調達購買アウトソーシング バナー

投稿日:2026年1月5日

曲げ加工機で使う部材管理が属人化している現場の実情

はじめに:昭和のやり方が根付く現場、部材管理の“属人化”という壁

製造業の現場、とりわけ曲げ加工機を中心とした板金加工や金属加工の工程では、今なおアナログな手法が強く根付いている現状があります。

現場でよく課題として挙げられるのが「部材管理の属人化」です。

部材の発注や在庫管理、現場への供給…。
こうした一連の流れが、一部の担当者の経験値や記憶、勘に依存している状態が多く見受けられます。

この記事では、製造業の現場を長年見つめてきた筆者が、属人化がもたらす課題や実情を現場に即した目線で紐解きます。

また、より効率的な部材管理へのアプローチについても、新たな発想でご提案します。

曲げ加工現場での部材管理、よくある“属人化”の流れとは

現場でよく聞く「○○さんに聞けば分かる」の実態

工場によっては、部材管理を特定の担当者が一手に担っているケースが多々あります。

「A鋼板は○○さんじゃないと、どこに何がいくつあるか分からない」
「在庫の芯材の山は、○○さんの勘で足りる、足りないを判断している」
こうした声を多くの工場で耳にしました。

実際、一定年齢以上のベテランが長年の経験から倉庫配置や仕入れ先、発注タイミングまで頭に入れていて、現場の皆がその人を頼りにする。

まさに“昭和型”の現場運営と呼べます。

在庫管理システムが導入されない背景

「それなら在庫管理システムやバーコード管理を導入すれば…」という意見が出るのは当然です。

しかし現場の実情は、
「そこまでの量でもないから必要がない」
「現場の皆がアナログで慣れている」
「パソコン操作が面倒」
など、属人性温存の論理がいくつも存在します。

この“温故知新”ならぬ“温故温存”こそ、曲げ加工現場に色濃く残るアナログ文化の象徴です。

現場作業と部材管理が一体のために生じる弊害

曲げ加工機のオペレーターが段取り替えと同時に自分で担当部材をピックアップする。

こうした流れが日常的であり、「自分の作業の合間に部材管理をこなす」のが当たり前になっています。

このため、部材管理に専念する人や仕組みがなく、その作業者が休むと部材移動が滞る、発注も抜ける―といった事態が生じがちです。

つまり、業務の属人化がダイレクトに生産性や品質へ影響しているのが現実です。

属人化がもたらすリスクと現場の苦しみ

生産の遅延・品質不良につながるリスク

曲げ加工機における部材管理が特定の担当者に依存していると、
・その担当者が休んだ
・異動した
・急な納期対応を要する事案が発生した
こういった時に、在庫が分からない、材料の準備が遅れる、過不足が発生する、とトラブルが連鎖的に起こります。

また、材料ロットや使用履歴が曖昧になりやすいため、品質トレースや不具合対応にも遅れが生じやすくなります。

属人化の実害例―“○○さん頼み”が招いた失敗

たとえば、実際にあったケースです。

ある大手家電メーカーの工場で、長年“材料の番人”と呼ばれてきたベテランが退職。
彼のノートと記憶だけで運用してきたため、
・材料が見当たらず緊急再発注、納期遅延
・在庫量が掴めず、大口クレームに気づくのが遅れた
・新担当者が要領をつかむまで半年かかった
…という事態が現実に起こりました。

このように、“属人化”は明確な業務リスクであり、現場の努力や誠意だけでは乗り越えられない壁となりがちです。

なぜ属人化はここまで根強いのか?アナログ現場文化の構造

人間関係重視・現場主義の土壌

昭和から続く製造業現場の文化では「阿吽の呼吸」「言わずもがな」「顔を見れば分かる」といった、熟練者同士の暗黙知が重視されてきました。

そのため、
・業務の可視化よりも人間関係の円滑なやりとり
・IT化や仕組み化への“現場反感”
が強い傾向があります。

特に中小企業ほど、現場で長年働くベテランの発言力が大きい場合が多く、「属人管理」の温存につながっています。

“コスト感覚”と“管理コスト増”への懸念

曲げ加工機などの現場では「新たな管理維持費がコストアップにつながる」といった観点も根強いです。

実際、
・新しいツールやシステムへの投資は控えたい
・現状維持でトラブルが年に1~2回なら許容範囲
と、現場で“損得より習慣”が勝ってしまうことが多くあります。

また、管理側(工場長や調達課)も、現場にムリ強いして軋轢を生むことを避けたがる傾向にあります。

バイヤー視点・サプライヤー視点で見る“属人化”の問題点

バイヤー(購買)の考える“部材管理のあるべき姿”

