- お役立ち記事
- 色彩工学基礎から学ぶ測色値計算と混色アルゴリズム応用
月間93,089名の
製造業ご担当者様が閲覧しています*
*2025年6月30日現在のGoogle Analyticsのデータより

色彩工学基礎から学ぶ測色値計算と混色アルゴリズム応用

目次
色彩工学基礎とは―製造業現場における色の重要性
色彩工学は、私たちの暮らしや産業活動に欠かせない重要な分野です。
特に製造業においては、色の正確な再現や測定が直接的に品質や競争力に結び付きます。
たとえば、家電や自動車、化学製品、繊維、プラスチック製品など、多様な現場で色の測定値を基に調達先からの材料受け入れ判定や、最終製品の合否判定を行います。
昭和時代から現在に続く製造業の現場では、熟練作業者の目視や経験的な判断に頼る部分が強く残る一方で、デジタル化・自動化の波が着実に押し寄せています。
ここで重要になってくるのが、測色値計算――つまり色を数値化し、標準化する技術です。
加えて、混色アルゴリズムの現場応用も欠かせません。
これらの基礎を正しく理解し、実践にリンクさせる知恵が、今後のサプライチェーンやQC現場でさらに価値を持つようになります。
色はなぜ“数字化”する必要があるのか
製造現場の管理職や調達担当者にとって、「色は目で見てわかるもの」という先入観は根強いです。
ですが、ヒトの目には主観が入り、環境光や個人差による見え方のズレが避けられません。
また、「同じレッド」「同じホワイト」といった曖昧な基準での合否判定は、取引先とのトラブルの温床と化します。
そのため、
– 客観性を担保した品質管理
– サプライヤー間での共通言語創出
– グローバル展開における標準の確立
を達成するためには、色を測色計などで数値化し、一意的な基準として扱うことが不可欠となっています。
色彩工学の基本理論
人間の色知覚と基本三原色
私たちの目は、光(電磁波)の波長によって「色」を感じ取ります。
人間の知覚に基づく「光の三原色(赤・緑・青)」や、「色材の三原色(シアン・マゼンタ・イエロー)」の考え方が基礎です。
– 光の三原色:RGB(Red, Green, Blue)
– 色材の三原色:CMY(Cyan, Magenta, Yellow)
混色の基礎知識として、この「加法混色(光)」と「減法混色(色材)」の理論は、製造プロセスに直結します。
色の表現方法
現場で使う色の表示には、様々な表現紙があります。
主なものは以下です。
– RGB表記 … デジタル画像や塗装炉の制御など
– XYZ色度 … 国際標準のCIE色空間
– Lab表記 … 色の距離や差異を計算しやすい
– Munsell表記 … 色相・明度・彩度による体系化
特にCIE-L*a*b*(Lab)は、色の距離計算や業界標準色との差異判定に優れています。
測色値計算の基本―計算式を現場に活かす
色差(ΔE)の計算
現場で「標準色と製造品の色の一致度」を判定する際は、色差(ΔE)がよく用いられます。
CIE1976 L*a*b*表色系での色差計算式は次の通りです。
ΔE = √{(L2-L1)² + (a2-a1)² + (b2-b1)²}
L*a*b*値(標準と測定対象)の間の距離を見るため、合否判定基準を「ΔE≦1.0」「ΔE≦2.0」などと設定しやすいメリットがあります。
現場目線の実践例
たとえばプラスチック成形現場では、ロットごとに測色器でL*a*b*値を刻々とチェックし、ΔEが基準以内かを判定します。
塗装現場なら、塗料のバッチによる色ブレを極力減らすため、調合ミスやエージング劣化を数字で管理します。
このように、「色を数字で“見える化”し、現場の誰でも同じ尺度で判断できる」ことが、実践的な差別化につながるのです。
混色アルゴリズムの業務応用
混色の理論と現場のニーズ
製造業の現場では「調色(色のブレンド)」がつきものです。
原料や顔料がロットで僅かに違う、原材料供給元が変わる…。こうしたとき、ち密な混色計算やアルゴリズムが威力を発揮します。
混色計算の理論には、
– 物理混色(例えばインクや顔料の重ね合わせ)
– 心理混色(例:網点やディザ処理による見かけの色混合)
がありますが、特に塗料や樹脂、化学材料調達では物理混色がよく使われます。
混色計算を自動化する時代的必然性
かつては熟練調色工が経験と勘を頼りに混色していました。
ですが、最近は調合ソフトウェアや計測器と連携したアルゴリズムが主流です。
【混色計算の実務例】
– サプライヤーから届いた染料や顔料のL*a*b*値を測定
– 標準色との差異(ΔE)が基準外なら、どの材料をどれだけ追加すれば近づけるかアルゴリズムで算出
– シミュレーションにより最適配合を迅速に決定
– 実際の混色ラインにおける配合比のフィードバック制御
このような自動化・高度化は、現場のムダやバラツキを劇的に低減させます。
バイヤー・サプライヤー間の意思疎通も効率化
色の測定値や合否判定、混色レシピが標準化・数値化されることで、調達担当(バイヤー)も、供給側(サプライヤー)も共通の“色の言語”で交渉や改善に取り組めるようになっています。
これにより、「色が違う」「いや基準どおりだ」というあいまいな対立が減り、Win-Winの関係構築が前進します。
製造業における今後の色彩工学とDXへの展望
アナログからデジタル・AIへの進化
今なおアナログ文化が根強い日本の製造業ですが、色彩工学の領域でも自動化・AI化が急速に進展しています。
AIによる色異常検知システム、混色最適化アルゴリズム、クラウドでの基準色管理といった最新ソリューションを導入する企業も増えました。
これにより、
– QCコストの削減
– 予防的な品質管理
– 多拠点一斉の基準共有
が実現しつつあります。
とくにグローバルサプライチェーンの中で競争力を維持するには、こうした色彩工学DXの積極導入が必須です。
ラテラルシンキングによる現場の深化
色彩工学は「色は数学である」という側面だけでなく、「色はコミュニケーションツール」という面も持っています。
測色値や混色アルゴリズムの技術を基盤としつつ、現場の知恵や粘り強さ、バイヤー・サプライヤー間の信頼構築のための議論や工夫も不可欠です。
むしろ、技術の目覚ましい進化に合わせて「現場の五感やノウハウとどう融合させるか」というラテラルな発想が、これからの品質改革・現場改革に直結することでしょう。
まとめ:色彩工学を活かした現場力強化のすすめ
色彩工学の基礎を正しく押さえ、測色値計算と混色アルゴリズムを現場に応用できるかどうかが、今後の製造業発展の鍵を握ります。
定量・標準化によって、より精度の高い品質管理、それを支える調達・購買の自動化・最適化が実現します。
一方で現場ならではのアナログな知見も活かし、デジタルと融合させることが日本のものづくりの真の強みとなります。
本記事の内容が、製造業の現場で働く全ての方、バイヤー、サプライヤー、それぞれの立場の方の視野拡大や新たなチャレンジの一助になれば幸いです。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
ユーザー登録
受発注業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた受発注情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)