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多層フィルムで高機能な包装を作るポイント

目次
多層フィルムとは?その基本から理解する
多層フィルムは、複数の異なる薄膜を積層したフィルム素材であり、包装材料として非常に高機能です。
各層にはそれぞれ異なる特性があり、それらを組み合わせることで製品の保護性、バリア性、強度などを向上させることができます。
これが多層フィルムの大きな特徴であり、高機能包装材としての価値を高めています。
多層フィルムとは、特性の異なる複数の薄膜を積層して一体化した包装材料で、酸素・湿気・光などを遮断するバリア性、機械的強度、シール性などを一枚で両立できる点が特徴です。食品・医薬品・電子部品など、製品保護と長期保存が求められる用途で広く採用されています。
例えば、酸素バリア性能を持つ層、湿気バリア性能を持つ層、機械的強度を持つ層など、各フィルム層が特定の機能を発揮します。
これらを適切に組み合わせることで、製品の保存性や品質を大幅に向上させることが可能です。
多層フィルムを選ぶ際の要点
多層フィルムを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。
以下にその要点をまとめます。
包装する製品の特性を理解する
多層フィルムを選定する際には、まず包装する製品の特性をしっかりと理解することが重要です。
食品であれば、酸素や湿気からの防御が重要になることが多く、電子製品であれば静電気防止性能が求められることがあります。
製品の特性に応じて適切な層を選定し、多層フィルムを構成することが成功の鍵となります。
必要なバリア性能を確認する
バリア性能とは、外部からの酸素、水分、光、異物などを遮断する能力のことです。
高機能包装を求めるのであれば、必要なバリア性能が満たされることが必須です。
例えば、酸素透過率(OTR)や水蒸気透過率(WVTR)などの数値を調べ、目的に適ったフィルムを選定します。
機械適合性を評価する
製造ラインでの加工効率や適合性も重要な要素です。
多層フィルムが製造ラインに適合していないと、包装工程でのトラブルが発生し、結果としてコストや時間のロスが発生します。
例えば、適切なシール強度があるフィルムを選ばないと、シール不良が発生しやすくなります。
コストパフォーマンスを考慮する
多層フィルムは高機能である一方、コストも高くなる傾向があります。
そのため、コストパフォーマンスも重要な選定基準となります。
例えば、同じバリア性能を持つフィルムが複数ある場合、コスト面で優れたフィルムを採用することで、全体のコストダウンに繋げることができるでしょう。
多層フィルム主要構成方式の特性比較
| 観点 | 共押出多層フィルム | ラミネート多層フィルム | 蒸着・コーティング系フィルム |
|---|---|---|---|
| バリア性能 | ○ ガス・湿気とも安定確保 | ◎ 高バリア層を自由に組合せ可能 | ◎ 薄膜で高い酸素・水蒸気バリア |
| コストパフォーマンス | ◎ 一工程生産で低コスト | △ 工程数が多くコスト高 | ○ 材料は高いが薄膜化で相殺 |
| 機械適合性・シール性 | ◎ 厚み均一で製袋機適性が高い | ○ 層構成自由でシール材を選定可 | △ コーティング層損傷に注意要 |
| 環境対応・軽量化 | △ 異種樹脂で分別回収が困難 | ○ バイオマス層採用がしやすい | ◎ ナノ層化で薄膜・軽量化に有利 |
最新技術動向:多層フィルムの進化
多層フィルムの技術は日々進化しています。
以下に最新の技術動向をいくつか紹介します。
ナノ層技術
ナノ層技術は、多層フィルムを更に微細な層に分ける技術です。
これにより、フィルムの総数が増すことでバリア性能や機械的強度が飛躍的に向上します。
ナノ層技術は、特に包装の軽量化に貢献しながらも、高性能を維持する点で注目されています。
バイオマス素材の利用
環境への配慮が求められる中、バイオマス素材を利用した多層フィルムが注目されています。
これらの素材は再生可能であり、従来の石油基素材に比べて環境負荷を大幅に減少させます。
例えば、トウモロコシやサトウキビから抽出されたバイオポリエチレン(Bio-PE)を使用することで、エコフレンドリーな包装が可能となります。
水蒸気バリア性能の向上
従来の多層フィルムは水蒸気バリア性能に限界がありましたが、最近の技術進歩によりこれが大幅に改善されています。
新たなコーティング技術や材料工学の進化により、水蒸気バリア性能を持つフィルムが市場に多く登場しています。
これにより、長期間の保存が求められる製品も安心して包装できるようになりました。
調達バイヤーが押さえるポイント
