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投稿日:2025年7月7日

クリーンルーム発塵対策と効果的管理で歩留まりを向上させる方法

はじめに:クリーンルームにおける発塵対策の重要性

クリーンルームは、半導体、電子部品、医薬品など高い品質が求められる製造業にとって不可欠な環境です。
この密閉空間では、わずかな塵や異物が歩留まりを大きく左右します。
歩留まりの低下は生産効率の悪化のみならず、膨大なコスト増やクレームにも直結します。

ですが、多くの現場では「設備導入さえすれば大丈夫」と考えがちです。
実際には、運用・管理・作業者の意識まで徹底しなければ発塵は抑制できません。
また、日本の製造現場では「昭和のやり方」を引きずり、真の改善に至らないケースも目立ちます。

本記事では、従来の発想を超えたラテラルシンキング(横断的な思考)で、クリーンルームにおける発塵対策と歩留まり向上に役立つ管理手法を具体的に解説します。

クリーンルームの発塵要因を深掘りする

人から発生する発塵

クリーンルームの発塵源として、まず見逃せないのが「人」です。
作業者の髪の毛、皮膚片、衣服の繊維―これらは機械以上に大きな発塵要素となります。

特に「入室手順の徹底」「作業動線の見直し」「適切なウェアの選定」など、細かな運用面が不十分だと、どんな高性能フィルタも意味を成しません。

設備・道具由来の発塵

製造装置や作業台、運搬台車なども発塵のもとになります。
経年劣化や素材の選定ミス、メンテナンス不足が「気付きにくい発塵源」となり、「なぜか不良が増えた」と問題が発覚した時には手遅れ、という事態になりやすいのが現場です。

材料・部品持ち込みによる発塵

外部から持ち込まれる原材料や部品も、汚染リスクを孕んでいます。
特に海外調達品は、コンテナ輸送時の環境や品質管理レベルの違いに注意が必要です。
この部分を見落とし、クリーンルーム内に持ち込んだ時点で頻発不良の温床となります。

昭和的な「暗黙知」から脱却するポイント

クリーンルーム運用は、古くからの「経験則」や「ベテラン頼み」が根強い分野です。
ベテランの「これで大丈夫」という判断が、実は最新の要求品質に追従できていないことも少なくありません。

仕組み化・見える化への転換

属人的な運用を脱し、「なぜ」「どのように」発塵を抑制するか仕組み化することが必須です。
作業手順、教育内容、監査項目を「見える化」「標準化」し、担当者任せにしない体制づくりが成果を生みます。
ペーパーレス化やIoTによる履歴管理も有効です。

リアルタイムデータで現場の勘を補う

昨今は測定・可視化技術が飛躍的に進歩し、発塵粒子のカウントや温湿度・気流などをリアルタイム取得できます。
ベテラン「の勘」に依存せず、データ根拠にした管理で、人的感覚によるヌケ・モレを抑えます。

発塵対策の具体的実践例

入室時のスクリーニング

「完全防塵服だから安心」と思っても、着用ルールが曖昧だったり、ファスナーの隙間から発塵するなど思わぬ盲点があります。
エアシャワーで10秒以上しっかり風を浴びるのは基本ですが、コンタミ(異物混入)が多かった時には「静電気除去ガン」を併用する、衣服をローテーションして劣化を回避するなど、一歩踏み込んだ対策が効果的です。

フロアレイアウトの工夫

単純な作業フローだけでなく、「人の通路と材料の通路を分離する」「クラス100ゾーン、クラス10000ゾーンを明確に区分け」を徹底します。
また、ドアの開閉回数を減らす、負圧コントロールで外部流入を防ぐ等の小工夫も歩留まり維持には重要です。

異物発生源マッピングの活用

「不良解析報告」にとどまらず、日々発塵源を発見・記録・対策する「異物発生源マップ」を作り、全員で共有します。
ちょっとした拭き掃除の習慣化、工具や備品の摩耗状態の定期チェックもマッピングで管理すると見落としが激減します。

生産設備の根本的見直しと選定

初期投資を惜しみ、安価な設備や老朽化した設備を「だましだまし」使う現場もありますが、設備由来の発塵は根深い問題です。
表面粗度の低い部品選定、潤滑剤の非飛散化、樹脂部品の静電対策など、細部にこだわることでランニング不良を減らせます。

調達購買部門との連携強化

サプライヤー選定時には「クリーンルーム持ち込み部材の洗浄レベル」「包装形態」まで詳細にヒアリングし、試験搬入や抜き打ちチェックを実行します。
現場スタッフも調達購買部門と積極的にコミュニケーションし、「納品時の発塵検査の実施」「定期監査」の協力体制を持つことが最重要です。

歩留まり向上のために求められる新しいマインドセット

現場・バイヤー・サプライヤーのチーム連携

歩留まり向上には、単なる「クリーンルーム担当者」だけでなく、調達、開発、営業まで巻き込んだ横断的な連携が欠かせません。
購買担当者は「サプライヤー品質」を、現場は「運用ルール」を、双方密に連携しながら標準値だけでなく実運用での“バラツキ”にも目を配ることが大切です。

“あえて現場を疑う”風土作り

「慣れているから大丈夫」という意識ほど危険なものはありません。
「現場の常識を疑う」「なぜこの不良が起きたのか?」
みんなで徹底議論し、仮説・検証を繰り返す“現場ラテラルシンキング”の醸成こそ、真の歩留まり向上につながります。

まとめ:明日からできるクリーンルーム改善アクションリスト

  • 入室手順の見直し(点検表・エアシャワー・静電気除去)
  • 発塵源マッピングの導入・運用
  • 設備・作業台・台車などの定期点検の標準化
  • 材料・部品納入時のチェック強化およびサプライヤー監査の定期化
  • フロアレイアウトと作業動線の整理
  • 現場・調達・開発を横断した改善コミュニケーションの定着
  • 測定器活用によるリアルタイムデータ管理と早期アラート化

クリーンルームの発塵対策は「小さなことの積み重ね」が最大の成果を生みます。
従来の枠組みを越えたラテラル思考と、データに基づく実践、そして部門横断の連携―これが、次世代の製造現場で歩留まりを大きく向上させる鍵です。

「知っている」は「できている」とは違います。
今日から、一つでも現場で「実行」する――これが現場の未来と製造業の発展を切り拓きます。

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