投稿日:2024年12月30日

電子機器実装工程における工程FMEAの進め方とポイント

はじめに

電子機器の製造プロセスにおいて、品質の確保は極めて重要です。特に、電子機器実装工程では、このプロセスが複雑かつ多様な技術を含んでいるため、不良が発生しやすいリスクがあります。そのため、工程FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)は欠かせません。この記事では、電子機器実装工程における工程FMEAの進め方とそのポイントを解説します。

電子機器実装工程の特性

電子機器実装工程は、プリント基板上に電子部品を配置し、それらをはんだ付けによって固定するプロセスを中心とした工程です。この工程には、部品供給、リフローはんだ付け、AOI(自動光学検査)、およびICT(インサーキットテスト)などが含まれます。各ステージにおいて、異なる技術と設備が使用されるため、潜在的な故障モードも多岐にわたります。

部品供給およびリフローはんだ付け

このプロセスは、部品が正確に配置されるかどうか、またはんだ付けが適切に行われるかどうかに密接に関連しています。誤った部品配置や不適切な温度制御は、短絡や接触不良を引き起こす可能性があります。

AOIおよびICTの重要性

AOIは、設置された部品の物理的な位置やはんだの状態を自動で検査します。一方、ICTは、電気的な接続が正しく行われているかを確認するテストです。これらの検査工程は、初期段階で不良を特定し、後工程での不良発生を未然に防ぐために重要です。

工程FMEAの基本的な進め方

工程FMEAは、製造工程における故障を未然に防ぐための手段として導入されています。そのためには、各工程の詳細な分析と潜在的な故障モードの洗い出しが必要です。

ステップ1:工程の理解とマッピング

まずは、工程を詳細に理解し、プロセスマッピングを行います。この段階で、関連する設備や技術、そして操作手順を整理します。この作業は、潜在的な問題点を特定するための基礎を築きます。

ステップ2:故障モードの洗い出し

各工程で考えられる故障モードを洗い出します。例えば、部品誤挿入、はんだ付けの不良、基板の反り、などが挙げられます。このとき、既存のデータや過去の問題点を参考にすることで、洗い出しの精度を高めます。

ステップ3:影響と原因の評価

洗い出した故障モードが発生した場合の影響を評価します。影響の評価には、製品の機能不全、品質低下、および顧客満足度への影響などが含まれます。次に、それぞれの原因を分析し、どのような条件で故障が発生する可能性があるかを特定します。

ステップ4:優先順位の設定

評価した影響と原因の重大度、発生頻度、検出可能性を基に、優先順位を設定します。優先順位はRPN(Risk Priority Number)と呼ばれる数値で評価され、高いものから対策を講じていきます。

工程FMEAのポイントと注意点

チームワークの重要性

工程FMEAを効果的に実施するためには、様々な専門知識を持つメンバーが参加することが大切です。エンジニアリング、品質保証、生産管理など、異なる部署からの参加が故障モードの特定や優先順位付けに貢献するからです。

データの有効活用とフィードバック

過去の不良データや生産実績は、貴重な情報源です。これらをFMEAに活用することで、精度の高い解析が可能になります。また、FMEAの成果を基にした改善策は、現場でのフィードバックを受けて常に更新されるべきです。

現場との連携

FMEAの結果は、現場作業員への教育や改善点の導入に役立てられます。特に、作業手順書の改定や、新たな管理項目の追加は、現場の意識を高める手段として効果的です。

おわりに

電子機器実装工程は複雑であり、そのすべての工程を通じて品質を維持するには、工程FMEAは不可欠な手法です。この解析を通じて、潜在的な故障モードを特定し、適切に対策を講じることが可能になります。その結果、製品の品質向上と顧客満足度の向上に貢献します。製造業の発展において、工程FMEAは重要な鍵となるでしょう。

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