銅を含む部品の価格の決め方——地金と加工費を分け、相場と時点を決める | newji
製造業の見積・発注クラウド

その単価は妥当か。
AI が根拠付きで分析。

相見積の比較も発注も進捗管理も、ひとつの画面に。

サービス資料をダウンロードPDF・無料/1分で受け取れます

投稿日:2026年10月1日

銅を含む部品の価格の決め方——地金と加工費を分け、相場と時点を決める

この記事のポイント(結論先出し)

2026 年 10 月時点で確認できる日本銀行の企業物価指数(2026 年 8 月速報)では、国内企業物価指数の類別「非鉄金属」が前年同月比 43.3% の上昇で、前月比の上昇に寄与した主な品目の筆頭に銅が挙がっている[1]。一方、同じ月の「金属製品」は 3.5%、「電気機器」は 4.1% の上昇にとどまる[1]。銅を含む部品の単価は、銅そのものの値動きと、加工の値動きがまったく違う速さで動く。発注側がやることは、単価を「銅の量 × 参照する相場」と「加工費」に分け、参照する相場の名前・時点・為替の扱いを発注前に決めて書面に残すことである。取適法の対象取引では、発注書の代金は具体的な金額が原則で、相場が決まらず金額を示すことが困難なやむを得ない事情がある場合に限り、こうした式を算定方法として示すことで足りる。式も金額も示さずに後から金額を決めた例は違反行為事例に挙がっている[2][3]。

銅の値動きは、どこに出てくるか

💡 こうした調達・受発注の属人化、Newji one なら「ひとつの画面」で解決。見積依頼から発注・進捗・承認までAIが下支えします。
サービス資料を見る(無料)→

銅は電気と熱をよく通し、加工しやすいことから、主に電線か伸銅品の形で様々な産業に使われている。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、銅の主要用途を電線と伸銅品とし、電線は電力・通信・電気機械・自動車のワイヤーハーネスなどに、伸銅品はコネクタや配電盤、熱交換器などに使われると整理している[4]。製造業の調達でいえば、電線・ケーブル、ワイヤーハーネス、端子・バスバー、コネクタ、銅合金の切削品やプレス品、熱交換器の部材などが、銅の値動きを受けやすい品目である。

値動きの大きさを公表された統計で確かめると、素材と加工品の差がはっきり出る。

国内企業物価指数の類別 2026 年 8 月の指数(2020 年=100) 前月比 前年同月比
非鉄金属 261.1 +1.9% +43.3%
スクラップ類 200.3 -4.7% +22.7%
金属製品 137.7 +0.4% +3.5%
電気機器 121.9 -0.6% +4.1%
(参考)総平均 136.1 -0.2% +7.6%

いずれも 2026 年 8 月の速報値で、翌月以降に訂正されることがある[1]。前月比の動きについて日本銀行は、非鉄金属の上昇に寄与した主な品目として銅、アルミニウム合金ダイカスト、金地金を、スクラップ類の下落に寄与した主な品目として鉄屑と銅・アルミニウム屑を挙げている[1]。輸入物価指数でも、金属・同製品の前月比に寄与した主な品目として白金・銅屑、白金地金、電線・ケーブルが挙がっている[1]。

表から読み取れるのは、銅の値動きが単価に効く度合いは品目によって大きく違うということである。電線のように単価の大半が銅で占められる品目では、銅の相場がほぼそのまま単価に出る。銅を少し使うだけの組立品では、銅の値動きは単価の一部にしか効かない。仕入先から「銅が上がったので」と申し入れがあったときに、非鉄金属の上昇率を単価全体に掛けてしまうと、加工費の部分まで上げることになる。

📄 実務で使うなら — 見積の比べ方と、買いたたきの線(全 5 章・無料サンプルあり)

