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製造業で避けて通れない「5S活動」と現場改善の基本思考

目次
はじめに:5S活動がなぜ重要なのか
製造業の現場でよく耳にする「5S活動」。
いまや工場の“名物”とも言える存在ですが、「ほんとうに意味があるの?」「昭和の遺物じゃないの?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
しかし、5S活動は単なる掃除や片付けではなく、現場改善の出発点であり、製造現場の体質を根底から変える原動力です。
この記事では、20年以上の製造現場経験から、5S活動の基本と本質、現場目線で語る運用のコツ、さらに今こそ見直したい昭和から抜け出せないアナログな課題や業界動向まで、SEOにも強い実践知をお届けします。
5S活動とは何か?改めて原点に立ち返る
5Sの意味と目的
5S活動とは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字を取った日本独自の現場改善手法です。
英語で言うと「Sort」「Set in order」「Shine」「Standardize」「Sustain」となります。
5Sの目的は「ムダを排除し、職場を安全・快適にしながら、生産性・品質・モチベーションを向上する」ことにあります。
職場にとって当たり前の習慣を根付かせることで、様々な問題の芽を摘みやすくなり、業務の効率化にも大きく寄与します。
5Sは現場改善の“土台”
多くの方が「5Sなんてどの会社でもやっている」「掃除や片付けは新鮮味がない」と思いがちですが、実は“土台”こそが最も大切です。
生産管理や品質管理、自動化を進めるうえでも、5Sが徹底されていなければ効果が加速しません。
現場を変えたければ、まず5Sから手を付けるべき理由がここにあります。
昭和のアナログ現場で根付いている5S文化と課題
なぜ製造現場ではアナログな5S活動が浸透し続けているのか
「デジタル時代にアナログな5S活動なんて時代遅れ」と言われがちですが、製造現場ではいまだに紙のチェックシートや目視点検、進捗ボードなどが多用されています。
その理由は一つ、5Sの“見える化”による体験型教育が効果的だからです。
みずから体を動かし、場所・もの・人の関係を体感することで、“現場力”が醸成されていくため、紙ベースの5S活動には根強いメリットが存在します。
アナログ5Sの代表的な業界動向と課題
・週一回の全員清掃
・工具や部品の置き場所をテープで区画
・5Sパトロールによる現場点検
・3定管理(定物・定位置・定量)ルール
これらは多くの工場で根付いている一方、「マンネリ化」「形骸化」「やらされ感」「報告書だけ立派」といった課題も表面化しています。
せっかくの5S活動が単なる儀式になってしまい、「本当に価値があるのか?」という空気が蔓延すると、本来の目的が失われてしまいます。
現場目線で実践する5S活動:本質的な運用のコツ
1. 現場を“見える化”して気づきを引き出す
5Sは「現場の主役は現場の人」であることが大前提です。
外から“やらせる”のではなく、現場が自分たちで“気づき→考え→実行”できる仕組みをつくりましょう。
たとえば、工場内を写真撮影し、「ビフォー&アフター」を掲示する、整理前後の状態を全員で確認する、モノの流れや人の動線にテープや色分けで可視化するといった工夫が有効です。
客観的に現場がどうなっているかを“見える化”することで、自然と問題意識や改善意欲が芽生えてきます。
2. KPIと連動した5S活動の設計
単発イベントで終わらせないために、5S活動の達成度をKPI(重要業績評価指標)化してみましょう。
たとえば
・ラインの段取り替え時間
・不適合品の発生数
・工数削減の実績
・工具・部品紛失件数
など、生産性と直結する指標とリンクさせることで、「5S=利益」の意識が浸透します。
数値をもとに議論することで、形骸化を回避できます。
3. IT技術と5Sの融合
昭和型5Sは決して悪ではありませんが、今後はITとの融合がカギになります。
たとえば
