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メカニカルシールの故障と対策事例および未然防止策
目次
メカニカルシールとは
メカニカルシールは、主にポンプやコンプレッサーなどの回転機械において流体の漏れを防ぐために使用される重要な部品です。
その役割は、回転するシャフトと固定されたポンプハウジングとの間に生じるすき間からの液体やガスの漏出を防止することにあります。
メカニカルシールの信頼性は、設備の稼働率を大きく左右するため、故障を未然に防ぐことが極めて重要です。
メカニカルシールの故障原因
メカニカルシールの故障は多岐にわたりますが、主に以下のような原因が挙げられます。
1. 設計上の問題
設計時に誤った材料の選定や、流体の特性を考慮しない不適切な設計がなされると、メカニカルシールが流体や熱に対して脆弱になり、早期故障を招く可能性があります。
たとえば、高温・高圧条件下で適切でないシール材質を選定すると、熱膨張による故障が発生しやすくなります。
2. インストール時のミス
メカニカルシールのインストールにおけるミスも故障の原因となります。
シールヘッドの軸方向への誤りや、粗雑な取り付けによって面が不規則になると、漏れが生じやすくなります。
インストール作業者の技術や、きちんとした取り扱いの有無が信頼性に直結します。
3. 劣化や摩耗
長期間使用することで、シールリングやスプリングなどの部品が摩耗し、最終的に故障につながります。
メカニカルシールは通常、消耗品としての側面を持っていますが、使用条件に合ったメンテナンスを行うことで寿命を延ばすことができます。
4. 運転条件の変動
ポンプやコンプレッサーの運転条件が変動すると、圧力や温度の急激な変化がメカニカルシールに負荷を与えます。
特に、急激な温度変化によりシールの材料が膨張・収縮を繰り返すと、微細なクラックが発生し、シールリンガーが徐々に損傷を受けます。
メカニカルシールの故障事例
メカニカルシールは、いくつかの具体的な故障事例があります。
これらの事例を理解することで、実際の現場でトラブル発生時の対応に役立ちます。
ケース1: 高温流体によるシールの硬化
ある化学工場では、高温の腐食性流体を扱うポンプのメカニカルシールが頻繁に破損する問題が発生しました。
原因は、メカニカルシールの材質が高温に適していなかったため、硬化してしまったことでした。
この事例から、腐食環境に対する適切な材質選定の重要性が認識されました。
ケース2: 水質の悪い流体による摩耗
ある製紙工場では、低品質のプロセス水を扱うポンプにおいて、シールの急激な摩耗が進んでいました。
水中の微細な固体粒子がシール面にあたり、摩耗を引き起こしていました。
この事例から、使用する流体の水質改善や、フィルターの導入による予防策が必要であることが分かりました。
ケース3: 長期間使用によるスプリングの弛緩
製鉄工場では、長期間にわたり使用されているポンプでスプリングが弛緩し、シール機能が低下するという問題が発生しました。
その結果として、シールが完全にシャットできずに漏れが生じていました。
この事例から、定期的な予防保全や、スプリングの交換が必要であることが確認されました。
メカニカルシールの対策事例
メカニカルシールの問題を解決するためには、対策が必要です。
以下に対策事例を紹介します。
1. 適切な材質選定
流体の性質や運転条件に応じて、メカニカルシールの材質を適切に選定することは、故障の予防策として効果的です。
耐熱性や耐腐食性を持つ材質を選び、特定の条件に対応できるシールを使用することで、信頼性を向上させることができます。
2. 正確なインストール技術
インストールを実施する際には、専門の技術者が適切な手順で行うことが重要です。
特に、シール面の清浄性や平行度の確保に注意しましょう。
また、製造元のガイドラインを遵守し、トルクやクリアランスの管理を徹底することで、故障のリスクを低減できます。
3. 定期的なメンテナンス
長寿命を実現するためにも、メカニカルシールの定期的なメンテナンスが欠かせません。
摩耗が予測される部品を計画的に交換することで、故障を未然に防ぐことができます。
また、シールの動作特性を定期的にチェックし、わずかな兆候からの異常を早期に検知することも大切です。
メカニカルシールの未然防止策
メカニカルシールの故障を未然に防ぐためには、以下のような予防策がポイントとなります。
1. 運転状況のモニタリング
センサーを活用し、運転中の圧力、温度、振動などの状況をリアルタイムでモニタリングすることで、異常時に速やかに対応できます。
特に、急激な変化を検知できるセンサー技術の導入は、未然防止策として有効です。
2. トレーニングと教育の徹底
オペレーターやメンテナンス担当者へのトレーニングと教育により、正しい取り扱いと迅速な故障原因の特定が可能になります。
このようなスキルの向上は、メカニカルシール故障の予防だけでなく、全体的な設備の稼働率向上に寄与します。
3. 高品質な製品の選択
信頼性の高いメーカーからの高品質なメカニカルシールを選ぶことも重要です。
コストだけでなく、アフターサービスや保証の内容も含めて、総合的な信頼性を確認することがポイントです。
まとめ
メカニカルシールは、製造業において重要な役割を果たしていますが、故障が発生するとその影響は大きくなります。
今回は、その故障原因と対策事例を紹介しましたが、何よりも予防策の実施が重要です。
適切な材質選定、正確なインストール、定期的なメンテナンス、運転状況のモニタリング、そして人的資源の育成を通じて、メカニカルシールの性能を最大限に引き出し、製造プロセスの信頼性を確保しましょう。
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