曲げや輸送の後の確認をどうするかを仕入先と決めておく。
透湿度は、測った条件と一緒に書く
透湿度は、一定時間に単位面積の膜を通過する水蒸気の量である。JIS Z 0208(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))は、温度 25 ℃ 又は 40 ℃で、材料の一方の側を相対湿度 90 %、他方の側を吸湿剤で乾燥状態に保ったとき、24 時間に通過する水蒸気の質量を 1 m2 当たりに換算した値としている[3]。条件 A は 25±0.5 ℃・90±2 %、条件 B は 40±0.5 ℃・90±2 % である[3]。
センサーで測る方法もある。JIS K 7129-1(感湿センサ法)は、表面が平滑なプラスチックのフィルム・シート・多層材料の水蒸気透過度を求める方法で、試験条件を表から選ぶ[4]。
| JIS K 7129-1 の条件 | 透過セルの温度 | 相対湿度差 |
|---|---|---|
| 条件 1 | 25±0.5 ℃ | 90 % |
| 条件 2 | 38±0.5 ℃ | 90 % |
| 条件 3 | 40±0.5 ℃ | 90 % |
| 条件 4 | 23±0.5 ℃ | 85 % |
| 条件 5 | 25±0.5 ℃ | 75 % |
表以外の条件は受渡当事者間の協定による[4]。同じ材料でも、25 ℃ と 40 ℃ では値が大きく違う。仕入先の資料に「透湿度 1」とだけ書いてあれば、どの条件で測った値かを必ず聞く。単位も g/(m2・24 h) と g/(m2・d) で表記が違うだけで、どちらも 1 日・1 m2 当たりの質量である[2][4]。
JIS Z 0303 の線引き——15 と 5
JIS Z 0303 は用語の定義で、包装材料の防湿性に数字の線を引いている。さび止め紙以外の包装材料は、透湿度が JIS K 7129 の条件 3 又は JIS Z 0208 の条件 B で測って 15 g/(m2・d) 以下の場合に防湿性があるとし、ハイバリヤフィルムは、酸素ガス透過度が 5 fmol/(m2・s・Pa) 以下で、かつ透湿度が同じ条件で 5 g/(m2・d) 以下のプラスチックフィルムとしている[2]。
乾燥剤を入れて密封する除湿包装(方法 RP4)では、この線が要求として出てくる。方法 RP4-1 は、乾燥剤とさび止め処理材料を併用した金属製品を耐油性バリヤ材で包み、透湿度 15 g/(m2・d) 以下の防湿材製の袋に入れてヒートシールなどで密封し、ヒートシールする場合はヒートシール強さを 5.9 N 以上とする[2]。方法 RP4-3(浮かしバリヤ法)は、JIS Z 1520 のはり合せアルミニウムはく製の袋、又はこれと同等の透湿度をもつ防湿材製の袋に乾燥剤とともに入れ、吸引して空気をできるだけ減らしてから封じる方法である[2]。脱酸素剤を使う方法 RP5 は、はり合せアルミニウムはくかハイバリヤフィルムで密封する[2]。
金属部品でなくても、この線は発注の目安として借りられる。「防湿包装材料」と書くなら「透湿度 15 g/(m2・d) 以下(JIS Z 0208 条件 B)」のように数字を添えれば、仕入先が選ぶ袋の幅が決まる。ただし、この数字は JIS Z 0303 の定義であって、JIS Z 0301 に同じ線があるわけではない。内容物に合わせて、許容する湿度と期間から必要な透湿度を逆算するのが本来の手順で、その計算は乾燥剤の記事で扱った JIS Z 0301 の式になる[1]。
アルミはくの厚さと透湿度——JIS Z 1520 の範囲に注意
アルミはくは、ピンホールがなければ水蒸気をほとんど通さない。JIS Z 1520(はり合せアルミニウムはく)は、アルミはくに紙又はセロハンを接着剤ではり合わせた材料について、はくの厚さごとに透湿度の上限を決めている[5]。
| アルミニウムはくの厚さ | はり合せはくの透湿度(JIS Z 1520 表 1) |
|---|---|
| 0.006 mm 以上 0.007 mm 未満 | 10 g/m2・24 h 以下 |
| 0.007 mm 以上 0.009 mm 未満 | 5 以下 |
| 0.009 mm 以上 0.013 mm 未満 | 3 以下 |
| 0.013 mm 以上 0.020 mm 未満 | 2 以下 |
| 0.020 mm 以上 | 0 |
この表は、型付加工(エンボス)をしたものには適用しない[5]。試験は JIS Z 0208 の装置で、試験片のアルミはくを高湿度側に向けてカップに封じ、条件 B で 24 時間後の質量の増加を測る[5]。はくそのものは JIS H 4160(アルミニウム及びアルミニウム合金はく)によるとされ、H 4160 は外観として、継ぎ目・ピンホール・たるみ・曲がりが少なく、使用上有害な欠陥がないことを求めている。巻取品の厚さの許容差は ±10 % である[5][6]。ピンホールが「ないこと」ではなく「少ないこと」になっている点は、薄いはくを選ぶときに覚えておく。
読み落としやすいのは適用範囲である。JIS Z 1520 は、はくにはり合わせる相手を紙又はセロハンとしている[5]。工業用のアルミバリア袋で多い、ポリエステルやポリエチレンのフィルムとはり合わせた多層の袋は、この規格の対象ではない。そうした袋を「JIS Z 1520 品」と書いても規格に当たらないので、JIS Z 0303 の方法 RP4-3 と同じように「JIS Z 1520 と同等の透湿度をもつもの」と書き、構成(各層の材料と厚さ)と透湿度の値を仕入先に出してもらう[2][5]。
口のシールは、袋の性能そのもの
