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制御系設計開発電流制御技術PSIMシミュレーションパワエレ制御伝達関数ブロック図インバータPWM

目次
はじめに:急速進化する制御系設計開発の現場で生き残るために
製造業、特に電気制御やパワーエレクトロニクス分野に携わる方々にとって、「電流制御技術」「PSIMシミュレーション」「パワエレ制御」「伝達関数」「ブロック図」「インバータ」「PWM」といったキーワードは、日々の業務で避けて通れない重点テーマです。
日本の製造業は長らく、昭和時代の良き伝統のもとアナログ的な現場力と職人技を武器に世界と戦ってきました。
しかし、グローバル市場の厳しい競争や人手不足、IoT・AI活用の加速など大きなうねりが現場を包み込んでいます。
これからは、体系的な制御理論とデジタルシミュレーションをベースにした「見える化された開発・改善」が求められます。
本記事では、20年以上にわたり現場・調達・生産管理・品質管理・自動化プロジェクトで実践してきた視点をフルに活かしつつ、「現場で本当に使える電流制御技術と設計開発プロセス」を徹底解説します。
昭和的な現場でもすぐ生かせる“なぜ・どのように・何が変わるか”を軸に、制御系設計の最新トレンドもお届けします。
制御系設計開発の基礎:パワエレ、インバータ、PWM制御の現場で押さえるべき要点
インバータとパワーエレクトロニクスの変遷
インバータは、直流電流を交流に変換する装置であり、省エネや精密制御が求められる産業モーター、空調、EV、ロボット、再生エネルギーなど幅広い分野で活用されています。
日本の現場では、長らくリレー、接点、手動タイマを使った素朴な制御からスタートしましたが、半導体技術の発展とともにGTO、IGBT、SiCといったデバイスが主流となり、ハードウェア制御からマイクロプロセッサ/FPGA制御へ徐々にシフトしてきました。
現代のパワエレ現場で電流制御技術が重視される理由は、「高効率化」「安定動作」「故障予兆検知」「省エネ」「高精度化」など複合的な価値を同時に実現しなければ、競合他社に勝てないからです。
PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)の意義と進化
インバータ制御で標準的に使われるのがPWM制御技術です。
PWMは、ON/OFF(パルス)の幅を変化させて実質的な電力や電圧/電流を調整する方式です。
モーターのスムーズな加減速、省エネ、省スペース、放熱ロス低減など多くの現場課題を解決する技術基盤となっています。
近年は、SPWM(正弦波PWM)、SVPWM(空間ベクトルPWM)、デジタルPWMなど、より高性能な変調手法も実用化され、騒音低減・高応答化・省電力・高寿命設計などが容易になりました。
現場が苦手としがちな「伝達関数」や「ブロック図」の本当の役割
理系学生や若手エンジニアが一番つまずきやすいのが、伝達関数やブロック図など「数式と図による設計」です。
現場では「実際部品をつなげて回路を組めば動く」ことが重視されがちですが、現代製造業では以下2点が非常に重要です。
1. **不良・トラブル・試作失敗を減らすため、事前に動作予測・仕様検証するスキル**
2. **構造や制御アルゴリズムを見える化して、他部署やサプライヤーと共通認識を持つこと**
伝達関数は「システムに入力した信号に対する出力の応答を見るための仕組み」を数式で整理します。
ブロック図は、システム構成や信号の流れ、新規追加や既存修正時の影響範囲を“見える化”します。
これらを習得すれば、開発速度・設計精度・後工程のコストダウンが飛躍的に高まります。
PSIMで変革する制御シミュレーション:現場改革の第一歩
なぜPSIM(パワーエレクトロニクス向けシミュレータ)が製造現場で必要か
パワーエレクトロニクス機器の開発現場は「ブラックボックス化」「ベテラン依存」「試作ありき」「現物合わせ」からなかなか抜け出せていません。
しかし、実際に装置やモジュールを都度作って動かすのは、圧倒的にコストがかかり、納期厳守が求められる昨今では致命的なタイムロスとなります。
PSIMはパワーエレクトロニクス分野に特化した回路・制御系のシミュレータで、人手・実物を使わずに以下が実現できます。
– 回路規模やパラメータ違いによる動作の違いを直感的に確認できる
– 電流波形・損失・応答遅れ・ノイズなどをグラフ化
– 制御アルゴリズム(PID, PI, H∞など)の最適値探索や安定性検証
