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「ROS」の基礎とROS2プログラミングの実践

目次
ROSの基本概念
ROS(Robot Operating System)はロボット開発を効率化するためのオープンソースのフレームワークです。
ROSはロボットのハードウェア抽象化、デバイスドライバ、ライブラリ、ビジュアルツール、メッセージングプロトコルを提供し、ロボットの制御やシミュレーションを容易にします。
ROSの基本的な概念には、ノード、トピック、サービス、アクション、パラメータサーバーなどがあります。
ノード
ノードは、ROSの中で実行される最小単位のプロセスです。
通常、ノードは特定の機能を持ち、それぞれが通信することでロボット全体の挙動を制御します。
たとえば、カメラ映像を処理するノード、モーターを制御するノード、といった具合に、それぞれのノードが役割を持って動作します。
トピック
トピックは、ノード間でデータを送受信するための通信メカニズムです。
発話者(パブリッシャー)ノードがトピックにデータを送信し、購読者(サブスクライバー)ノードがそのトピックを購読することにより、ノード間で非同期にデータが転送されます。
この方式により、一対多、多対一、多対多の柔軟なデータ通信が可能になります。
サービス
サービスは、ノード間で同期的にデータを送受信するためのメカニズムです。
サービスを利用すると、クライアントノードはリクエストを送信し、サーバーノードからレスポンスを受け取ることができます。
これは、非同期なトピック通信では実現が難しい、双方向の対話が必要な場面で活用されます。
アクション
アクションは、長時間にわたる操作をノード間で扱うためのメカニズムです。
アクションは、フィードバックを定期的に返しながら、進行状況を報告することができ、最終的に結果を返します。
これは、トピックとサービスの中間的な存在で、例えばロボットの位置を目的地まで移動させるような処理に適しています。
パラメータサーバー
パラメータサーバーは、ノード間で共有される設定値やデフォルト値を集中管理するための仕組みです。
ロボットの動作におけるさまざまなパラメータをセットすることで、環境や条件に応じた調整が簡単に行えるようになります。
ROS2への進化
ROS2は、ROS1の欠点を克服するために開発された新しいバージョンです。
それは、現代の計算機システムの複雑な要件、特にリアルタイム性やセキュリティ、スケーラビリティに対応するために設計されています。
ROS2は、DDS(Data Distribution Service)をベースにした通信ミドルウェアを採用しており、ROS1よりも強力なデータ処理能力を持っています。
リアルタイム処理
ROS2は、ミッションクリティカルなリアルタイムアプリケーションの要件を満たすために設計されています。
そのため、ノード間の通信における遅延を最小限に抑え、予測可能な応答時間を保証する仕組みが組み込まれています。
セキュリティの向上
ROS1ではセキュリティに関する考慮が不足していましたが、ROS2では認証と暗号化によって通信を保護できるようになりました。
これにより、ネットワーク越しのデータ送受信においても安全性を確保しつつ利用することが可能です。
スケーラビリティの向上
ROS2は、分散システムやクラウド環境におけるスケーラビリティが向上しています。
これにより、大規模なロボットシステムや複数の異なるハードウェアプラットフォームを一元的に管理することができます。
ROS2プログラミングの実践
ROS2のプログラミングは、PythonやC++を用いて行うことが一般的です。
以下に、基本的なプログラミングの実践例を示します。
環境のセットアップ
まず、ROS2の環境をセットアップします。
これは、通常、公式サイトからインストールイメージをダウンロードし、インストール手順に従って進めることで完了します。
適切なディストリビューションを選択し、依存するライブラリやツールも一緒にインストールすることが重要です。
ノードの作成
新しいノードを作成するためには、PythonやC++でスクリプトを作成します。
Pythonの場合、`rclpy`ライブラリをインポートし、`Node`クラスを継承した自作クラスを定義します。
そのクラスの中で、パブリッシャーやサブスクライバー、サービスなどの手続きを実現します。
“`python
import rclpy
from rclpy.node import Node
class SimplePublisher(Node):
def __init__(self):
super().__init__(‘simple_publisher’)
self.publisher_ = self.create_publisher(String, ‘topic’, 10)
self.timer = self.create_timer(1.0, self.timer_callback)
def timer_callback(self):
msg = String()
msg.data = ‘Hello ROS2!’
self.publisher_.publish(msg)
self.get_logger().info(‘Publishing: “%s”‘ % msg.data)
def main(args=None):
rclpy.init(args=args)
node = SimplePublisher()
rclpy.spin(node)
node.destroy_node()
rclpy.shutdown()
if __name__ == ‘__main__’:
main()
“`
トピック通信の設定
トピック通信を設定するには、トピックを介してデータをやり取りするために、パブリッシャーとサブスクライバーを作成します。
パブリッシャーは毎秒メッセージをトピックに発行し、サブスクライバーはそのトピックからメッセージを受信します。
サービスの利用
サービスを定義すると、ノード間で同期的な通信が可能になります。
サービスのリクエストとレスポンスを定義し、サーバーとクライアントを実装します。
“`python
from example_interfaces.srv import AddTwoInts
def add_two_ints_callback(request, response):
response.sum = request.a + request.b
self.get_logger().info(‘Incoming request\na: %d b: %d’ % (request.a, request.b))
return response
“`
まとめ
ROSとROS2は、ロボット開発の重要なツールセットを提供し、その進化によってより高性能で柔軟なシステムを設計することが可能になりました。
ROS2のプログラミングは、効果的な通信、リアルタイム制御、セキュアな通信など、現代の要求に応えるためのさまざまな機能を提供しています。
製造業におけるロボティクスの進化には、これらの技術を適切に活用することが重要です。
今後も継続的にアップデートされていくROS2の動向に注目し、それを業務に取り入れることで、製造現場の効率化や生産性の向上に貢献できるでしょう。
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