製品特性に応じたOTR/WVTRなどバリア数値の要求仕様化が必須です。
ISO認証など品質管理体制を持つベンダーを選定し、サンプルでシール強度・透過率を実測した上で、量産ロットでのコスト・歩留まりを含めて総合評価します。
多層フィルムの実際の利用ケース
多層フィルムの利用は様々な業界で広がっています。
以下にいくつかの代表的な利用ケースを紹介します。
食品業界
食品業界では多層フィルムの利用が非常に進んでいます。
特に、酸素バリア性能や湿気バリア性能が求められる製品(例えば、スナック菓子や調味料袋、真空パック食品など)で多く使用されています。
これにより、製品の鮮度が長期間保たれると同時に、食品の安全性も確保されます。
医薬品業界
医薬品業界でも多層フィルムの利用は欠かせません。
例えば、錠剤やカプセルを湿気や光から保護するための包装材として多く使われています。
高度なバリア性能を持つ多層フィルムは、薬品の有効期限を延ばすだけでなく、その品質を維持するために重要な役割を果たします。
電子機器業界
電子機器業界では静電気防止性能や湿気バリア性能が重視され、多層フィルムが利用されています。
例えば、半導体チップや電子部品の包装には、これらの性能を持つ多層フィルムが必須です。
製品の信頼性を高めるため、多層フィルムの選定には厳しい基準が設けられています。
調達購買部門での多層フィルム選定の具体例
調達購買部門では、多層フィルムの選定が業績に直接影響することが多いです。
以下に実際の選定プロセスの一例を紹介します。
ベンダーの選定と評価
まず、信頼性の高いベンダーを選定することが重要です。
過去の取引実績や品質管理体制、供給能力などを評価し、候補を絞り込みます。
例えば、ISO認証を持つ企業や、品質管理の標準が高い企業を優先するのが一般的です。
試験と評価
初めて取引するベンダーの場合、サンプルを取り寄せて実際の性能を評価します。
各種試験(例えば、シール強度試験や透過率試験など)を行い、要求性能を満たしているか確認します。
この段階で問題が発見された場合は、ベンダーと協議し改善を求めることが必要です。
コスト比較と価格交渉
同じ性能を持つフィルムが複数存在する場合、コスト比較を行います。
また、ベンダーとの間で価格交渉を行い、コスト削減に努めます。
大口取引の場合は、量に応じたディスカウントを求めることも有効です。
サプライヤーの技術差別化ポイント
ナノ層技術による薄膜化と高バリア化、バイオポリエチレンなどバイオマス素材の採用、新規コーティングによる水蒸気バリア向上が差別化軸です。顧客の充填機・製袋機適合性まで踏み込んだ層設計提案力が選定の決め手になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 多層フィルムを選ぶ際にまず確認すべき項目は何ですか?
A. 包装する製品の特性把握が出発点です。食品なら酸素・湿気バリア、電子部品なら静電気防止など、要求機能を整理した上でOTR・WVTRなどバリア数値、シール強度、機械適合性、コストを順に確認します。
Q. ナノ層技術を採用するメリットは何ですか?
A. フィルムをより微細な層に分割することで、総層数を増やしながらバリア性能と機械的強度を飛躍的に高められます。薄膜化と軽量化を同時に実現できるため、包装材の高性能化と材料削減を両立しやすい点が大きなメリットです。
Q. バイオマス素材の多層フィルムはどのような場面で有効ですか?
A. 環境負荷低減が求められる食品・日用品包装などで有効です。トウモロコシやサトウキビ由来のバイオポリエチレン(Bio-PE)を一部層に用いることで、性能を維持しつつ石油由来樹脂の使用量とCO2排出量を削減できます。
Q. 調達購買部門が新規ベンダーを評価する際のポイントは?
A. 過去の取引実績、品質管理体制、供給能力を一次評価し、ISO認証など客観指標を重視します。次にサンプルでシール強度試験や透過率試験を実施し要求性能を確認、最後にコスト比較と量産ディスカウント交渉を行います。
まとめ:多層フィルムで高機能包装を作るポイント
多層フィルムを用いた高機能包装には、製品の特性を理解し、適切なバリア性能や機械適合性、コストパフォーマンスを考慮することが重要です。
また、最新の技術動向にも目を配り、効率的で高性能なフィルムを選定することが必要です。
調達購買部門の役割は非常に重要で、企業全体の業績に大きく貢献することが求められます。
これらのポイントを押さえ、多層フィルムの特性を最大限に活かした高機能包装を実現することで、製品の品質向上やコスト削減、環境への配慮を実現することができます。
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