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*2025年5月31日現在のGoogle Analyticsのデータより

アクチュエータの基礎と制御技術および最適選定とその応用事例

目次
アクチュエータとは何か:基礎から押さえる重要性
アクチュエータとは、制御信号を受けて物理的な動作を行う装置や機構のことです。
製造業の現場においては、動力源となる電気や空気、油圧などのエネルギーを機械的な動きに変換する役割を担っています。
近年の工場自動化やスマートファクトリー化の流れにおいて、アクチュエータの重要性はさらに高まっています。
その一方で、未だに昭和の時代から続くアナログ的な標準化や現場独自の運用も根強く残っており、アクチュエータの適正な選定や制御がDX(デジタルトランスフォーメーション)の鍵になる場面も増えています。
アクチュエータの種類:電気、空気圧、油圧、Piezo…多様化する技術
アクチュエータには多くの形式が存在します。
製造業の主な現場では、以下のような種類が用いられています。
- 電動アクチュエータ(ステッピングモーター、サーボモーター)
- 空気圧(エア)アクチュエータ
- 油圧アクチュエータ
- ピエゾ式アクチュエータ
- 磁気アクチュエータ
それぞれ特徴や得意な作業領域があり、一部を除けば「これ一択」という絶対の正解は存在しません。
現場ごとの仕様や要求に応じて最適解が導き出されていきます。
アクチュエータと現場力:長所・短所の現実的な理解
実際の現場で選定を行う際には、カタログスペックだけでなく、ラインの特性や現有設備との親和性も重要です。
たとえば、電動アクチュエータは位置決め精度や制御の柔軟性に優れる一方、初期投資やメンテナンスにコストがかかる場合もあります。
一方、空気圧アクチュエータは構造がシンプルでコストが抑えやすく、日々の運用や交換も比較的容易ですが、長距離搬送や微妙な位置調整には不向きです。
現場ごとに抱える事情――たとえばエネルギー供給設備の有無や、オペレーターの習熟度、過去のトラブル履歴なども選定時に加味されるべきポイントです。
アクチュエータ制御技術の進化:デジタルと現場の融合
スマートファクトリー化が進む中、アクチュエータの制御技術は着実に進化しています。
単純なON/OFF制御から、フィードバックを取り入れた高度な制御、さらにはIoTデバイス連携まで広がりを見せています。
フィードバック制御と位置決めの高度化
従来はセンサーからのフィードバックを用いてリミットスイッチでの位置決めが主流でした。
しかし現在は、サーボモーターやアブソリュートエンコーダなどの導入により、ミクロン単位での高精度な制御が現実的となりました。
さらにPLC(プログラマブルロジックコントローラ)との連携、ネットワーク越しのモニタリングなども一般的になっています。
これにより、従来は職人頼みだった微調整作業や熟練者にしかできなかった品質保持も、システマチックに標準化・省人化が進められるようになりました。
IoTやAIとの連携で生まれる新しい価値提供
最近では、アクチュエータにセンサーを取り付け、状態監視や予兆保全に活用する事例が増えています。
たとえば振動や消費電力の変化から「故障の兆し」をAIが検知し、ダウンタイムや不良品発生リスクを未然に防ぐ取り組みも展開されています。
アクチュエータそのもののスペックだけでなく、それを現場全体のDX化機能のひとつとしてどう位置付けるか――こうした視点が現場で求められるようになっています。
アクチュエータの最適選定:現場目線の実践ガイド
現場で「なぜこのアクチュエータを採用したのか?」と問われたとき、単なる安さや前例主義だけでは理由になりません。
調達バイヤーとしても、また設備担当やメーカー側としても、合理的な判断・説明責任が強く求められる時代です。
現場目線での選定基準:QCDSEの実践
アクチュエータの選定は、QCDSE(品質・コスト・納期・サービス・環境)の観点で多角的に評価する必要があります。