購買部門が求めるのは、
・在庫情報の正確性
・トレーサビリティ(どのロットをどこで、いつ使ったか)の確保
・異常時にすぐ対応できる現場体制
です。

しかし、現場管理が属人的だと、発注数の根拠やロットトレースがあいまいになり、QCD(品質・コスト・納期)の最適化に大きな支障が生じます。

購買側は「なぜ現場の管理がこんなに曖昧なのか」と頭を悩ませがちです。

サプライヤー(協力工場)の視点:正しい情報共有なく発生するトラブル

仕入先側でも、バイヤー担当者の交代や急な仕様変更で“情報が伝わらない”という事態がよく発生しています。

また、「担当者が替わったとたんに品質や納品に関するルールが曖昧になった」との声も多数あります。

これも現場の属人管理がもたらす負の側面です。

脱・属人化に向けて現場でできること:小さな一歩から始めよう

1. 書き残そう、情報の“見える化”を徹底

いきなりシステム化に抵抗感がある場合でも、「紙でもいいから誰でも分かるように記録に残す」ことから始めてみましょう。

たとえば、
・仕掛け部材ごとの取得・移動・在庫・使用日のノート管理
・ロット入庫/出庫の一覧表掲示
・担当者交代用の“引き継ぎノート”の導入
これだけでも、担当不在時のトラブルを減らせます。

2. “二人一組”での運用を試験導入

日々の管理を複数人で行い、「Aさん一人が休んだらワカラナイ」を防止します。

まずはベテランと若手をペアにする方法がオススメです。

OJTにもなり、新旧世代間の知見が自然と共有されやすくなります。

3. ミニマムなデジタル化で負担低減

いきなり全社の在庫管理システムを入れずとも
・ExcelやGoogleスプレッドシートを使った簡易管理表
・スマホで撮った在庫棚写真をデイリーで共有する
など、小さな運用改善からデジタル活用の土壌を作りましょう。

この“小さなデジタル化”は、現場の心理的ハードルを下げつつ、徐々にデータ管理への耐性を育成できます。

属人化撲滅の先に見えるもの ― “現場力&競争力”の向上

属人的な部材管理から脱却することで、
・担当不在時でも生産ラインや調達が滞らない安定運用
・在庫の過不足が減り、無駄なコスト浪費の抑制
・過去トラブルの再発防止、品質トレースの信頼性向上
といった、現場の“底力”向上が期待できます。

さらに、現場が主体となった改善活動に変わることで、若手の成長機会や、現場力の多層化・多能工化へとつなげられます。

そして何より、バイヤーやサプライヤーなど外部との信頼感がグッと高まります。

まとめ:部材管理改革は現場から始めよう

部材管理の属人化は、製造業の現場に根強く残る課題です。

昭和的現場力や阿吽の呼吸を否定する必要はありませんが、「いつ誰がやっても滞りなく続く」仕組みづくりが今こそ求められています。

まずは小さな見える化、複数人運用、ミニマムなデジタル化から――。

現場目線の“一歩”が、持続可能なものづくりへの新たな地平線を切り拓きます。

部材管理の改革に取り組む皆さまへ、筆者自身の現場経験と課題克服の汗を込めてエールを送ります。

調達購買アウトソーシング

調達購買アウトソーシング

調達が回らない、手が足りない。
その悩みを、外部リソースで“今すぐ解消“しませんか。
サプライヤー調査から見積・納期・品質管理まで一括支援します。

対応範囲を確認する

OEM/ODM 生産委託

アイデアはある。作れる工場が見つからない。
試作1個から量産まで、加工条件に合わせて最適提案します。
短納期・高精度案件もご相談ください。

加工可否を相談する

NEWJI DX

現場のExcel・紙・属人化を、止めずに改善。業務効率化・自動化・AI化まで一気通貫で設計します。
まずは課題整理からお任せください。

DXプランを見る

受発注AIエージェント

受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。

機能を確認する

You cannot copy content of this page