– システムアップ時の異常モード・トラブル時波形まで事前に追跡できる
この「見える化&仮想的な試作・検証」の力を活用すれば、ベテランの暗黙知だけに頼らない、全員参加型の改善・イノベーションが生まれるのです。
PSIMを活用した現場マインドセット変革
現場がシミュレーションを毛嫌いする理由は2つあります。
「従来やったことがない」「結果が現実と合うか不安」という過去成功体験への依存です。
しかし、PSIMでは実波形データとの対比や、簡単なモデルから徐々に現実的なパラメータまで段階的に精度UPできるため、
・ハード試作前の仕様詰め
・客先/サプライヤーとの協議・合意形成
・現場教育や若手育成
にも絶大な効果が出ます。
今後は「現物合わせ」と「シミュレーション」を双方向で往復する力こそが、現場の生産性を数倍向上させる起爆剤と言えるでしょう。
制御系設計開発のプロが教える:現場改革の勘どころ
調達・バイヤー目線の制御設計力が競争優位を生む
調達やサプライヤーとのやりとりでも、「なぜこの部品が必要か」「この制御方式でなければならない理由」「リスクを低減する設計意図の説明」が瞬時にできる技術者は強い信頼と発言権を持てます。
部品コスト競争だけではなく「性能・スペック・寿命・歩留まりリスク」まで踏み込んだ提案・検証・条件変更が現場のバイヤー・サプライヤーにはこれまで以上に求められています。
シミュレーションや伝達関数・ブロック図を用いた論理的かつ現場に寄り添う説明力は、価格交渉・品質保証・納期確保でも大きな武器となります。
製造業バイヤー・サプライヤー双方が知っておきたい開発現場の変化
従来型の「現物で判断」「規格で選定」から、今は
– バーチャル検証をベースに仕様・条件を柔軟に合意
– 現地現物+シミュレーションでサプライチェーン最適化
– 標準化とカスタマイズを両立させる開発体制
に大きく進化しています。
サプライヤーもただパーツを供給するだけでなく、仕様協議・信頼性評価・共同開発・初期流動監視などで顧客側バイヤーと一体となった“価値共創パートナー”としての役割が期待されています。
設計段階からPSIM等のシミュレーションデータや試作検証の“技術カルテ”を共有すれば、無駄な変更・遅延・不良の撲滅にも効果を発揮します。
昭和的現場文化を打破しよう:ラテラルシンキングで将来像を描く
アナログ主義の強い現場でデジタル活用を根付かせるには
「昔からこれでやってきた」「理屈は机上の空論」「現場感覚が一番」……こうした声が今なお製造現場には根強くあります。
ですが、欧米や中国のリーディングメーカーは試作レス開発や、シミュレーションによるハード配置・試運転短縮を本格導入済みです。
日本の現場も「アナログで育んできたカンや経験」を、デジタル技術(PSIMや伝達関数、ブロック図等)で数値化・見える化し、若手・海外拠点でも“再現・共有”できる新しい武器に変える必要があります。
現場の改善アイデア×制御シミュレーション=未来価値の創出
従来は
– トラブル発生→現地で解析→改良→現場投入(数週間~数ヶ月ロス)
という改善サイクルでした。
これを
– スモールスタートでPSIMによる異常シナリオ再現→現場の匠のカンをもとに制御パラメータ変更→短期間で最適解抽出→全工場へ水平展開
という、アナログ×デジタル融合型の新しい改革サイクルに転換することで、カーボンニュートラル・グローバル短納期・多品種少量など難題にも打ち勝てます。
ここに昭和の現場力と、最新のツール・理論・ラテラル思考を掛け合わせることこそ、日本製造業に再び日の丸を掲げる唯一の道です。
まとめ:制御系設計開発から現場価値創造へ~今、求められる一歩~
本記事では「電流制御技術」「PSIMシミュレーション」「パワエレ制御」「伝達関数」「ブロック図」「インバータ」「PWM」など、
制御系設計開発に欠かせない要素を現場主義目線で解説しました。
昭和から続くアナログ現場力も武器ですが、これからは「デジタルシミュレーション&見える設計力」という新しい地平線を切り拓くことが、競争力の証明となります。
調達・バイヤー・サプライヤーもこのトレンドを理解し、単なるコスト・納期交渉の世界観から、課題共創・現場価値創造型パートナーシップへと成長してほしいと願っています。
一歩踏み出して、今日からPSIMやシミュレーションを“現場文化”として根付かせましょう。
それが、未来の日本製造業ひいては世界産業を牽引するイノベーションの礎となることを、私は強く信じています。
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