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GMP対応で現場が混乱しやすいポイント

目次
はじめに:GMP時代の現場とは
GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)は、主に医薬品、食品、化粧品などの分野で不可欠な基準です。
製造プロセスの安全性と品質を担保するためのものであり、グローバル競争時代の製造業界では、「GMP対応」はもはや当然の要件となりました。
しかし、昭和から続くアナログ主体の現場に急なGMP導入が進むと、多くの混乱が生じるのも事実です。
とくに、品質優先の理念が急速に浸透することによって、現場力と管理力のバランスが問われる場面が増えています。
本記事では、長年の製造現場経験から得た知見をもとに、GMP導入時によく発生する「現場の混乱」ポイントと、その乗り越え方について具体的に解説します。
GMPとは何か? 現場に求められる背景
GMPの基本的な考え方
GMPは、「ヒトの健康と安全を守る」という目的のため、製品の設計から出荷までのすべての過程において、ミスや混入を防ぐためのルールです。
各種規制当局が求める文書化・記録化を徹底するとともに、「何が・どこで・誰が・どのように」作業したのかを証明できるトレーサビリティが求められます。
決められた手順を守る「手順遵守(プロセスの標準化)」が大前提となり、これまでの経験則や熟練者の“勘”に依存したやり方から、脱却する必要に迫られます。
現場目線でのGMPの「重み」
昭和型の工場では、熟練者の暗黙知、阿吽の呼吸、属人的なノウハウが現場力の基盤となっていました。
GMPは、これを大きく変え、「個人技から組織技へ」の脱皮を強いるものです。
ベテラン作業者の声として、「書類ばかり増えて仕事にならない」「細かいチェックでかえってミスが増える」などの批判も根強いです。
しかしながら、その背景には本来大切にすべき「品質」や「顧客安全」が隠れています。
GMP対応現場で起きる混乱しやすいポイント
1. 書類作成や記録の負担増大
GMPラインの特徴は、「やったことを証拠として残す」ことです。
これまで口頭で済ませていた作業指示や確認事項も、全て記録・承認しなければなりません。
そのため、現場作業者は作業以上に記録作業に時間を取られ、「本来のモノづくりに集中できない」と感じやすいのです。
とくにアナログ現場では、手書きの紙書類が山積みとなり、確認・チェック・承認の「ダブルチェック地獄」に陥ることも珍しくありません。
2. 作業手順の標準化への抵抗
昔ながらの現場では、「俺流」「現場流」といった独自の作業手順が随所に見られます。
GMP導入時には、いかなる作業でも標準作業書(SOP)通りに進めることが求められます。
熟練者ほど「今まで問題なかった」「自分ならもっと早くできる」と感じ、業務効率の低下や、生産性ダウンへの不満が噴出します。
標準手順遵守が徹底できず、手順逸脱や文書と現実の乖離が発生し、かえって“ヒヤリ・ハット”や品質不良を招くこともあります。
3. コミュニケーションと現場の意識ギャップ
GMP対応は、事務側・管理側と、現場側の相互理解が不可欠です。
しかし日常業務が忙しい製造現場では、「なぜここまで細かい管理が必要なのか」という目的意識が伝わりづらく、「やらされ感」が残りがちです。
管理職と現場作業者の意識のギャップが広がることで、互いに対立的な空気が生まれやすい点も要注意です。
4. 教育・訓練体制の不備
GMP現場では、全員が「教育訓練を受け、その記録を残す」ことが求められます。
頻繁に変わるSOPやルールに対し、現場教育が追い付かなかったり、指導内容が不統一だったりする現象が多発します。
結果として、知識のない作業者がGMP違反行為を無自覚に犯してしまうというリスクもあります。
5. QC(品質管理)部門の負担増と現場との摩擦
GMP対応では、QC(品質管理)が現場作業監査や記録チェックに深く介入することを余儀なくされます。
