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投稿日:2025年10月9日

塗装後の色差不良を防ぐ塗料ロットと環境条件の連携管理

はじめに:塗装現場における色差不良の本質とは

製造業、とりわけ自動車や家電、産業機械など外観品質が問われる業界において、塗装工程は最重要の品質管理ポイントです。

その中でも「塗装後の色差不良」は、顧客クレームや再塗装によるコスト増を招きやすく、現場管理者や購買・バイヤー、サプライヤー担当者にとっては頭の痛い問題です。

昭和の時代から「職人の勘」と「目視確認」頼みのアナログな管理が強く根付いていますが、昨今は顧客の要求レベルも上がり、法規制やグローバル化で一層厳格な対応が求められるようになりました。

この記事では、現場目線で塗装色差不良を防ぐための「塗料ロット」と「塗装環境条件」の連携管理に焦点を当て、再発防止の本質に迫ります。

色差不良が発生するメカニズムの深堀り

塗料ロットによる色味の違いと製造業の事実

塗料メーカーは、厳格な品質保証体制の下で色調管理を実施しますが、原材料や顔料、製法条件の微妙な違いによって同じ色番号でもロットごとの「微差」は避けられません。

サプライヤー側の視点では「公差内」として出荷できても、エンドユーザー目線では「連続生産品間の色差」は重大な品質問題となります。

現場でありがちな「前回の在庫分と新ロットを混用して使う」パターンが色差不良の典型的な原因です。
この状況を、調達・購買担当やバイヤーは「なぜ現場は徹底できないのか」と感じ、現場担当は「そんな急な切替え、現実問題として対応しきれない」と板挟みになるケースが多いのです。

塗装環境条件のバラつきが色差を助長する実態

一方で、同じ塗料ロットでも「湿度」「温度」「エア圧」「塗装ライン速度」「硬化炉のコンディション」など現場環境の変化で、仕上がり色味に微妙な違いが発生します。

ベテラン職人が「今日は色乗りが悪い」と即座に気づくのはこうした環境変化に対する経験値の高さによるものですが、属人化が進みやすいという現場の課題も含んでいます。

このように「塗料ロットによる色ブレ要因」と「環境ばらつき要因」の双方が絡み合うことで、色差不良リスクは複雑化・深刻化しています。

業界動向:デジタル化・自動化の波と現場のギャップ

従来の製造業、特に塗装現場は「昭和世代の勘と経験」頼り。
しかし今、IoTやインダストリー4.0の流れを受けて、生産現場の見える化・自動化が急速に進みつつあります。

調達・購買部門でも「デジタル化によるロット管理の一元化」「サプライチェーン連携によるトレーサビリティ強化」が重要テーマとなっています。

ただし、現場と管理部門との温度差は依然として根強く、紙のロット帳票、ホワイトボードへの手書き記録など、アナログな運用が多く残っているのが実情です。

バイヤーやサプライヤーから現場への「デジタル対応を進めてほしい」という要請に対して、「現場には現場の事情がある」と反発が起こるなど、摩擦も生まれています。

事例に学ぶ:塗料ロットと環境条件連携管理のポイント

(1)塗料ロットの系統管理―使用履歴の細分化と見える化

色差不良を減らすためには、まず「どの塗装品にどの塗料ロットが使われたか」を確実に記録する必要があります。

先進企業では次のような取り組みを導入しています。
– 塗料投入時のロットNo.記録をバーコード管理に切替え
– 塗装ラインごと、工程ごとに「現在塗布中のロット」を表示
– 生産Lotと塗料Lotを工程伝票・電子管理で紐づけ
– 残量がわずかになったら「新旧ロットを混ぜず、一品ごとで使い分ける」ルール徹底

このような対応を調達購買部門やバイヤーが把握し、納入時点からロット管理の考え方を共通化しておくことが重要です。

(2)塗装環境条件の見える化と自動記録

– 温湿度センサーのIoT化・自動記録、異常値アラート運用
– 塗装ブース風量・エア圧・ガン条件などの標準化、記録システム化
– 硬化炉温度の自動記録と補正処置のルール徹底
– 塗装前素材温度や静電気量を自動測定して管理表に反映

こうしたデータがリアルタイムに可視化され、将来的にサプライヤーや購買部門とも情報共有できるようになれば、責任区分の明確化と根本的な再発防止につながります。

(3)サンプル塗装と色差分析の自動化

– 新ロット導入時は必ずサンプル塗装を実施
– 分光測色計による定量評価と許容範囲判定の自動化
– 許容範囲外の場合の速やかなロット分離・原因究明

このようなチェック体制をバイヤーが理解し、サプライヤーとの協力体制で運用すれば、現場だけに負担を強いることなく「工場全体の品質基準」を守ることができます。

ラテラルシンキング:柔軟な発想で新地平を切り拓く

伝統的なやり方と新技術の橋渡しこそが、塗装現場の生産性向上と不良削減のカギです。

塗装ロットの連携管理といえば、「とにかく混用禁止!」と現場を締めつける管理型思考になりがちですが、根本的には次のような視点転換も重要だと考えます。

(1)塗料メーカー・サプライヤーと現場のWin-Win連携体制

– サプライヤー側から「ロット間差の分析・報告」を能動的に現場へフィードバック
– 現場からは実際の色差データを逆フィードバックし、メーカーと一緒に原因を探索
– 塗料管理にAIを活用し、色味の傾向やロットごとの注意点を先読みする仕組み作り

(2)現場の「作業のしやすさ」と「管理のしやすさ」の両立

– ロット切替タイミングの自動通知やアシスト機能を現場端末に搭載
– 塗料の投入順・消費順を考慮したピッキングシステム連携
– 「現場作業に最小限の追加負担」で済むシンプルな管理への発想転換

(3)意思決定の「納得感」と責任分界の明確化

– 万一不良が発生したとき、分散管理したデータで速やかに問題を切り分け、「どこで、なぜ」が明確になる体制構築
– 品質責任や是正依頼を対策だけでなく「プロセス改善」「標準見直し」を含めて全体最適で判断

こうしたラテラル思考によって、「不良ゼロ」に向けた現場の自発的改善意識と、バイヤー・サプライヤーとの本音の連携が生まれます。

塗装現場管理への現場ベテランからの提言

昭和のアナログ文化を根絶するのではなく、「現場経験値」と「新しい管理手法」を融合させることこそ、競争力になると信じています。

・トレーサビリティ強化で「原因追及型」から「未然防止型」管理へ
・属人的なチェックから「確実な自動収集データ」による判断へ
・不良が起きた後の対策より、「起きない仕組み」の事前設計へ

調達現場やサプライヤー担当、バイヤーを目指す方へ。
「どこで、なぜ、色差が発生するのか」を現場・管理・サプライヤーが一緒になって深掘りし、持続的な改善と標準化へと繋げていく力が、製造業の発展を支えます。

まとめ

塗装後の色差不良防止には、塗料ロット管理と塗装環境条件の双方をデータで「連携管理」することが重要です。

今こそアナログからデジタル、現場経験からデジタルデータへの融合による一歩踏み込んだ管理を。

現場、バイヤー、サプライヤーが壁を越え、「色差不良ゼロ」を目指してラテラルシンキングで切り拓く新しい時代へ、共に挑戦していきましょう。

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