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自動機の電気設計および制御盤製作における外注先選定のベストプラクティス

目次
はじめに:製造業の進化と外注活用の現実解
自動機の導入やラインの自動化は、製造業における生産性・品質向上を実現する必須要件になっています。
しかし、多くの現場では、電気設計や制御盤の製作という技術領域について、社内リソースの不足や最新技術への対応、人材育成コストの増大といった課題がつきまといます。
結果、外部の専門業者にこれらの工程を外注するケースが増え、「適切な外注先の選定」がバイヤー・工場長・購買担当者にとって極めて重要なマネジメント課題となっています。
本記事では、20年以上の製造現場経験から得た知見をもとに、電気設計および制御盤製作における外注先選定のベストプラクティスを、実践目線で解説します。
昭和から続くアナログ体質の現場文化や、アジャイルなデジタル変革の波にも配慮した、現実に根ざした判断軸を整理します。
自動機の電気設計・制御盤製作を外注する理由
社内リソースの最適化とコア業務への集中
多くの工場では、省人化ニーズの高まりにより自動機や搬送システムの導入が相次いでいます。
しかし、電気設計・制御盤製作という分野は高度な専門知識と経験が必要となり、限定的な社内技術者での完結は難しいケースが増えてきました。
自社の技術者を企画・設計段階や生産技術の高度化、戦略的な設備導入など「価値の高い業務」に集中させる方が、長期的な成長にとって大きなメリットになります。
これにより、アウトソースは単なる人手不足の解消ではなく、『企業戦略の一部』として捉える必要が出てきています。
技術革新への迅速なキャッチアップ
近年、IoTやAI・デジタルツイン・産業用ロボットなど、製造DX分野は日進月歩で進化しています。
電気設計や制御盤製作にも、PLCやタッチパネル、人協働ロボットとのインターフェース設計といった、最新技術への深い理解と適応能力が求められています。
自社のみで最新の技術トレンドをキャッチアップしつづけるのは現実的ではありません。
そのため、外注パートナーの技術力を活用し、「時代遅れの装置設計に陥るリスク」を回避することが重要となります。
外注先選定の失敗例から学ぶべきポイント
失敗例1:『安さのみ』で選んだ業者にふり回される
購買コスト削減のプレッシャーから、つい金額の安さだけで選定してしまうケースが時に見られます。
ところが、設計仕様をきちんと読み解く力が乏しい、見込み工数を甘く見積もる、納期を守れない…といった業者に発注した結果、品質不良や納期遅延に悩まされることになる現場を私は幾度となく目にしてきました。
初期投資を抑えても、手戻りや現場対応の追加コストが膨らみ、トータルでみると割高になる…という典型的な失敗です。
失敗例2:『実績が豊富=自社に合う』の落とし穴
「大手自動機メーカーも使っている」「某有名企業で実績多数」といった謳い文句に惹かれて業者を選ぶケースもよくあります。
しかし、業種や製品特性ごとに求められるコントロール技術や品質基準は大きく異なります。
実績が多い=柔軟に対応できる業者とは限らず、フォーマットが固定化していたり、自社独自の生産条件と噛み合わずプロジェクトが迷走するリスクもあります。
重要なのは、自社の期待や現場の制約条件をしっかり理解し、柔軟な提案ができるかどうかです。
外注先選定を成功へ導く5つのベストプラクティス
1. 技術力と実績だけでなく『現場力』を評価する
外注先には、単にスペック表通りの設計や図面作成能力だけでなく、自社工場の「現場」をリアルにイメージし、実装段階まで伴走できる『現場力』が重要となります。
たとえば、限られた設置スペースや電源、既存装置との連携、設備の立ち上げ時の慣熟作業、現場オペレーターへの教育支援など、製造拠点の実情に即したきめ細かい対応力が求められます。
面談や工場見学の機会で、過去の対応事例や現場トラブル時の対処方法などを積極的に質問し、「現場で何を重視するか?」という判断軸を共有できるパートナーを選定しましょう。
