投稿日:2025年11月2日

製造現場でよく使われる英語用語をまとめて理解する

はじめに:製造業現場で英語用語の理解はなぜ重要か

製造業の現場では、日々多くの専門用語が飛び交っています。
特にグローバル化が進む現在、英語由来の略語や用語が共通言語となっている場面も増えています。
サプライチェーンの海外展開や、外資系企業との連携が進む中で、現場担当者・管理職・バイヤー・サプライヤーのいずれの立場でも英語用語の理解は欠かせません。

この記事では、現場で実際に使われる英語用語を体系的に解説しつつ、昭和的なアナログ慣習を残す製造現場がどのようにして新しい用語や概念を受け入れているかについても解説します。
あなたが製造現場で自信を持ってコミュニケーションできるよう、実践的な知識と事例をまとめました。

現場で頻出する基本用語の一覧と解説

調達・購買分野の英語用語

まずは調達や購買、バイヤー、サプライヤーの現場で頻出する用語をチェックしましょう。

PO(Purchase Order/発注書)
工場と取引先の間で「正式に発注内容を確定する」ための書類やその番号です。
現場では「P.O.出した?」のように使われます。

RFQ(Request For Quotation/見積依頼書)
新規品や価格交渉時に発行する「見積依頼書」です。
「新製品のRFQが来たので、概算のコストを用意して」など現場会話にも登場します。

MOQ(Minimum Order Quantity/最小発注数量)
サプライヤー側が「これ以上は注文してほしい」最低のロット数です。
量産移管時や新規購買交渉で何度も話題になります。

LT(Lead Time/リードタイム)
発注から納品までに必要な日数や期間を示します。
現場では「LT短縮できないか?」と納期短縮要請が多発します。

VMI(Vendor Managed Inventory/サプライヤー在庫管理)
メーカーではなくサプライヤー側が工場の在庫を管理する考え方です。
現場では「VMI方式で部品在庫を切らさずに管理する」などの使い方をします。

生産管理・品質管理分野の英語用語

工場の生産ライン・工程管理・品質管理でよく使われる英語略語も押さえましょう。

BOM(Bill of Materials/部品表)
製品を作るために必要な部品・材料の一覧リストです。
生産管理システムや図面の基礎データにもなります。

WIP(Work In Progress/仕掛品)
工程途中で「まだ完成していない品物」を指します。
多くなれば滞留、少なければ品切れという現場バランスの象徴です。

QC(Quality Control/品質管理)
日本の「QCサークル」でも有名な用語。
検査・監査・工程での管理に必須ワードです。

FMEA(Failure Mode and Effect Analysis/故障モード影響解析)
不具合が起こるパターンとその影響を事前に分析する手法です。
製品立上げの段階で、「FMEAをやったか?」と管理職から問われます。

TPM(Total Productive Maintenance/全員参加の生産保全)
設備停止の減少/設備保全力強化を狙う考え方です。
オペレーターだけでなく、事務職・技術職にも波及しています。

COQ(Cost Of Quality/品質コスト)
「良い品質を守るための活動コスト」と、「不良コスト」を管理します。
見えづらい暗黙コスト可視化の働きがあります。

設計・開発・量産分野:英語用語とその現場流転

設計段階からの共通語

DFM(Design For Manufacturability/製造容易化設計)
「作りやすい設計」を指し、生産技術部門や設計部門の連携でも繰り返し使われます。

EOL(End Of Life/生産終了)
「製品の寿命が来た」や「量産終了」を示します。
部品の廃番や切り替えの時期に必須です。

ECR/ECO(Engineering Change Request/Order)
設計変更の要望や正式な変更指示です。
図面や生産対象が変わる際の共通ワードです。

量産段階の用語

OEE(Overall Equipment Effectiveness/総合設備効率)
稼働率・性能・品質の3本柱で、設備全体の「総合的な実力」を現場で数値化する時に使います。

API(Application Programming Interface)
本来はIT業界で使われる用語ですが、工場の「デジタル連携」や設備自動化で「外部連携部分」の説明に使われる機会が増えました。

IoT(Internet of Things/モノのインターネット)
「IoT化」として、アナログ工場の自動化・見える化プロジェクトでも頻出中です。

昭和的文化と、英語用語の「現場的使われ方」

昭和から平成、令和と時代が進む中、現場文化は大きく変わっています。
一方で、多くの工場では「現場なまり」のアレンジやフィーリング語で英語用語が定着しています。

「LTを短くして欲しい」と言いながら、現場会議では「リード」と略される。
「モノがEOLだから、次世代品のBOMをさっさと出せ」と急かされる。
本来の意味より現場流儀(例:「QCやっといて」=不具合報告、是正、標準化までお任せ)でラフに使われる場合も多いのが特徴です。

これらの用語は、単なる横文字ではありません。
工場の「暗黙知」を可視化し、非効率な伝言ゲームをなくすためにも、積極的・高速に使われています。

アナログ慣習と現代的ワードの融合

書類主義や「判子・紙文化」が根強い日本の製造業ですが、英語の略語やグローバル共通用語を素早くキャッチアップする現場も増えています。
「便利なら使う」という割り切りが、アナログ感覚のままデジタル用語ハイブリッド化を促しています。

現場目線で押さえるべき:用語の”本質”とその”使い所”

英語用語を正しく理解し、現場でうまく活用するコツは「本質に立ち返る」ことです。
例えば、LT(リードタイム)については単純な「調達期間」を超えて、部品流通/工程管理/在庫戦略にも影響を与えます。
BOMも上流設計から調達原価対策、量産流動・トレーサビリティ管理にまで波及します。
新しい略語や考え方が登場した際は、単なる”カタカナ”として流すのではなく、自分の職場の課題や仕事とどのように繋がるかを意識してください。

現代現場で求められる「用語力」:新たな地平を切り拓く

これまでの長年の習慣から一歩踏み出し、現場のコミュニケーション力として英語用語の使い分け力を磨きましょう。
たとえば、サプライヤーであれば「バイヤーがRFQの次に何を意識しているのか、LT短縮の裏にどんなプレッシャーがあるのか」を用語の意味から推察できます。
バイヤー候補であれば「現場でPO発行・納期遅延交渉・ECR対応といった一連の用語フロー」を頭に入れておくと、即戦力として活躍できます。
また、チームでの情報共有や業務改善にも、共通用語は不可欠です。
”どこの現場でも共通する言葉”を持つことで、属人的な仕事から脱却し、生産性や品質の底上げが狙えます。

まとめ:現場英語用語を「武器」にして次の成長段階へ

昭和の現場文化との融合、アナログとデジタル・グローバルとの調和。
英語用語は単なる流行りでも、管理職の押し付けでもなく、「現場の武器」として使いこなすべき時期に来ています。
本記事で紹介した用語を、現場の問題解決・情報連携・キャリア形成のためにぜひ役立ててください。
継続的に知識をアップデートし、新しい用語や慣習も柔軟に吸収できる現場マインドを磨いていきましょう。

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