投稿日:2025年3月3日

トラブル撲滅のためのFMEA/FTAの事例および効果的な活かし方

FMEAとFTAとは?

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)は、製品やプロセスの潜在的な故障を予測し、その影響を評価する手法です。
主に設計段階で用いられ、製品やプロセスの信頼性向上を目的としています。
一方、FTA(Fault Tree Analysis:フォールトツリー解析)は、特定の不具合や事故が起こる原因をさかのぼって分析する手法です。
主に製造段階や運用段階で用いられ、問題が発生した際にその原因を特定し、改善策を導入するために活用されます。

FMEAとFTAの違い

FMEAとFTAは、どちらもトラブルの予防や原因究明に用いられますが、視点が異なります。

FMEAの視点

FMEAは、「何が壊れる可能性があるか?」という視点から物事を見ていきます。
各故障モードを洗い出し、その影響の深刻度、発生の可能性、および検出のしやすさを評価します。
これにより、リスクの高さを数値化し、高リスクの箇所を優先的に改善します。

FTAの視点

FTAは、「特定のトラブルが起こった理由は何か?」という視点から、原因を階層的に分析します。
これは、ツリー状の図を用いて原因を分解し、問題に至る因果関係を明確化する手法です。
結果として、特定のトラブルの根本原因を突き止め、再発防止を図ります。

FMEAの実施ステップと効果的な活用法

FMEAを効果的に活用するには、以下のステップが推奨されます。

ステップ1: 分析する範囲の設定

まずは、どの製品やプロセスに対してFMEAを適用するかを明確にします。
プロジェクト自体のスコープを設定し、関係者を集めたチームを結成することが重要です。

ステップ2: 潜在的な故障モードの特定

次に、チームで潜在的な故障モードを洗い出します。
過去のデータや経験から予測される故障を広く集め、それぞれを詳細に記録します。

ステップ3: 故障モードの影響評価

各故障モードがどのように影響するかを評価します。
特に重要なのは、その影響が顧客や製品品質、作業者の安全に直接関わる場合です。

ステップ4: 発生可能性と検出可能性の評価

各故障モードがどの程度の頻度で発生するのか、またはどの程度検出が難しいかを評価します。
これにより、リスク優先度指数(RPN)を算出し、改善が必要な箇所を優先的に特定します。

ステップ5: 改善策の策定と実施

評価結果に基づき、具体的な改善策を策定します。
その後、改善策の効果を定期的にモニタリングし、必要に応じて見直します。

FTAの実施ステップと効果的な活用法

FTAは、以下の手順で行うことが一般的です。

ステップ1: トラブルの特定

まず、分析の対象となるトラブルや不具合を具体的に定義します。
これにより、問題の焦点を絞り込みます。

ステップ2: フォールトツリーの作成

中心となる問題を頂点に置き、その可能性のある原因を枝分かれで展開します。
各原因は、さらに細分化していきます。

ステップ3: 真因の特定

ツリーが完成したら、どの原因が最も影響力を持つのかを分析します。
特に、複数の原因が組み合わさっている場合の相関を重視します。

ステップ4: 対策の検討と実施

特定された真因に対し、具体的な対策を立案します。
その後、効果的な改善策が着実に実施されるよう、計画を実行し、結果をフィードバックします。

FMEAとFTAの事例

実際にFMEAとFTAを導入し、効果を挙げた事例は数多く存在します。

自動車部品メーカーの事例

ある自動車部品メーカーでは、新製品開発の初期段階でFMEAを導入しました。
これにより、製品に関わるすべての故障モードを網羅的に洗い出し、製品リリース前に重大な不具合を防ぐことに成功しています。
結果として、市場での信頼性が向上し、顧客満足度の向上にもつながりました。

電子機器メーカーの事例

電子機器メーカーがFTAを活用したケースでは、顧客からのクレームを受け、特定の製品の動作不良に関して詳細に原因を分析しました。
フォールトツリーを使用して、製造工程中の不具合が原因であることを突き止め、工程変更と教育を徹底することで、再発防止に成功しました。

FMEAとFTAの融合による効果的改善

FMEAとFTAを組み合わせることで、トラブル撲滅にさらに効果的に取り組むことができます。

FMEAは事前のリスク評価に、FTAは事後の改善にそれぞれ強みを持っています。
開発段階でFMEAを徹底し、製品使用時にはFTAを活用して問題の原因を迅速に特定し改善することで、なお一層信頼性の高い製品・プロセスが実現します。

以上がFMEAとFTAに関する基本的な考え方とその効果的な活かし方です。
両者を適切に活用し、製品やプロセスの改善に役立てましょう。

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