- お役立ち記事
- 強権的に振る舞う上司を陰で「昭和の遺産」と揶揄する会話
強権的に振る舞う上司を陰で「昭和の遺産」と揶揄する会話

目次
はじめに:製造業の現場にいまだ残る「昭和の遺産」とは?
日本の製造業は長らく世界をリードしてきましたが、その現場には昭和時代から続く独特の企業文化やマネジメント手法がいまだ色濃く残っています。
中でもよく耳にするのが、強権的な上司の存在です。
「俺の言うことが絶対だ」「黙ってついてこい」という一方的な指示や、パワハラすれすれの叱責、会議での恫喝。
こうした振る舞いを、若い現場社員は陰で「昭和の遺産」と揶揄して冗談交じりに語り合うことも少なくありません。
この記事では、実際に現場で耳にした会話や、強権的な上司の特徴、なぜそんな態度がいまだに残るのか。
また、その弊害や現場改革のヒント、バイヤー/サプライヤー双方の視点で考える未来志向のマネジメントについて、実践的かつラテラルな切り口で深く掘り下げていきます。
今も残るアナログな強権スタイルの実態
典型的な「昭和型上司」とはどんな人物か
「仕事は見て覚えろ」「遅くまで残っていれば成長する」「とにかく数字を出せば文句は言わせない」。
こうした言葉を平然と口にする上司が、あなたの職場にいませんか。
このタイプの上司は、昭和時代に身につけた管理スタイルや価値観を、令和になっても変えずに適用しているケースが多いのです。
一例を挙げます。
生産現場で工程不良が発生した際、「だからお前たちはダメなんだ!」と現場メンバーを一喝。
原因追及よりも声を荒らげて誰かをスケープゴートに仕立てることで、あたかも自分が現場を統率していると錯覚してしまうのです。
また、調達や品質管理の現場でも、サプライヤーや協力会社に高圧的な態度で接したり、根拠のない値下げや無理な納期短縮を迫る場面も見受けられます。
なぜこのスタイルが変わらないのか
一つには、日本の製造業が高度経済成長期に培った「トップダウンによる効率的な現場運営」の名残があるからです。
当時は速い意思決定と指示待ちのマインドが組織のパフォーマンスを支え、多くの成功体験をもたらしました。
そのため、現場の50代、60代の上司にとっては、「自分もそうされた」「これが現場のあるべき姿」と無意識に刷り込まれているのです。
もう一つは、デジタル化がまだ進んでいない、中堅・中小の“昭和的体質”が強く残る業界構造です。
“経験値”や“職人技”が重んじられる反面、「新人に任せるとトラブルが起きる」という固定観念が根強く、権限移譲や現場の自主性尊重が進みにくい現実があります。
現場のリアルな会話:「昭和の遺産」揶揄の裏側
現場の若手社員はどう感じているのか
「また○○部長が怒鳴ってたみたいだよ」
「塩対応されてメンタルやられたわ」
「いつまであの人がいるんだろうね。早く“令和の風”が吹いてほしい」
少し大きめの声で、でも本人には聞こえないように。
若い現場スタッフやバイヤー志望の社員が、休憩室や喫煙所、廊下でこんな会話をしているのをよく耳にします。
共通しているのは、「仕方ない」「伝わらない」「無力感」といった諦めにも似た空気。
そこには、変化への期待と同時に、「自分が逆らってもどうにもならない」という現実のしんどさがにじみます。
サプライヤーから見た“バイヤーの強権”の実態と対策
サプライヤーの立場で現場バイヤーと日々やり取りしていると、強権的なバイヤーの存在も、大きな障壁となることがあります。
「とりあえずコストダウンできるまで帰るな」
「納期絶対遵守、できなければ次回から発注しない」
「他社はもっと安くできている」
こうした要求は、過剰な価格競争や品質リスクの発生につながります。
その一方で、「本音では付き合いを深めて、長期的なWin-Winを築きたい」というサプライヤーの声も少なくありません。
サプライヤー視点でバイヤーに求めるのは、「現場目線での事情の理解」と「課題共有型の交渉スタンス」です。
強権的マネジメントの弊害と、現場が失うもの
モチベーション低下、離職率増加という現実
「近い将来は他業界に転職したい」
「あのチームには入りたくない」
こうした意識は、現場モチベーションの低下や人材流出に直結します。