- 品質:必要な動作精度、耐久性能、トラブル時の安定性
- コスト:イニシャルコストだけでなくTCO(総所有コスト)を勘案
- 納期:追加調達・交換時のリードタイム、サプライヤーの安定供給体制
- サービス:納入後のフォロー、現場改修支援、保守・交換のしやすさ
- 環境:電力・空気圧源のインフラ条件、設置環境の清浄度、SDGsやカーボンニュートラルの観点
カタログ値やコスト見積もりだけで判断しがちな場面でも、実際のラインや作業現場に足を運び「現場で本当に求められる品質や運用性」を見極めることが、プロの購買・調達としての腕の見せ所です。
調達力を鍛える:サプライヤーとの協働によるベストプラクティス
アクチュエータの最適選定には、単一メーカーだけでなく複数サプライヤーの知見や技術力を引き出すことも重要です。
現場でよくあるのは「従来取り引き先」「実績のあるブランド」への過度な依存ですが、これでは技術革新の恩恵を逃すリスクも高まります。
調達バイヤーとしては、各サプライヤーから最新事例や試作品情報をヒアリングし、もしかしたら自社のラインに革新的な改善ができるのではないか、という視点を持ち続けることが求められます。
サプライヤー側もまた、現場課題のヒアリングや、他業界の成功事例の共有等を通して、ユーザー目線の課題解決型提案が強く求められるようになっています。
アクチュエータの応用事例:現場力を高める最新トレンド
ここからは、筆者の知見や業界動向も踏まえつつ、アクチュエータの先進的な応用事例をご紹介します。
自動車業界:高精度なアクチュエータで溶接品質を安定化
自動車工場では、スポット溶接設備などにサーボモーター式のアクチュエータが採用されるケースが増えています。
従来の空気圧では一定しなかった押し付け圧力が、電動制御によりミクロン単位で正確に再現できるようになり、不良率の低減と生産安定化が進んでいます。
また、溶接ガン自体の交換やメンテナンス頻度も計画的に行えるようになり、トータルでの運用コスト削減が実現されています。
食品・医薬品工場:クリーン環境・微細搬送にマッチ
食品や医薬品業界では、油圧や空気圧系統よりもクリーンルーム対応型電動アクチュエータの導入が加速しています。
薬剤や原料の微細な搬送、ピック&プレースなどの作業は、混入リスクや洗浄性、発塵リスクなどの観点からも電動化のメリットが大きい分野です。
ここではセンサーフィードバックを活用した自動補正や、遠隔監視による稼働状況可視化も進み、工場全体のトレーサビリティやロスコスト最小化に繋がっています。
多品種少量生産現場での可変対応
ロボットや自動搬送機など、頻繁な品種切り替えや段取り替えが必要な製造現場では、アクチュエータも「調節性」「汎用性」が強く求められます。
たとえばロボットハンド1台に複数のアクチュエータを搭載し、プログラムの書き換えだけで形状・強さ・動作レンジを柔軟に変更できるシステムなどが、ラインの生産性や多用途性を向上させています。
このような応用は、日本の“多品種少量生産”という独特な工場運営スタイルにおいて、今後さらに重要になっていくことは間違いありません。
まとめ:アクチュエータの真価を発揮する現場力とは
アクチュエータは、ただの「動く部品」と捉えられがちですが、その選定や制御、運用技術がライン全体の生産性や品質を左右します。
昭和のアナログ技術と令和のデジタルソリューションがせめぎ合う現場で、プロのバイヤーやエンジニアが「なぜこれを選び、どう使いこなすのか」まで深く掘り下げることが、これからの現場力や企業競争力の源泉となります。
また、サプライヤーも単なるスペック競争から一歩踏み出し、現場の課題解決や価値共創のパートナーへと進化することが、これからの時代に強く求められています。
アクチュエータの基礎から最新制御・選定までを押さえ、現場と技術の橋渡しを実践することが、皆さんそれぞれのキャリアやモノづくり現場の進化にきっと繋がっていくはずです。
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