投稿日:2024年8月7日

スイッチモード電源(Switch-mode Power Supply, SMPS)の特長と製造業での利用方法

はじめに

スイッチモード電源(Switch-mode Power Supply, SMPS)は、効率的で軽量な電源供給方法として、さまざまなエレクトロニクス製品や工業用途で広く利用されています。
本文では、SMPSの基本原理、その特長、および製造業での具体的な利用方法について詳しく解説します。

スイッチモード電源の基本原理

動作原理

スイッチモード電源は、スイッチングレギュレータを用いることで効率的に電力を変換する仕組みです。
入力の交流または直流電圧を高速でオン・オフすることにより、変圧、整流、フィルタリングを経て所望の出力電圧を得ます。
このプロセスで発生するノイズや高周波成分は、適切なフィルタリング技術により抑制されます。

タイプと構成

SMPSは用途に応じてさまざまなタイプがあります。
代表的なものとして、以下のようなタイプが挙げられます。

– **降圧(バッキ)コンバータ**:入力電圧を下げる
– **昇圧(ブースト)コンバータ**:入力電圧を上げる
– **降昇圧(バッキブースト)コンバータ**:入力電圧を上下両方に調整できる
– **フライバックコンバータ**:絶縁が必要な場合に使用する

これらの構成は、インダクタやトランスフォーマ、キャパシタを組み合わせて実現されることが多いです。

スイッチモード電源の特長

高効率

スイッチモード電源の最も大きな特長は、その高い変換効率です。
変換効率は通常80%以上で、高いものでは95%を超えることもあります。
これは、電力ロスが少なく、放熱の必要性が低いことを意味します。

小型・軽量

高効率につながる結果として、SMPSは小型で軽量なデザインが可能です。
これは、放熱器のサイズと重量を削減できるためです。
これにより、設置スペースや機器内のレイアウト設計の自由度が高まります。

多機能性

SMPSはさまざまな入出力条件に対応できる多機能性を持っています。
異なる入力電圧範囲や出力電圧、電流特性に対して柔軟に対応可能です。
これにより、用途の広い電源供給が実現できます。

電磁干渉の抑制

前述のように、高周波でスイッチングするために電磁干渉(EMI)が発生しやすくなる一方、適切なフィルタリングによってこれを抑制できます。
特に工業用途においては、クリーンな電源供給が求められるため、ノイズ対策は極めて重要です。

製造業でのスイッチモード電源の利用方法

自動化機器の電源供給

製造業において自動化機器やロボットは日常的に使用されています。
これらの機器は、安定した電力供給が求められます。
SMPSはその効率と信頼性から、これらの電源供給に最適です。
インバータやモーター駆動装置、センサーなど、多岐にわたる用途で利用されています。

生産ラインでの利用

生産ラインにおいて、さまざまな電子機器が必要とする異なる電圧を安定供給するためにSMPSは欠かせません。
例えば、組立機やテスト装置、搬送システムなど、各種機器でSMPSが使われています。
これにより、効率的なエネルギー使用と安定した生産が実現されます。

恒温槽や環境試験装置

製品の品質や信頼性を保証するために、恒温槽や環境試験装置が使用されます。
これらの装置は、極めて厳しい環境条件下でも安定した動作が求められるため、SMPSの高効率かつ安定した電源供給が不可欠です。

メンテナンスの容易さ

SMPSはモジュラー設計や可換式設計が可能なため、故障時のメンテナンスや交換が容易です。
これは、製造ラインのダウンタイムを最小限に抑えるために非常に重要です。
特に大規模な生産施設では、迅速な対応が求められます。

エネルギー効率改善

省エネが求められる現代の製造業において、エネルギー効率の改善は重要な課題です。
SMPSの高効率な電力変換は、エネルギー消費を抑えることに貢献します。
これにより、運用コストの削減と環境保護の双方が実現されます。

最新の技術動向

GaN トランジスタの利用

ガリウムナイトライド(GaN)トランジスタの利用は、SMPSの性能をさらに向上させる新しいトレンドです。
GaNはシリコンに比べて高速でスイッチングする特性を持ち、より高効率で小型な設計が可能です。
これにより、さらなる電力密度の向上が期待されています。

デジタル制御

最新のSMPSには、デジタル制御技術が取り入れられています。
これにより、PWM(Pulse Width Modulation)やフィードバック制御が高度に最適化され、リアルタイムでの調整が可能になります。
結果的に、電源供給の安定性と効率がさらに向上します。

より高周波のスイッチング

高周波でのスイッチング技術は、さらなる小型化と高効率化を実現します。
例えば、150kHz以上のスイッチング周波数が一般的になりつつあります。
これにより、インダクタやキャパシタのサイズが削減され、全体の設計がコンパクトになります。

統合電源ソリューション

製造業におけるワンストップソリューションとして、統合電源モジュールが注目されています。
これらは、複数のコンバータや制御機能を一体化したもので、セットアップ時間の短縮やメンテナンスの簡略化に寄与します。

まとめ

スイッチモード電源(SMPS)はその高効率、小型・軽量、多機能性、電磁干渉の抑制といった特長から、製造業における重要な電源供給手段です。
さまざまな自動化機器や生産ライン、恒温槽などの環境試験装置で広く利用されており、そのエネルギー効率の向上に貢献しています。
また、最新の技術動向として、GaN トランジスタの利用、デジタル制御、より高周波のスイッチング技術、統合電源ソリューションなどが注目されています。

製造業のさらなる発展のためには、このような最新技術を適切に取り入れ、効率的かつ安定した電源供給を実現していくことが重要です。

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