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投稿日:2025年10月12日

シャツの襟が立つ形状記憶加工と芯地接着技術

シャツの襟が立つ形状記憶加工と芯地接着技術とは?

製造業の現場で20年以上を歩んだ私が、今回は身近な衣料品――特にシャツの襟にスポットを当てて、その裏側に潜む高度な技術について解説します。

普段、ビジネスシーンで自然に着ているワイシャツ。
その襟がピシッと美しいラインを保ち、着用時にくたびれることなく立っているのは、実は多くの技術の結晶です。

形状記憶加工の進歩や、芯地の接着技術の変遷、そして今なお根強いアナログ的な作業の現場動向も含め、この記事では製造現場目線で深く掘り下げていきます。

形状記憶加工とは何か?

形状記憶加工の基本原理

形状記憶加工とは、生地や製品に一度与えた形状を、使用環境下でも長時間維持できるようにする加工技術を指します。

ワイシャツで例えるなら、洗濯や着用を繰り返しても襟やカフスがしっかりとしたラインを保つようにする技術といえます。
これにより日常のお手入れが格段に楽になります。

ポリエステルの活用とケミカルファイバーの進化

形状記憶と聞いて連想するのがポリエステルなどの合成繊維の機能です。
実際、合成繊維の配合率を高め、樹脂コーティングや熱処理を施すことでイージーケア性――つまりシワになりにくさやシャープなラインの維持が可能となります。
昭和の時代と比較して、現在の化学技術の進化はとてつもなく、分子レベルでの構造設計により「ハリ」と「柔らかさ」を両立することも技術的には可能になってきました。

芯地接着技術の全貌

芯地の役割とは?

シャツの襟やカフスには、表地だけでなく「芯地」が内蔵されています。
この芯地こそ「襟を立たせる」根幹のパーツであり、見た目の美しさや着心地を左右します。

一般的な芯地には、不織布や織物、樹脂フィルムなどさまざまなタイプがあり、それぞれの素材と接着剤(ボンド剤)を効果的に使い分ける必要があります。

接着技術の進化と製造現場のフロー

昭和の時代には、芯地と表地を縫製のみで重ねていたケースも多く見られました。
現在主流となっているのは「接着芯」と呼ばれるタイプで、生地同士を高温プレスし特殊ボンドで密着させます。

工場では専用プレス機を使い、温度・圧力・時間を精密に管理します。
この工程管理が甘いと、のちの洗濯時に芯地が浮いてしまい「襟の波打ち」「接着剥離」といった問題が発生します。

設備投資が進んだ最新工場では、オートメーション化による一貫生産や高度な品質管理システムを導入していますが、地方の下請け工場ではいまだに熟練の手作業が中心となっているケースも多いです。

現場目線で考える品質維持の要点

接着剤選びとコストバランス

実は、芯地の接着剤選定は工場の購買・調達担当の腕の見せどころです。
値の張る海外製の高機能ボンドを使えば当然品質は安定しますが、生産コストを抑えつつリスクを減らすためにはローカルメーカーと密な情報交換を繰り返す必要があります。

また、接着剤の特性――例えば耐熱性、耐洗濯性、環境対応(ホルムアルデヒド低減など)も考慮しなければなりません。
アパレル大手からの受注要件に、こうした細かな仕様が追記されるのも最近の傾向です。

「前時代的工程」の残る現場と改善余地

昭和からのやり方が色濃く残る現場では、いまだに
・温度管理が目視や手感覚
・芯地カットを裁断ばさみで行う
・接着ムラがギリギリ合格範囲で出荷される
といった実情もあります。

これらを工場自動化やデジタル化でいかに改善するかが、今後数年でのサバイバルの分水嶺になるでしょう。

サプライヤーとバイヤーの攻防と知恵比べ

バイヤーの視点:原価と付加価値のせめぎ合い

バイヤー(購買担当)が最も気にするのはやはり「コスト」と「納期」ですが、最近では「SDGs」「サステナビリティ」も重要なキーワードです。

シャツ一枚の襟芯地や接着工程でも、使う素材や化学薬品、残渣廃棄の扱いなどが“企業の姿勢”と見なされます。
高い品質を維持しつつ、いかに付加価値をつけられるかが交渉の妙です。

熟練のバイヤーは、安価な芯地を提案するサプライヤーに対し「接着剥離リスク」や「生地の風合い変化」など、将来的なクレームを想定しながら狡猾に見極めてきます。

サプライヤー側の工夫と現場目線での提案

一方で、サプライヤーである生産現場が取れる戦略も多岐にわたります。
・独自配合の芯地や接着剤を開発し、「洗濯50回でも波打たない襟」などのスペックで勝負
・ロットごとの安定供給やトレーサビリティ(生産履歴管理)の強化
・現場写真や動画を活用した現物証明、現地立会いによる信頼度アップ 等

こうした現場ならではの情報を、いかにバイヤーの目に“見える形”で提供できるかが、受注の決め手となります。

業界動向と今後の展望

サステナビリティとリサイクル型素材の台頭

近年はリサイクルポリエステル、バイオベースの不織布芯地といった新素材も実用化が進んでいます。
これによって「エコな形状記憶」「環境配慮型接着剤」といった新しい価値提案も増加し、サプライチェーン全体の選択肢が広がっています。

また、バイヤーによる「脱・石油資源」「カーボンニュートラル対応」の要請は年々強まってきました。
昭和型のアナログ技術が、現代のデジタル管理やグリーン素材との融合をどう進められるかは、大きな転換点です。

AI・IoTによる自動検査やリモート生産管理

品質管理の現場ではAIによる画像解析を活用し、襟の膨らみや接着不良箇所の自動検出が現実になりつつあります。
更には、IoTセンサー付きのプレス機でリアルタイムに温度・圧力・湿度ログを捕捉し、不良の原因追跡も可能となりました。

今後、グローバル展開していく工場ではこうした自動化とクラウド連携がますます不可欠になります。

まとめ:アナログ現場と最先端技術の融合こそが勝ち筋

シャツの襟が立つ形状記憶加工と芯地接着技術は、アパレル分野のみならず、製造業全般に通じる普遍的な「技術革新の現場」でもあります。

昭和時代からの手作業や勘どころを残しつつ、品質や生産性を高めるためのオートメーション、そしてサステナビリティやDX(デジタルトランスフォーメーション)化の波にどう乗るかは、今後の業界発展において非常に重要です。

バイヤーを目指す方、サプライヤー現場で働く方――どちらも一歩先を行く知恵と現場情報が、これからの製造業の未来を切り拓くカギとなるでしょう。

シャツ一枚の背後にも、これだけ多様な技術と知恵が詰まっています。
ぜひ、現場を知り、現場から新しい地平線を描いてください。

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