- お役立ち記事
- 半導体部品製造における事業連携の成功事例とパートナーシップの形成
月間93,089名の
製造業ご担当者様が閲覧しています*
*2025年6月30日現在のGoogle Analyticsのデータより

半導体部品製造における事業連携の成功事例とパートナーシップの形成

目次
はじめに:半導体業界の現実と、事業連携の必要性
半導体部品製造業界は、世界経済のグローバリゼーションと技術革新による急激な変化にさらされ続けています。
日本の製造現場においては、長らく培われてきた匠の技術やアナログ的な現場力が強みとされてきましたが、グローバルな競争環境の中でそれだけでは限界が見え始めています。
特に近年では、「一社完結」や「自前主義」から脱却し、他社との積極的なパートナーシップ――すなわち事業連携が半導体部品産業の発展に不可欠となっています。
本記事では、実際の「成功事例」を紹介しながら、製造業ならではの現場目線で、どのように有効な事業連携・パートナーシップを構築すべきか、そしてアナログな昭和的慣習が現在も色濃く残る現場で今、何が起きているか、そのリアルな動向も交えながら解説いたします。
半導体部品製造業と事業連携:業界の現在地
グローバルサプライチェーンの複雑化と、従来モデルの限界
コロナ禍、地政学リスクの高まり、物流網の混乱は、半導体部品製造業界にも甚大な影響を及ぼしました。
これまでの「自前主義」「垂直統合型モデル」は、柔軟性やスピードが課題となっていました。
日本の製造現場では、「QCサークル」や「カンバン方式」に象徴されるような現場改善や、現物主義的な管理が中心であり、外部との連携には慎重な傾向が見られました。
しかし、バイヤー(購買担当)はコストダウン、安定調達、BCP(事業継続計画)の観点からも、調達先多様化や共創型のサプライチェーン構築が求められています。
その結果、業界全体で「競争」から「共創」へと、パートナーシップ形成が戦略の中心に据えられてきたのです。
事業連携がもたらす主なメリット
1. 市場や技術トレンドへの迅速な適応
2. 供給安定性の確保とリスク分散
3. 技術力やノウハウの融合による新規事業や高付加価値サービスの創出
4. バイヤーとサプライヤー双方の納期短縮・在庫圧縮・コスト削減
「取引先」から「ビジネスパートナー」へ――柔軟な発想とラテラルシンキングが求められる時代です。
実践事例1:技術協業による新製品開発プロジェクトの成功
ある日系大手半導体部品メーカーA社は、新しいパワー半導体部品の世界展開に際し、自社だけでは実装・プロセス開発に限界があることを実感しました。
そこで、特殊材料メーカーB社、微細加工装置メーカーC社と連携し、技術協業チームを結成。
それぞれの企業が持つ独自技術を「機密情報の壁」を乗り越えてオープンに共有。
「週次現場会議」や「クロスミーティング」といった“現場主体”のコミュニケーションを徹底しました。
結果、共同開発開始から1年で市場投入に成功。
部品性能も従来比で2割アップ、かつ異常品率も大幅改善。
各社は共同で特許出願も完了し、量産移行にスムーズにバトンタッチしました。
この成功の背景には
・「失敗を恐れず現場レベルで本音を言い合う」文化の醸成
・異なる企業風土(B社のスピード重視、C社の現場主義)を尊重し合う姿勢
・共通KPI(品質・納期・原価・技術目標)を明確にして共有
がありました。
実践事例2:調達購買の現場改革によるサプライヤーとの関係強化
A社の購買部門では長らく、「価格交渉一辺倒」「多重下請け主義」が根強く残っていました。
しかし、半導体需要の拡大と共に、サプライヤー側も選択肢が豊富になり、「選ばれる立場」への意識転換が急務となりました。
そこで、バイヤーチームは3つの方針を掲げました。
・単なるコストの叩き合いをやめ、「共存共栄型」の契約・運用へ切り替え
・サプライヤー現場に定期直接訪問し、困りごとの“本音”をヒアリング
・ICTツール(Webポータル、電子承認フローなど)を活用した調達業務の見える化
この取り組みの結果、