単価を「銅の量 × 相場」と「加工費」に分ける

銅を含む部品の単価を、相場の変化に強い形で持つ基本は、銅の部分と加工の部分を分けることである。

  • 銅の部分:製品 1 個に使う銅の量(kg)× 参照する銅の相場(円/kg)
  • 加工費の部分:加工・表面処理・検査・梱包など、銅の相場とは別に決まる費用

この分け方は、取適法の解説にもそのまま出てくる。公正取引委員会・中小企業庁のテキストは、発注時に代金を具体的な金額で示すことが困難なやむを得ない事情がある場合に、算定方法を示すことが認められる例として、原材料費等が外的な要因で変動し、それに連動して代金が変動する場合を挙げ、明示例として「工賃+原材料 A 金属を中小受託事業者が調達した時点の A 金属の市場の終値 × 調達した A 金属の量+一般管理費」という形を示している[2]。経済産業省の金属産業取引適正化ガイドラインは、同じ形の取引で、委託した時点では A 金属の終値が分からないとして、算定方法を示すことが可能なのに当初の書面に具体的金額も算定方法も示さなかった場合を、違反行為事例として挙げている[3]。

取適法の対象取引でも、発注時に示す代金は具体的な金額が原則で、式で足りるのは金額を示すことが困難なやむを得ない事情があるときの例外である[2]。発注の時点で銅の値が決まっていて金額を出せるなら、金額を書く。相場が決まらず金額を出せないときに、「金額は後で」とするのではなく、相場が決まれば金額が自動的に決まる式を、発注時に書く。算定方法による明示の条件(関連付けや確定後の通知)は参考見積と正式見積の違いで詳しく扱っているので、ここでは銅の品目で何を決めるかに絞る。

かつての「都度決定・後日明細」

銅の取引で価格の決め方を書面にしておくことには、業界としての経緯もある。日本伸銅協会の自主行動計画は、伸銅業界が 1986 年・1996 年・1998 年に、本来あるべき姿とは異なる価格決定の習慣が大多数を占める品種について業界をあげて改善してきたと記している[5]。その特殊性として挙げられているのは、価格は都度決定され契約書や注文書に基づかないこと、発注時に価格または価格と数量が決まり後日明細(注文書)が届くことで、この形態が 1996 年時点で約 8 割を占めていたが現在は改善されている、とされる[5]。同じ計画は、同種の金属を用いる他業界では相場商品の不利益を被った例もあり、再発や同様の問題が起こる可能性がないとは言い切れない、とも書いている[5]。

🛠 発注の管理なら — 発注書の作成から送付、進捗の確認までをひとつの画面で行える Newji one(製造業の見積・発注クラウド/サービス資料は無料)

相場の動きが大きいときほど、「とりあえず電話で頼んで、値段は後で」という運用に戻りやすい。発注側の購買部門が、相場で動く品目ほど書面で式を先に決めておく、と決めておく意味はここにある。

発注前に決めておく項目

銅の部分を式にするとき、実際に揉めるのは式の形よりも中身の定義である。決めておく項目を挙げる(法令の要求ではなく、実務の提案である)。

1. 参照する相場の名前と公表元。市場の終値なのか、国内で公表される地金の価格なのか、指数なのかを、公表している主体の名前まで書く。双方が後から同じ数字を確かめられることが条件である。

2. どの時点の値を使うか。テキストの例は「中小受託事業者が調達した時点の終値」である[2]。ほかに、発注日の値、前月の平均値などが考えられる。1 日の値は振れが大きいので、月平均を使うと双方の運のよしあしが小さくなる。どれを選んでも、選んだ根拠を記録に残す。

3. 為替の扱い。海外の市場の価格はドル建てであることが多く、円換算に使うレートと時点も決める必要がある。テキストも、為替相場に応じて価格を決める算定方法の例を別に示している[2]。

4. 銅の量の定義。製品に残る正味の重量なのか、切りくずや端材を含めて投入する重量なのか。テキストの試作品の例は、実際に使用した原材料費を歩留(投入量に対する産出量の比率)で割り戻す形を示している[2]。投入量で持つなら、端材を仕入先が売却した分をどう扱うかも合わせて決める。

