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コーティング剥離が起こる原因と対策

目次
はじめに:コーティング剥離問題の本質とは
製造業のあらゆる現場で、コーティング剥離は“いつか必ず訪れるトラブル”として認識されています。
塗装品、表面処理品、そして機能性を持たせた被覆材ーー。
どんな分野でもコーティングは「美観」「防錆」「摩擦低減」「耐食」などを実現する重要な工程です。
しかし、ちょっとした油断や見落としが、数日から数年後に剥離というリスクとなって顕在化します。
コーティング剥離の真因を深掘りし、現場目線の抜本的対策を理解することこそ、昭和的アナログ業界を「トラブルから解放する」第一歩です。
本記事では、長年の現場経験と日進月歩で変わる産業トレンドを掛け合わせた視点で、「コーティング剥離が起こる原因」と「剥離を防ぐ実践的な対策」について解説していきます。
コーティング剥離とは何か?現場に潜むリスクと兆候
コーティング剥離とは、素材(母材)と表面処理層の密着が弱まり、被膜が浮いたり剥がれたりする現象です。
この剥離が発生すると、製品の外観不良だけでなく、サビや腐食、性能低下、最悪の場合は機能停止など大きな不良に繋がります。
現場でよく見られるコーティング剥離の兆候として、以下のようなものがあります。
- 局部的な膨れ(ブリスター)が生じる
- 小さなクラックや亀裂が拡大する
- 爪や刃先で簡単に表面コートが削れる
- 接着剤やテープテストで被膜が容易に剥がれる
剥離が起きるタイミングは、出荷直後だけでなく、輸送途中、顧客の使用中、あるいは数年の経年を経てから発生することも珍しくありません。
特にOEM供給やグローバル調達の現場では、「見えない」剥離リスクが重大な品質保証課題となっています。
なぜコーティングは剥がれるのか?主要な原因5選
コーティング剥離の原因は多岐にわたりますが、現場ではいくつかの“王道パターン”があります。
1つひとつ丁寧に分解しながら、見落としやすい注意点まで解説します。
下地処理の不良(脱脂・洗浄・化成処理の甘さ)
コーティング剥離最大の原因が、「下地処理の不備」です。
金属、樹脂、セラミックスなど、いずれの素材でも下地の脂・塵・腐食生成物・水分・薬品残留があると、コーティング(塗料・メッキ・皮膜)が十分に密着せず、数日~数年後に剥離の元凶となります。
昭和的な現場管理では“拭き取り”や“簡易洗浄”で済ませてしまうことも多く、現場にありがちな「コスト優先・納期優先の下地軽視」が、将来の大事故へ繋がります。
被コーティング材の表面粗度・形状不良
コーティングと素材の密着は、表面のざらざら感(粗度)と密接に関係します。
鏡面仕上げだったり、逆に凹凸が深すぎたりすると、コーティングの密着力が弱くなることがあります。
また、深い溝部やエッジ、穴周辺、未加工面など“部分的な死角”に下地処理やコーティング剤が入り込めないことで、局所的な剥離が起こります。
コーティング剤そのものの選定ミス・劣化
素材に対して不適切なコーティング剤(塗料・メッキ・接着剤)を選ぶと、専用のプライマーなしでは密着力が足りなくなります。
また、コーティング剤の「保存期間切れ」「撹拌不良」「劣化」「温度・湿度管理不足」も密着性低下の大きな原因です。
入手ルートがグローバル化・細分化したことで、「カタログ値では密着性OKでも、実機試験/現場再現でうまくいかない事象」が増えているのが現状です。
塗布・乾燥・焼き付け条件のばらつき
たとえ最適なコーティング剤や下地処理を行ったとしても、「塗布厚みのムラ」「乾燥時間や温度管理の誤差」「焼き付け時の過熱または過冷却」があれば、密着力が大きく損なわれます。
自動化ライン化が進んだ現代でも、塗布ラインの微妙なズレ・ノズル詰まり・エア調整不足・焼き付け炉のヒーター劣化など、ヒューマンエラーと設備由来の変動が剥離の温床となります。
使用条件と設計ミス(応力集中・腐食・薬品暴露など)
コーティング仕様を決める“設計段階の誤算”も剥離ではよくある問題です。
