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部下のアイデアを潰す上司を陰で「老害」と呼ぶ現場の声

目次
はじめに:日本の製造現場に蔓延する“昭和型”上司像
日本の製造業は戦後の復興期から高度経済成長を支え、世界に誇る品質と技術力を築き上げてきました。
その中心には、技術や知識、現場で培った経験を持つ多くの上司たちが存在します。
しかし、その一方で、現在もなお昭和の価値観や組織文化に強く影響された上司像が根強く残っています。
特に目立つのが、「部下のアイデアを正当に評価せず、潰してしまう」という上司の存在です。
現場では、こうした上司を陰で「老害」と揶揄する声が少なくありません。
今回は、製造業の現場経験を踏まえ、上司と部下の間に潜む課題やその背景、現代に求められるマインドセット、そして解決に向けた具体策を現実的な目線から掘り下げます。
なぜ「部下のアイデア」に耳を傾けないのか?——根底にある“昭和思考”
経験主義の弊害
製造現場では「現場を知らない理屈だけのアイデアなんて…」という意見が多く聞かれます。
確かに豊富な現場経験が生産性や品質を担保してきたのも事実です。
しかし、それが行き過ぎると「前例がない」「昔からこうしている」という思考が強くなり、結果として新しいアイデアが受け入れられなくなります。
昭和時代には、それでも現場全体が成長していたため、この“経験主義”が強い信頼を得ていました。
組織ヒエラルキーと「空気」の支配
日本独特の縦割り組織、そして「和」を重んじる文化。
「波風を立てないこと」「上司を立てること」が暗黙の了解となり、若手や現場の声が埋もれがちです。
優れたアイデアであっても、出した人の階級や社歴によって評価されない…。
これが現代でもなお残る根本的な問題の一つです。
アナログ文化の根強さ
多くの工程や管理が未だ紙や手作業、口頭伝達に依存しています。
新たなシステム化や自動化を提案しても「データの管理が不安」「導入コストがかかる」などの理由で却下。
「変わること」への漠然とした恐れや、未知の領域へのハードルの高さが大きな壁となっています。
現場の悲鳴:部下たちのリアルな声
「提案したのに『無理だ』の一言で終わった」
現場の部下たちは、もっと効率化できる方法やミスを減らすための小さな工夫など、多くの改善案を心に秘めています。
ところが、それを上司に伝えた途端「今は無理だろう」「それは理想論だ」などと即座に否定されることが珍しくありません。
「何のための意見箱か分からない」
「どうせ変わらない」
そんな諦めの気持ちが蔓延しています。
「黙って従うのが正しい?」
「上司に従うのが正しい」「余計なことを言うと出世できない」。
そういう社内風土の中で、部下が積極的にアイデアを発信する機会は激減しています。
これが組織全体の新陳代謝を阻み、イノベーションの芽を摘んでしまっているのです。
「若手はすぐ辞めてしまう」——根本原因のひとつ
新卒・若手の「成長したい」「自分の意見を活かしたい」という思いが、昭和型の体質で潰され続ければ、社内に“閉塞感”が漂います。
結果として、せっかく入社した優秀な若手が短期間で辞めてしまう事例も多く見られます。
「老害」と揶揄される理由を現場課題から徹底分析
1. 市場・顧客の変化に適応できない組織
お客様の要求はますます多様化し、納期短縮やコストダウン、トレーサビリティの強化など柔軟な対応が求められています。
それにもかかわらず、上層部が過去の成功モデルから脱却できず、新しい提案や仕組みを拒絶すれば、競合他社に大きく遅れを取ります。
2. デジタル化・自動化の波に乗り切れない現実
IoT、AI、RPA、MES…デジタル化は製造業においても避けて通れない道です。
導入にはコストや手間が掛かりますが、現場レベルの提案さえ取り合わなければ、デジタル化は進みません。
「紙の帳票が安心」「昔からのやり方が一番」という上司の姿勢が、工場全体の進化を阻害しています。
3. 業務の属人化がリスクに
長年現場で活躍してきたベテランが知識やノウハウを独占し、標準化・共有化が進まない“属人化”は、後継者不足・品質問題を引き起こします。
