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投稿日:2025年6月9日

メカトロニクス技術の基礎と代表的な構成要素技術および実用のポイント

はじめに

製造業の発展に欠かせない技術として注目されているのが「メカトロニクス」です。
もともとは機械(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を組み合わせた造語ですが、今や自動化・効率化・高品質化を支える基盤技術として欠かせない存在となっています。
この記事では、メカトロニクス技術の基礎や代表的な構成要素、現場での実用ポイントを、現場目線で解説します。
また、製造業に根付くアナログ的な価値観や、今後押さえておくべき業界動向も盛り込み、調達・購買やサプライヤーとしての戦略にも役立てていただける内容を目指します。

メカトロニクス技術とは何か

メカトロニクスの定義と起源

メカトロニクスは機械と電子、そして制御技術を組み合わせた複合技術です。
日本発祥の概念で、1969年に山本重雄氏(安川電機)が初めて用いました。
当初はモーター制御など限定的な応用でしたが、現在ではセンサ・コンピュータ・ネットワーク技術まで包含する「ものづくりの総合知」となっています。

なぜメカトロニクスが重要なのか

従来の機械工学だけでは対応できない高度な自動化や生産性向上、柔軟な生産対応、さらにはコスト削減や省エネルギー対応など、製造現場の多様なニーズに応えるには、機械+電子+制御、加えて情報技術(IT)まで取り込む必要が出てきました。
グローバル競争が激化する中で、競争力の源泉となる技術です。

メカトロニクスの代表的な構成要素

1. アクチュエータ(駆動系)

アクチュエータは、電気信号を実際の動き(物理的変位)に変換する装置です。
代表例として、サーボモーター、ステッピングモーター、油圧シリンダー、エアシリンダーなどがあります。
例えば、ロボットアームの可動部や自動搬送装置の駆動部に必須です。

2. センサ技術

現場の「目」となるパーツです。
位置センサ、圧力センサ、温度センサ、近接センサ、カメラ(画像センサ)など、検出対象や用途に応じた選定が重要です。
IoT化によってセンシングデータの遠隔収集も容易になりました。

3. 制御装置(コントローラ・PLC)

マイコン、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、産業用PCなどが制御の頭脳として活躍します。
入力(センサ値)に基づき、最適な出力(駆動指令)をアクチュエータに送るシステムです。
近年はAIを活用した高度な制御や、SCADAなどの統合監視システムとの連携も進んでいます。

4. 通信・ネットワーク

複数の機器や装置を協調動作させるためには、通信ネットワークが必要不可欠です。
最近では、Ethernetベースの産業用ネットワーク(EtherCAT、PROFINETなど)が主流。
現場のリアルタイム性と、ITシステム側との連携(DX化)の両立が課題となっています。

5. ソフトウェア技術

メカトロニクス装置の動作を支えるのが制御プログラムや、上位系の生産管理・解析ソフトウェアです。
更にAI画像診断やビッグデータ解析、モデルベース開発など、ソフトウェアの重要度は年々増しています。

実用のポイント〜昭和的現場感覚と最先端技術の融合

現場目線で見るメカトロニクス活用のリアル

いくら最先端の技術も、現場で「本当に使える」形に落とし込まない限り、真の価値は生まれません。
以下は、長年現場を経験した筆者だからこそ語れる、実用の勘所です。

1. 設備導入には「運用思想」が重要

古くからの現場では、「壊れにくい、扱いやすい、調整が効く」ことが何より重視されます。
最新鋭のセンサや制御装置も、現場担当者が日常点検・保守を行いやすくなければ、かえって現場の手間やトラブルの火種になりかねません。
バイヤーやエンジニアは、現場側の運用思想をよくヒアリングし、「現場力の活かせる」メカトロニクスを目指す必要があります。

2. カスタマイズ性と標準化の両立

即納・多品種少量・短納期といった現代の製造業には、ときに「一品ごとカスタマイズ」の柔軟性が不可欠です。
しかし一方で、消耗部品やメンテナンス部品、保守体制には一定の標準化がなされていないと、長期稼働に耐えうる信頼性やコスト管理ができません。
現場現実主義×IT設計主義のバランス感覚が問われます。

3. アナログな現場力とデジタルの融合

昭和から受け継がれる「現場五感」や「経験則」は、AIやIoTが席巻する現在でも貴重なノウハウです。
例えば、圧力センサの異常値を検知するだけでなく、「普段と違う音、振動」で異常を感じ取るベテランの勘は、まだまだAIには真似できません。
デジタルデータとアナログ的現場観察を融合する“ハイブリッド監視”こそ、現場の安全・生産性を両立する鍵です。

4. 調達・購買目線の押さえどころ

バイヤーとして重要なのは、部品・装置単体でのコスト比較ではなく、「トータルコスト」を意識することです。
初期導入費だけでなく、交換部品の納期・在庫性、サポート体制、将来的なアップグレードや複数メーカー製品の互換性まで総合的に管理しなければなりません。
また、リスク回避として「第二サプライヤー」の開拓や、サプライチェーン上の地政学リスク(調達先の安定度)も重要な評価軸です。

5. サプライヤーの立ち位置から見る付加価値提案

サプライヤーにとっては、「言われた通りの部品・装置を納める」時代から、「現場課題の解決パートナー」へと脱皮が求められています。
導入先の現場環境や運用フロー、既存システムとの相性を丁寧にヒアリングし、製品だけでなくノウハウや運用マニュアル、定期フォローなど“付加価値”を提案することで、信頼・選ばれる力を高めていきましょう。

現状の業界動向と未来展望

IoT・AI化によるメカトロニクスの進化

近年はIoT化が進み、メカトロニクスシステム全体から得られる「データ」が資産となっています。
機器稼働状況やトラブル履歴、稼働効率のビッグデータ化を進め、「未然保全」「予防保全」など新サービスの展開も加速中です。
AI技術で異常兆候を自動抽出したり、人の“気づき”をモデル化する事例も増えています。

人と協調する「コボット」への進化

ロボット&オートメーション一辺倒ではなく、人と一緒に働く「協働ロボット(コボット)」や、作業現場での「人の判断」を支援する仕組みづくりもホットな課題です。
安全規格のアップデートや、「ヒト+ロボが協調」することで職場の柔軟性を確保する動きが進んでいます。

“令和型”ものづくりを支えるメカトロニクス

今後は、グローバルなカーボンニュートラル対応や、サステナブルな製造ラインの構築が求められます。
メカトロニクス技術も「エネルギー効率の良い装置」「環境負荷の小さい素材」など、SDGsに資する進化が重要視されています。

まとめ

メカトロニクス技術は、昭和的「現場力」と令和の「デジタル変革」(DX)をつなぐ架け橋です。
その基礎や代表的な構成要素を理解しつつ、実用では現場との対話や従来知とのハイブリッド運用が欠かせません。
調達・購買担当者やサプライヤーの皆さまは、価値提案の幅を広げる絶好の機会と捉え、ご自身の現場に最適な技術導入とイノベーションを推進していただきたいと思います。

今後も、現場とともに歩む「実践的メカトロニクス」の地平を皆さんと一緒に切り拓ければ幸いです。

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