QC側の人員・スキル不足、現場側の協力度合いなどにより、工程内での書類不備や手順違反の指摘が相次ぎ、現場との摩擦が激化しやすくなります。
QC部門と製造部門の“責任のなすり合い”や、「やらされている」感覚が広がり、相互不信の温床となりがちです。
アナログ業界に根付くGMP混乱の背景
現場文化に根付いた「現場主導主義」
昭和以来の多くの製造現場では、「現場が主役」「現場の自由裁量」が美徳とされ、時にはルールよりも現場判断が優先されてきました。
アナログ現場ほど帳票やチェック、ドキュメントの電子化が進まず、“紙とハンコ”の文化が色濃く残っています。
その分、「GMP=文書主義社会の象徴」と捉えられ、現場からのアレルギー反応が強くなりやすくなっています。
設備老朽化・自動化遅れによる管理課題
工場の自動化が進んでいない、または老朽化した設備を使っている現場では、トレーサビリティや異常検知システムが不足し、GMP本来の「仕組みで品質を作り込む」ことが難しいです。
「ヒトがチェック・手書きで記録・目視で管理」という作業が主流のままだと、ヒューマンエラーや記録不備のリスクが増大し、管理部門と現場の信頼関係にヒビが入ります。
バイヤー視点とサプライヤー現場の意識ギャップ
グローバル企業や大手バイヤーは、取引先サプライヤーに「GMP準拠」を強く求めます。
しかしサプライヤー現場では、「コストアップ」「現場負担増」だけが意識されやすく、バイヤーが「なぜ求めるのか?」までの説明が十分されていません。
このギャップが最終的には、取引継続の可否や、ブランドイメージ、ひいては現場従業員の士気にも大きく影響します。
GMP現場の混乱を乗り越えるための実践ポイント
1. 「なぜ?」を伝えるコミュニケーション強化
GMP対応では、「なぜ手順を守らなければならないのか」「この記録は誰のためか」という目的意識を、何度も丁寧に現場に伝えることが大切です。
管理職やリーダーが現場目線で説明し、自分事化を促すことで「やらされ感」を減らせます。
また、問題点は現場から積極的に吸い上げ、ルールとしてブラッシュアップするという「現場参加型」の改善活動が有効です。
2. “紙→デジタル”の段階的導入
いきなり全ての帳票や記録をデジタル化するのはハードルが高いため、現場の慣習や技能レベルに合わせ、段階的なデジタル化(ハンディ端末利用、部分的なシステム化など)を進めましょう。
現場作業への負担を減らし、リアルタイムな進捗確認やミス防止につながります。
3. 教育訓練の徹底と標準作業書の現場適合化
「教える」「記録する」だけでなく、現場で実際に繰り返しトレーニングし、その内容を定期的に見直す体制構築が求められます。
標準作業手順(SOP)は上から一方的に押し付けるのではなく、現場の実情や意見を積極的に取り入れ、現実と合致させることが、ルール定着の王道です。
4. QC部門と製造部門の協働・役割分担強化
品質管理部門が現場に「チェックする側・指摘する側」としてだけ存在すると、反発や摩擦が生まれます。
QC部門主導ではなく、「現場とQCが一体となり真の品質確保を目指す」姿勢が求められます。
共通目標を持ち、役割分担や定期的なコミュニケーションの場を設けると良いでしょう。
まとめ:GMP時代の現場力とは
GMP対応が求められる時代、製造現場は「個人の経験と勘」から、「全員が守るべき仕組み・組織行動」への変革を迫られています。
その過程では、現場の混乱や摩擦、ギャップが必ず起きがちです。
しかし「なぜ必要なのか?」を現場に繰り返し伝え、アナログ現場の実情に即した段階的改善、教育訓練の徹底、QC部門との協働体制の強化など、地道な取り組みを重ねることで、混乱を乗り越えられます。
大切なのは、「GMPは無理に押しつけるもの」ではなく、「現場と一体で考え、作り上げていくもの」であることです。
現場、バイヤー、サプライヤー、それぞれの立場を理解し合い、今こそ「現場力」と「管理力」の融合による新たな価値創造を目指しましょう。
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