例えば、高温下での熱膨張差、繰り返し衝撃、複雑形状部分への応力集中、薬品や湿気・海水などの浸入などにより、密着力が低下し、剥離が進行することが多いです。
設計段階で「実際の使われ方(エンドユーザー視点)」を深掘りしていないと、思わぬ品質問題に繋がります。
現場主導で実践できる「コーティング剥離の対策」
剥離リスクをゼロにする完全な方法はありませんが、現場の知見を活かした実践的な対策を積み重ねることで、飛躍的に品質リスクを減らすことが可能です。
1. 下地処理の徹底見直し
- 「脱脂・洗浄は二度やる、最後は純水」で妥協しない
- 薬品残渣の有無を綿密に確認し、pH調整やリンス工程を徹底
- 現場内で異素材混入を生まない“ゾーニング”を徹底
- 化成処理ラインのバッチ管理・薬液濃度を工程ごとに記録する
下地処理は「やりすぎて困ることはない」と考え、最低1ロットごとのサンプル確認や、現場の“なあなあ運用”を排除する仕組み化がポイントです。
2. 表面粗さ・形状への現実的対応
- ショットブラストやサンドペーパーなど機械的粗化の最適化
- 密着テストピンやテープテストによる“ローカルチェック”実施
- 難密着部分(溝・エッジ)はプライマーや予備コーティングでリスク回避
「見えない部分こそ念入りに」という意識が、実は一番の剥離対策となります。
3. コーティング剤の選定・取り扱い・管理徹底
- 最新グレードやメーカー推奨材を常に情報収集し、現地試験で評価
- 調合・希釈・撹拌条件を徹底遵守し、エビデンス付きでロット管理
- 保存温度・湿度、その有効期限チェックフローの標準化
単なる「コストダウン」のために安価な剤を使う場合は、本質的なリスク評価(密着、耐久性)を必ず検証しましょう。
4. 塗布・乾燥・焼き付け条件の見える化と自動化
- 作業マニュアルだけでなく、温湿度・時間・エリア別管理の徹底
- 自動塗布や自動乾燥ライン各セクションのデジタル記録の義務付け
- 現場作業者への定期教育とヒューマンエラー低減活動
昭和的な“職人の感覚”は、現代では品質リスクとなるため、デジタル管理とのハイブリッド体制を作ることが重要です。
5. 設計段階で「現場・使用環境」を徹底シミュレーション
- エンドユーザーの使用状況ヒアリングとシナリオ別ストレステスト
- コーティング仕様設計において量産後の変更余地を計画的に持たせる
現場の購買・設計・生産管理が一体となった横断組織を作り、“後工程はお客様”の意識で設計、量産、フィードバック体制を敷くのが理想です。
最新トレンド:DX時代のコーティング剥離対策
最近では、IoTセンサーやAI画像認識、自律制御ロボットによる塗装品質管理が急速に広がっています。
たとえば、乾燥炉の温度分布モニタリングや、AIによる密着テスト自動評価、剥離リスクAI診断など、テストコスト削減とトラブル予兆把握が両立できる時代になりました。
また、調達・購買の現場からも「剥離リスク要因に基づいた仕入れ先評価」「納入前テストと協働改善活動」「不具合時の迅速な原因解析とフィードバック共有」などが重視されるようになっています。
現場発のデータ活用と、業界標準(ISO/ASTM/JIS)遵守によるクレームリスクの最小化は、今後のバイヤー・サプライヤー連携でも重要なポイントです。
まとめ:本質を捉えた現場-drivenのコーティング剥離対策を
コーティング剥離対策には「特効薬」は存在しません。
下地処理から塗布・密着、そして設計・調達部門を巻き込んだ横断的なアプローチこそが、現代の最強の予防策です。
昭和時代の“根性論”や官能検査に頼る体質から一歩抜け出し、デジタル&データ+人の知見を融合した新しい現場改革が問われています。
剥離トラブルの影で悩んでいるバイヤー、サプライヤー、これから製造現場を目指す皆さん。
「現場目線」で原因を掘り下げ、「設計まで巻き込む横断対策」に今こそ挑戦してみてはいかがでしょうか。
コーティング剥離を「過去のトラブル」にする新たな現場力の醸成を、共に目指しましょう。
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