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日韓間の通訳およびイベント支援業務における連携手法

目次
はじめに:国際製造業界における日韓間連携の重要性
日本と韓国はともに世界有数の製造業大国です。
自動車、エレクトロニクス、精密部品、化学製品など、多くの分野で競争と協調を繰り返しながら、お互いの成長を支えてきました。
そんな中、グローバル競争の激化やサプライチェーンの再構築という大きな流れが進むにつれ、日韓企業間での協業やビジネス連携の重要性はこれまで以上に高まっています。
しかし、ビジネスの現場で本当に困るのは、文化や商習慣の違いだけでなく、「言語」という見えにくい壁です。
とくに現場を知る立場として痛感するのは、工場視察、技術会議、調達交渉、品質監査、製品発表会など、現場レベルで密な連携が必要な場面ほど、通訳やコミュニケーションの質が成果を大きく左右するということです。
本記事では、工場管理やバイヤー業務など実務経験から得た視点を交え、日韓間での通訳業務とイベント運営・支援業務における実践的な連携手法を詳しくご紹介します。
なぜ今、日韓通訳・支援体制の強化が必要なのか
サプライチェーンのグローバル化と多様化
中国リスクや為替の急変、突発的な地政学リスクを背景に、多くの日系メーカー、韓国系メーカーが相互にサプライチェーン再編を模索しています。
この流れの中で、
・部品の相互調達
・OEM/ODMの推進
・技術ライセンスや共同開発
などを目的とした現地視察、品質監査、戦略的なワークショップやイベントの開催が増えてきました。
現場を深く知る身として強調したいのは、調達担当や工場長、品質管理者などが直接現地に入り込むケースが増えていることです。
この場合、商談だけでなく、現場の実態確認や技術的ディスカッション、トラブルシューティングまで行うため、言葉と同時に現場感覚を読み取れる通訳や、イベント支援オペレーションの質が強く求められます。
製造現場や調達現場のアナログ問題
先端的なIoT活用や自動化が進んでいるとはいえ、昭和から継続する「現物主義」「現場主義」の文化は、日本・韓国とも根強いです。
図面だけ、データだけでは伝わらないニュアンス、その場での柔軟な判断が必要なシーンでは、「生きた言葉」と「空気を読む力」を持つ人材や支援策が不可欠となります。
そのため、通訳者にただの翻訳スキルや言葉の置き換え能力以上の、現場知見や業界洞察が求められています。
日韓ビジネス現場における通訳・イベント支援の課題
(1)業界・現場用語の壁
調達購買・品質管理・生産技術など、ものづくり現場では業界特有の用語や略語が飛び交います。
現場では「そのまま訳しただけ」では全く意味が通じません。
例えば、不良品のランク “A/B/C” など評価基準の違い、韓国独自の品質管理指標、日本独自の5Sやカイゼン用語…。
こうした用語の背景や運用ルールまで理解して訳すことが必要です。
(2)“現場の空気”の読み取り不足
たとえば工場監査や視察の際、表面的にはにこやかでも、双方が「実は不安を抱えている」ケースが多々あります。
通訳者や運営支援担当が“現場に漂う微妙な空気”や、各立場の思惑(たとえばサプライヤーは「コストを下げられるか?」、バイヤーは「不具合が起きていないか?」等)まで汲み取ることができなければ、真の信頼関係は築けません。
(3)リアルイベント運営のノウハウ不足
ウェビナーやオンライン会議だけでなく、現地での展示会、技術発表、工場見学などリアルイベントが再び増えている昨今、単なる「手配業務」だけでなく、双方向の情報伝達や、突発的な課題にも即応できる体制作りが求められています。
現場目線で考える実践的な通訳・イベント支援連携手法
(1)現場実務に即した通訳訓練・用語集作成
座学翻訳や試験合格だけでは、工場現場の生々しいやり取りには追いつきません。
現場経験者が監修し、セルフチェックできる「日韓製造業用語集」や、過去のトラブル事例を交えたロールプレイ研修が効果的です。
できれば、調達・生産・品証など各分野ごとの専門通訳ネットワークを持ち、案件ごとに最適な人材配置ができる体制が理想です。