若手や他部門からの改善提案・自動化の呼びかけを「俺のやり方が一番」と遮断してしまうのも、老害上司の典型です。
4. 一方的な人事評価が人材の多様性を潰す
年功序列や「飲み会参加の評価」など、パフォーマンスよりも“上司への忠誠心”が重視される組織も現存しています。
多様性を受け入れなければ、変化に強い人材は社外へ流出しやすくなります。
バイヤー・サプライヤーの立場から見る「老害上司」問題
「柔軟な発注・改善提案が通じない」
バイヤーとして仕入先にコストダウンや納期改善の依頼をする際、「現場がこうだと言っているので無理」と交渉の余地すら与えられないケース。
またサプライヤー目線でも、より良い提案や新素材導入を持ち込んでも「今は変えるな」の一点張り。
これは双方にとって大きな機会損失です。
業界全体の競争力・新陳代謝の停滞
業界全体を俯瞰すると、こうした体質が広がれば、スタートアップやITベンチャーなど異業種からの参入に足元をすくわれかねません。
業務効率やコスト、品質、納期といったグローバル競争の最前線で戦う上では、「老害上司」の存在が致命的な障害となります。
昭和から令和へ:時代に求められる上司像・組織像
脱・「俺が主役」型リーダーシップ
現場を知り尽くしたベテランの経験は貴重ですが、それを次世代に繋いでいくためには、「すべてを自分でコントロールする」姿勢から脱却する必要があります。
「自分の知見は会社・現場全体の財産」と考え、惜しみなく共有するリーダーが必要です。
「現場目線の実践的DX」から始める
システム導入や自動化は、一気に大プロジェクトでやる必要はありません。
現場の意見を吸い上げ、例えば「伝票の電子化」「棚卸のバーコード管理」など小さな“現場DX”からコツコツと始める。
こうした積み重ねが組織全体のデジタル化を推進します。
多様な人材の活躍推進
年齢や国籍、背景を問わず、多様な人材が活躍できる職場風土の構築が必要です。
「○○部長の許可がないと何も始まらない」という閉塞感が打破されれば、自ずとアイデアの質も量も向上し、現場の士気も上がります。
部下のアイデアを活かす上司、潰す上司——その差は何か
アイデアを「評価」する、ではなく「一緒に育てる」
現場からの改善案に対し、「そのアイデアは無理」と評価・裁定するだけではなく、「この発想はどこに生かせるか」「課題は何か」と一緒になって解決策を検討するスタンスが大切です。
失敗やチャレンジに寛容であること
提案がすぐに成果に結びつかなかったり、失敗に終わることもあります。
そうした経験を糧にして「一緒に考えよう」と後押しできる上司こそ、若手から信頼されます。
今後、製造現場で求められる人材・スキルとは
「現場×テクノロジー」人材の育成
現場の経験・現状に対する理解をベースにしつつ、ITやDXリテラシーを兼ね備えた人材が求められます。
上司層が「よくわからないことは若手任せ」ではなく、自らも学び、試す姿勢を持つことがイノベーションを加速させます。
“コミュニケーション設計”のプロになる
上司―部下、現場―管理部門、バイヤー―サプライヤー、こうした立場や部門、階層を横断したコミュニケーション力こそが令和の現場マネジメントのカギです。
まとめ:「老害上司」と呼ばれないために、今できること
日本の製造業が再び世界の舞台で輝くためには、現場のアイデアや若手の声を組織の力に変えていく必要があります。
そのためには、上司一人ひとりが「自分たちの価値観ややり方が通じなくなってきている」ことを自覚し、大胆にマインドセットを変えていく覚悟が求められます。
かつての成功体験や“昭和型”の常識に固執せず、小さな一歩からでも部下と共に現場を変え、時には失敗しながら前進する。
そんなリーダーシップが、これからの製造業には不可欠です。
部下を「育てる」ではなく、一緒に「成長する」。
これこそが、“老害”から脱却し、イノベーションあふれる現場づくりの第一歩となるでしょう。
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