袋の材料がどれだけ水蒸気を通さなくても、口のシールが不十分なら防湿にならない。JIS Z 0303 は、方法 RP4-1 でヒートシールする場合の強さを 5.9 N 以上とし、ヒートシール強さは JIS Z 1514:1994 の 7.7 によって評価するとしている[2]。内容物を詰めた袋のシールの試験には、JIS Z 0238(ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法)もある。シールの条件管理が防湿の結果を左右することは、出荷時の防錆の記事で輸送試験の研究を引いて扱った。
発注では、袋を仕入先が自分でシールするのか、こちらから支給したシーラーと条件でシールしてもらうのかを決め、シーラーの温度・時間・圧力の設定と、シール後に何を確かめるか(シール幅、しわの有無、引きはがしの試験の頻度)を梱包の作業標準に書いてもらう。
注文書と梱包仕様に書くこと
以下は規格の要求ではなく、発注側の実務としての提案である。
- どの規格の防湿包装か湿気を防ぐなら JIS Z 0301、金属のさびを防ぐなら JIS Z 0303 の方法の記号。
- 袋の構成各層の材料と厚さ。アルミはくを含むならはくの厚さ。
- 透湿度と測定条件「15 g/(m2・d) 以下(JIS Z 0208 条件 B)」のように値と条件を組で書く。
- シールの条件ヒートシール強さの下限と試験方法、シール幅、シーラーの設定。
- 乾燥剤種類と量、量の計算に使った透湿度・期間・許容する湿度。
- 表示防湿包装であること、包装年月日、開封時の注意。
- 変更の連絡袋の構成・製造元・シール条件を変える前に知らせること。
受け取るときに確かめること
初回は、袋の構成と透湿度の試験成績(条件の記載があるもの)を出してもらい、注文した値と照らす。受入では、シールのしわや浮き、袋の破れやピンホール、折り目の割れがないかを見る。乾燥剤を入れる包装なら、袋を開ける部門にも、開封後は中の乾燥状態がすぐに崩れることを伝えておく。吸湿の影響を数字で確かめたい製品なら、湿度インジケータを同梱させる、到着時の質量を測る、といった確認の方法を仕入先と決める。
よくある質問
Q. アルミ袋なら透湿度はゼロだと考えてよいですか。
A. 言い切れない。JIS Z 1520 でも、はくの厚さが 0.020 mm 未満なら透湿度に上限の値があり、0 とされているのは 0.020 mm 以上だけである[5]。はく自体にもピンホールは「少ない」ことが求められているだけである[6]。シール部と折り目も通り道になる。
Q. 仕入先が「透湿度 0.1」と言っています。十分ですか。
A. 条件と単位を確かめる。JIS Z 0208 の条件 A(25 ℃)か B(40 ℃)か、機器法ならどの条件かで値は変わる[3][4]。JIS Z 0301 の乾燥剤の式は条件 B の値を使う前提である[1]。
Q. 静電気も防ぎたいのですが、アルミ袋で足りますか。
A. 防湿と静電気の対策は物差しが違う。静電気に関わる袋の指定は帯電防止袋と静電シールド袋の違いで、表面抵抗と規格の版で書く方法を扱った。
Q. 透明なシートで中身を見せながら防湿したい。
A. 透明な樹脂は、アルミはくに比べて水蒸気を通しやすい。透明な材料を選ぶなら透湿度の値で比べる。透明なシートの指定はPET シートの指定で扱っている。
まとめ
防湿包装の袋は、銀色かどうかではなく透湿度とその測定条件で指定する。湿気を防ぐなら JIS Z 0301、金属のさびなら JIS Z 0303 で、後者は防湿性を透湿度 15 g/(m2・d) 以下、ハイバリヤを酸素ガス透過度 5 fmol/(m2・s・Pa) 以下かつ透湿度 5 g/(m2・d) 以下のものと定め、除湿包装では 15 以下の袋とヒートシール強さ 5.9 N 以上を求める。JIS Z 1520 ははくの厚さごとに透湿度の上限を決めているが、紙・セロハンとのはり合わせが対象で、プラスチックとの多層袋は「同等の透湿度」と書いて構成と試験成績で確かめる。シールの条件と乾燥剤の量まで梱包仕様に入れる。
出典・参考資料
- JIS Z 0301:1989 防湿包装方法(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/1989 年 9 月 1 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 0303:2009 さび止め包装方法通則(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2009 年 3 月 20 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 0208:1976 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)及び追補 1(2021)(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2021 年 6 月 21 日改正)
- JIS K 7129-1:2019 プラスチック-フィルム及びシート-水蒸気透過度の求め方-第 1 部:感湿センサ法(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2019 年 1 月 21 日制定・2023 年 10 月 20 日確認)
- JIS Z 1520:1990 はり合せアルミニウムはく(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/1990 年 7 月 1 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
- JIS H 4160:1994 アルミニウム及びアルミニウム合金はく及び追補 1(2006)(JIS 検索の閲覧資料)(日本産業標準調査会/2006 年 3 月 25 日改正・2025 年 10 月 20 日確認)
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