今や日本の製造業も生産年齢人口の減少、若手の人材確保難といった深刻な課題に直面しています。
強権的な上司が組織の変化を拒み続ければ、優秀な若手ほど外資メーカーやIT企業など別のフィールドへ流れてしまいます。
潜在コストと現場のジレンマ
強権的な文化下では、現場スタッフは「上司に怒られないこと」「決められたことだけやる」ことが正解となりがちです。
これでは現場の創意工夫や自発的な改善、品質事故の予兆を伝える率直な報告が出てこなくなります。
結果として、小さなミスが重大事故につながったり、現場力が目に見えないコストとして経営を圧迫するようになるのです。
ラテラルシンキングで切り開く“令和型”現場改革
現場に「対話」と「共創」を取り戻すヒント
昭和の遺産の悪しき面を断ち切るためには、何より「対話型マネジメント」へのシフトが不可欠です。
部下の意見や提案を受け止め、“なぜそうしたのか”“どう改善したいのか”と本質に迫る会話を心がける。
これが現場の心理的安全性の第一歩です。
たとえば定例会議も、「今月の失敗事例」「新たな仕組みの提案会」など、失敗を責める場から学びを共有するプロアクティブな場に変えてみてはいかがでしょうか。
また、生産管理や調達の領域では、ERPやサプライチェーン・マネジメント(SCM)ツールの導入が進む今だからこそ、人間同士の合意形成スキルが一層重要になります。
サプライヤーとバイヤーの「関係性進化」は製造業の未来を変える
調達バイヤーにとって、サプライヤーとのパートナーシップは単なる価格交渉ではなく、現場スペックを最大限に引き出す“共同体づくり”の領域に入っています。
現場に寄り添った要望把握や、共通課題の認識の擦り合わせ、デジタル技術を活かした情報共有など、「共創型調達」の潮流は間違いなく強まっています。
サプライヤー側も、「ただ御用聞きをするだけでなく、提案型バリュー」「リスク共有型サプライヤー」としてのスタンスを持つことで、バイヤーからの信頼と評価を得やすくなります。
令和時代の製造業は、上下関係や年功序列を超え、イノベーティブで持続可能なものづくりネットワークの構築が求められています。
現場の管理職・リーダーに求められる新たな視座
過去の成功体験が“負債”になる時代
管理職や工場長の立場として強く意識したいのは、「過去の成功体験の呪縛から自由になる」ことです。
確かに、昭和時代のやり方でビジネスを勝ち抜いてきたことも否定はできません。
しかし、急速なグローバル化、技術革新、多様化する顧客ニーズという現実の前では、旧来的なマネジメントスタイルこそが組織の成長にブレーキをかけることを、冷静に認識しなくてはなりません。
“現場目線のリーダー”とは何か?
若いメンバーの価値観や働き方、多様なキャリア志向の違いを理解し、適切なモチベートの方法を探る。
「自分の若い頃はこうだった」ではなく、「今、この現場で求められているものは何か」「10年後の現場はどうなっているべきか」を常に念頭において判断する。
このラテラルな視点こそが、現場を変革するリーダーに求められている資質です。
まとめ:“昭和の遺産”から“令和の強み”へ
かつては現場を引っ張ってきた強権的なリーダーが、今や“昭和の遺産”とされ、世代を問わず揶揄される現実。
しかし、その「厳しさ」「情熱」「現場感覚」そのものが悪いわけではありません。
問題は、その時代背景や価値観に固執し、“現場と向き合う対話”を怠ってしまうことにあります。
柔軟なラテラル思考をベースに、「現場の声を聞く」「共創する」「健全な対立を恐れず意見を戦わせる」。
そしてサプライヤーにもバイヤーにも“自分だけの正解”ではなく、“現場のための最良解”を模索し続ける。
昭和の遺産に敬意を払いながらも、チームの多様性と自律性を最大限尊重する。
そんな「令和型マネジメント」が、日本の製造業に真の競争力と進化をもたらすのではないでしょうか。
製造業を支える皆さんが、今日の現場で感じている悩みや違和感も、変革へ向けた最初の一歩です。
「昭和の遺産」を超えた先の、未来志向のものづくり現場を、ともに目指していきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)