(2)“現場代理人”としての通訳・支援体制
単なる「間に入る」だけでなく、サプライヤー、バイヤー、それぞれの立場や背景を察知し、場合によっては「この部分は先にこう説明しましょう」「ここは日本流の根回しが必要です」など、調整役・現場代理人に近い役割を果たすことが重要です。
そのために、
・現場担当者と事前に細かなヒアリングを行う
・商談だけでなく、工場巡回・食事会など非公式の場にも同席する
・両国の商習慣の違いを理解の上で、配慮やフォローの提案も行う
といった一歩踏み込んだサポートが有効です。
(3)リアルとデジタルを融合した情報連携
昭和的現場主義の良さを活かしつつ、最新のITテクノロジーも導入したいものです。
現地イベントでは、従来通りのテーブルセッティングや紙資料だけでなく、スマートグラスやモバイル端末を活用した多言語同時通訳、チャット書き起こしによるリアルタイム議事録など、現場負担を減らすツールの導入が有効です。
また事前打合せや事後の情報共有も、クラウドで可視化・履歴管理を徹底することで、担当者交代や引継ぎ、品質トラブルなど突発事案対応の精度もアップします。
(4)“現場共通言語”の構築による誤解防止
通訳任せにせず、日韓双方の現場担当者が共通して理解できる「現場用語」「業務フロー図」などを作っておくのも有効です。
例えば、「QCサークル」や「VE提案」など両国で呼び方や意味が違うものは、ビジュアル化して「自社流の定義=韓国流の意味」とセットで管理すると、業務現場でのロスやミスが大幅に減ります。
アナログ文化が根付く日韓業界ならではの注意点
いまだ健在な“空気を読む”文化
日韓ともに「直接的な指摘を避け、相手に配慮した話し方」が一般的です。
たとえば、クレームや品質不良を巡っても、「本音でぶつかる」までには沈黙や遠回しな表現が続くことが多いです。
通訳や運営担当者は、「これはオブラートに包んでいる」「相手への配慮だからあえて曖昧にしている」など、その場の空気を的確に汲み取る経験が不可欠です。
昭和流コミュニケーションの功罪
かつての「現物現場現実(3現主義)」や、「酒席を通じた本音の交換」など、昭和から続く文化がいまだに色濃く残っている現場もあります。
これが結果的に“現場力”や“阿吽の呼吸”を支えてきた部分もありますが、グローバルレベルでは誤解やリスクの温床にもなりがちです。
デジタル世代の新人とベテラン現場社員が混在する今、「共通言語・共通ルール」の明確化と従来流儀との共存をマネジメントすることが求められます。
現場起点での“ラテラルシンキング”が成功の鍵
日韓間の現場連携においては、「常識の水平思考(ラテラルシンキング)」が重要です。
たとえば
・「日本の方法〜韓国の方法」と単純な対立構造で比較するのではなく、「お互いの現場の知恵や改善アイデアをミックスする」ことで新しい商機や生産性向上につなげる
・現場での課題やトラブルが発生した場合も、「単なる言語の問題」「通訳の問題」と切り捨てず、現場全体の仕組みや管理フロー、その背景にあるカルチャーまで分解・再構築する
といった“水平思考”が発展のポイントです。
特に、AIやDX、脱炭素化など、新しい波が押し寄せる今こそ、現場最前線の知恵と若手・デジタル世代の発想、従来からの現場主義をうまく掛け合わせることで、新たな事業機会や競争力の創出につながるでしょう。
まとめ:未来の日韓連携を担う「現場力×通訳・運営力」
これからの日韓ものづくり連携を成功させるためには、ただ言語ができれば充分、という時代はもう終わっています。
現場を理解し、時には「業界の空気」や「経営方針」まで察知して訳す力、
イベント支援でも「現場のリアル」と「デジタルの便利さ」を最適に融合する運用力、
双方のカルチャーギャップを乗り越えて新しい地平線を切り拓く“水平思考”。
これらひとつひとつが、あなたの現場、サプライヤーやバイヤーとしてのキャリアを強化し、日韓産業全体の持続的な成長を後押しする武器となります。
今こそ、現場で培った知見と柔軟な思考で、日韓をつなぐ新たな連携のカタチを創りましょう。
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