2. 『提案力』のあるパートナーかを見極める
仕様書通りに作業を進めるだけでは、現場特有の問題や改善チャンスを見逃してしまいます。
今や、外注先には「このままでは不具合の可能性があります」「●●の制御方法だと立ち上げが楽になります」といった、プラスアルファの提案力が不可欠です。
見積段階で、具体的な設計提案やコストダウン案、先進事例を提示してくれるか?現場で想定されるトラブル予防のアイディアまで含めてヒアリングしましょう。
3. コミュニケーションの透明性を重視する
トラブルの多くは意思疎通の齟齬や、双方の思い込みから発生します。
打合せ履歴を記録・共有してくれる、仕様変更等における連絡フローが明確、プロジェクト進捗の見える化がなされている…といったガバナンス体制が整っているかは非常に重要です。
また、外注先担当者が代わるたびに情報が途切れる業者も少なくありません。
「組織としてナレッジや進捗が引き継がれる仕組み」を持つ会社かどうかも選択ポイントになります。
4. アフターサポート体制の充実度を確認する
設備の立ち上げや検収後、現場での微調整やトラブル対応、各種書類の再発行・変更対応など、導入後に発生するフォローの質が、そのまま現場の稼働信頼性につながります。
設計・納品だけでなく、現場への立ち会いやリモートでの保守対応、半年・一年後のサポート契約など、「アフター体制がどこまで担保されているか」を必ず確認しましょう。
5. 『現場の声』と購買・生産管理が協働する仕組み
選定初期で購買主導となりがちな外注先選びですが、工場オペレーターや現場管理者の意見を事前に吸い上げる仕組みがとても重要です。
また、生産管理・設備保全担当とも連携し、「何をどこまで外注するか」(設計の一部のみ、製作まるごとか、据付・ソフト立ち上げも含むか等)を事前定義することで、手戻り・認識違いが劇的に減ります。
昭和的な「現場は現場に任せる」から、「現場横断のチーム力で最適なパートナーを見抜く」意識へシフトしましょう。
2024年以降の外注先選定に関連する最新業界動向
人手不足・DX推進による再外注化ブームの到来
近年、熟練技術者の高齢化と人手不足が、ますます深刻化しています。
2024年問題を起点に、製造業各社で再び「外注化」「パートナーとの協業」が志向されています。
またDX推進の流れで、設計〜保全・予知保全までトータルサポートできる「ワンストップ外注」サービスへ注目が集まっています。
デジタルツイン・リモート保守による新たな選定基準
ITの進展とともに、図面・仕様の電子データ一元管理、シミュレーションベースの設計レビュー、リモート制御検証、クラウドによる納品物共有…こうした新しいスタンダードが求められています。
今後は「データドリブン対応ができる外注先」かどうかも重要な選定ポイントとなるでしょう。
サステナビリティ・法令遵守への対応力
制御盤設計でも、環境負荷低減・SDGs対応・CEマーキングなど、グローバル規格や法令遵守が要件化されつつあります。
コンプライアンス遵守、社会的責任への配慮が欠かせない新時代に、外注先の意識や体制も要チェック事項です。
まとめ:最適なパートナー選定で製造業の未来を切り拓く
自動化の加速とデジタル化の波が押し寄せるなか、製造業における「外注先選定」の難易度・重要性は年々高まっています。
自動機の電気設計や制御盤製作という専門性の高い分野では、「現場目線」と「最新技術力」、さらに「柔軟なコミュニケーション力」をバランスよく持つパートナーこそ、真に信頼できる外注先といえるでしょう。
価格や実績だけで判断するのではなく、現場で共に汗をかき、成長を志向できる外注パートナーと二人三脚で取り組むことが、企業の競争力強化につながります。
昭和的なアナログ慣習から脱却し、現場と購買・生産管理が連携する「真の製造現場力」を高めていきましょう。
この記事が、バイヤーを目指す方、現場担当者やサプライヤーの皆さまにとって、外注先選定のヒントとなれば幸いです。
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