・サプライヤーの生産負荷がリアルタイムでバイヤーと共有可能になり、計画変更への即時対応力が大幅に向上
・納期遅延や品質異常といった「現場トラブル」の未然防止事例が増加
・サプライヤー側も「うちの受注を守ってくれる」という信頼感を持つようになり、業界随一の安定納品体制を構築
調達購買現場での「現場感覚」と、デジタルツールによる効率化・透明性アップが、パートナーシップ深化の鍵だったのです。
事業連携を“昭和の壁”から進化させるラテラルシンキング
なぜ「横のつながり」が苦手なのか?工場のリアル
日本の製造現場は「縦の関係」(組織階層、責任の所在の明確化)を大切にする一方、横断的な協力――とりわけ企業の枠を超えた事業連携には慎重な傾向が根強くあります。
その背景には
・「他社とは競争相手」という心理的な壁
・機密保持や責任所在不明確化への不安
・長年の慣習(OBの顔色を伺う、口約束文化)
といった、昭和から引き継がれた「暗黙の了解」が根付いています。
しかし、ラテラルシンキング(水平思考)を駆使することで、
・共通のビジョンやターゲット市場を明確化
・失敗事例こそ積極的にシェアして大きな成功を目指す
・他社の人材やノウハウを積極的に受け入れて“現場力”を拡張
といった、「分断からコラボレーション」への転換が加速します。
変化を促すキードライバー:生産現場DXとサプライチェーン可視化
デジタルツールの活用が、昭和的アナログ業界の構造変革を強力に後押ししています。
例えば
・IoT・センサーでの生産進捗リアルタイム共有
・サプライヤーとの受発注履歴や品質情報のクラウド共有
・AIによる需給予測と、自動発注・最適配分
こうしたDX(デジタルトランスフォーメーション)を「現場レベル」で根付かせるには、現場の“肌感”や“口ぐせ”を理解したリーダーの存在が重要。
経営だけではなく、工場長や現場所長が“自分ごと”として取り組むことで、事業連携が「お上の命令」ではなく「我々主導」の改革として根付きます。
バイヤー・サプライヤー視点で考えるパートナーシップのポイント
バイヤーに求められる新しいマインドセット
1. 「買い叩く」のではなく「協奏する」姿勢
2. サプライヤー現場の課題・負担を自社視点と同等に重視
3. 成果や失敗もオープンにシェアし合う
バイヤー自身が現場に足を運び、「製造の現場目線」を持つことが、信頼関係の第一歩となります。
サプライヤーが知るべき、バイヤーが本当に重視していること
・品質、納期、コストだけでなく「協力体制」「開発スピード」「追加提案力」への期待が高まっている
・“丸投げ”ではなく、一緒に問題解決するパートナーとしての役割が強調される傾向
・透明性(トラブル・リスクの早期情報開示)が高評価につながる
現場起点で、「自分たちがどれだけバイヤーの“助け”になっているか」を意識して取引を進めることが、パートナーシップ深化のポイントです。
まとめ:新たな地平線へ進む、半導体部品製造のパートナーシップ
半導体部品製造業界は、かつての「縦割り構造」「昭和的慣習」から、ダイナミックな事業連携時代へと劇的な進化を遂げつつあります。
・「現場力」と「デジタル」両面を融合した連携
・バイヤーとサプライヤーの立場を超えた「共感主導」の事業推進
・なにより、「横のつながり」を恐れず、ラテラルシンキングで変革に挑むマインドセット
これらが半導体部品製造現場の未来を切り拓くカギです。
読者の皆さんも、それぞれの現場で「今だからこそできる自社と他社の“強みの共創”」をぜひ探してみてください。
現場こそが、日本のものづくりを次のステージへ導くパイオニアであり続けてほしい――そう願ってやみません。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
ユーザー登録
受発注業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた受発注情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)