・スマホアプリで5Sパトロールを電子化
・IoTセンサーで設備の汚れや部品在庫をアラート通知
・クラウドで5S改善ネタやノウハウを全社展開
こうしたデジタル化により、5S活動の「スピード」と「情報共有性」が劇的に高まります。
伝統と先進技術の“いいとこ取り”がこれからの現場改善です。
4. 上司先導型から現場主導型へ
従来の5Sは「管理者が指示」「現場は受け身」の構図が多く、時に反発ややらされ感につながっていました。
これからは現場の若手、中堅社員が主体的に「自分たちの職場を良くする」というコンセプトが不可欠です。
具体的には
・5Sチームを現場メンバーから公募
・改善提案制度に5S部門を設置
・成功事例の社内表彰や報奨制度
など、現場が主役となれる土俵をつくっていくことが大切です。
バイヤーやサプライヤーにも必要な5S思考
購買・調達担当が知っておきたい5Sの視点
バイヤーや購買部門では、価格や納期交渉ばかりが重視されがちですが、優れたバイヤーは「取引先現場の5Sレベル」を見抜く力も重要です。
具体的には、
・工程内の整理整頓のレベル
・異物・部品・原材料の保管ルール
・トラブル発生時の作業記録や標準化状況
こうした現場の5S状況を見ることで「品質管理体制」「リスク対応力」「取引の信頼性」まで推測できるのです。
また、サプライヤーとしては「自社現場の5S水準が高い」=新規受注や顧客信頼のアピールポイントとなります。
今後は「価格だけでなく、現場管理の基礎=5S意識も“バイヤー目線”で徹底できているか」が差別化要因になります。
サプライチェーン全体での5S標準化の波
2010年代以降、製造業のグローバル化やコンプライアンス志向の強まりから、「本社・本工場だけでなく、関係取引先やサプライチェーン全体で5Sを徹底する」動きが強まっています。
大手完成品メーカーでは系列サプライヤー向けに
・5S監査
・工場訪問型の現地指導
・トヨタ式5S勉強会
などを実施し、「5S水準の底上げ」を進めています。
従来の“自社だけで完結”を見直し、“ものづくりネットワーク全体”で品質・コスト・納期競争力を高めるため、5Sにも“横展開”と“水平連携”が不可欠です。
5Sから生まれる新たな現場改善の可能性
単なる片付けから「現場イノベーション」へ
5Sと聞くと「掃除や整理整頓」だけがクローズアップされがちですが、5Sの本質は「現場力のアップデート」です。
整理整頓の取り組みから全員参加の改善提案につなげ、省人化や工数削減、自動化・デジタル化の後押しにしていくことができます。
たとえば
・整理対象をAIカメラで自動認識
・5S改善ネタをデジタルボードで見える化
・清掃業務をAMR(自律走行ロボット)が自動化
など、新しい現場価値を創出する“5S発イノベーション”は、これからの工場デジタルシフトの起点となります。
5Sがもたらす「見える化」の連鎖
5Sを徹底すると、作業の標準化やトラブルの早期発見、異常やムダの即時対応が容易になります。
現場で「気づく力」「考える力」が全員に根付くことで、QCサークル活動やカイゼン活動、生産性向上や品質保証といった波及効果も生まれます。
つまり、“現場の見える化”を推し進めるほど、その現場は「変化に強い職場」へ進化していきます。
まとめ:昭和から未来の製造現場へ、5S活動で現場改革を!
5S活動は、製造業の永遠のテーマであり、現場改善のベースです。
昭和から続くアナログな文化にも“強み”がありつつ、今後はデジタル技術・サプライチェーン全体での標準化と融合が不可欠です。
大切なのは「現場のための5S」「現場主導の5S」という基本思考を忘れないこと。
形だけの清掃活動から脱却し、現場イノベーションの土壌として5Sを再定義してみましょう。
製造業で働くすべての方、バイヤー・サプライヤーとして現場を見るすべての方に、いま一度5S活動の“深み”と“未来”を問い直してはいかがでしょうか。
今こそ、昭和の知恵と令和の技術を掛け合わせて、「現場改善」の新しい地平線を一緒に切り拓いていきましょう。
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