5. 加工費の見直しの時期。銅の部分が自動で動く一方、加工費は労務費やエネルギーコストで動く。こちらは定期の協議で見直す。労務費については最低賃金の引上げと値上げ要請への向き合い方を、電力については電気料金の変動の反映の仕方を参照してほしい。

6. 適用の範囲。新しい式をどの発注から使うか。既に発注した分に新しい単価を遡って当てて代金を減らせば、取適法の減額の問題になる[2]。

指数を参照値に使うときの注意

市場の終値ではなく企業物価指数を参照値に使う方法もある。日本銀行は、国内企業物価指数は原則として生産者段階における出荷時点の生産者価格を調査していると説明している[6]。公表は原則として翌月の第 8 営業日に速報を出し、速報公表の 3 か月後まで、利用可能になった情報を順次反映した訂正値を公表する[6]。さらに毎年 9 月(8 月速報の公表時)には、原則として前年 1 月以降を対象に定期遡及訂正を行う[6]。実際、2026 年 8 月速報の表では、前の月の値の多くに訂正値を示す「r」が付いている[1]。

指数を式に入れるなら、速報値を使うのか、一定期間後の値を使うのかを決めておく必要がある。速報値で代金を確定させた後に指数が訂正されても、確定した代金は動かさない、と書いておけば揉めにくい。また、指数は全国の平均的な取引価格の動きなので、個別の仕入先の仕入値とは一致しない。相場そのものではなく「動いた率」を使う道具だと割り切るほうがよい。

相場が下がったとき

銅の相場は上にも下にも動く。上がったときの申し入れには協議で応じ、下がったときには何もしない、という運用は、仕入先から見れば一方的に見えるし、発注側にとっても損である。逆に、下がったときの扱いにも取適法の線があり、原材料の市場価格が下がったことを理由に、発注後に値引きを求めて代金から差し引いた例は、テキストで減額の違反行為事例に挙がっている[2]。

相場の上げ下げを代金に反映させたいなら、上がっても下がっても同じ式で動くことを、発注の前に合意しておくしかない。式で決まった金額に従って代金が決まるのであれば、後から代金を削ることにはならない。式を作らずに、下がったときだけ個別に値引きを求めるのは避ける。後から代金を下げる行為の整理は減額に当たる行為と、当たらない行為にまとめている。

銅を自社で支給する場合

相場の変動を仕入先に負わせたくないという理由で、銅材を発注側が買って仕入先に支給する方法もある。支給には、材料を無償で渡すやり方と、代金を取って渡す有償支給がある。単価が加工費だけになるのは無償で支給するときで、相場の変動はそのまま発注側が持つ。有償支給では、仕入先は支給を受けた銅材を買い取り、その分を製品の代金に含めて請求するので、支給価格と製品単価をセットで決める。相場に合わせて支給価格だけを上げ、製品単価を据え置けば、差額を仕入先がかぶることになる。また、仕入先に責任がないのに、支給した銅材の代金を、それを使った製品の代金の支払期日より前に代金から差し引いたり支払わせたりして仕入先の利益を不当に害すると、取適法の有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止(第 5 条第 2 項第 1 号)に当たる[2]。金属産業取引適正化ガイドラインは、原材料等を有償支給する場合に発注時に明示すべき事項として、品名・数量・対価・引渡しの期日・決済期日・決済方法を挙げている[3]。支給材の扱いは有償支給材と金型代の禁止行為で詳しく扱っている。

よくある質問

仕入先が「銅が 4 割上がったので 4 割上げたい」と言ってきました

銅の上昇率は、単価のうち銅にあたる部分にだけ掛けるものである。単価のうち銅が何割を占めるか、製品 1 個に何 kg 使うかを聞き、銅の部分の変化として目安を出してから協議する。目安と違っても、それだけで申し入れを退けず、違いの理由を聞く。協議の進め方は値上げの申し入れが来たときの進め方を参照してほしい。

完成品のケーブルを買っています。銅の式は必要ですか

単価の大半が銅で占められる品目ほど、相場で単価が大きく動くので、式を持つ意味は大きい。加工の割合が大きい品目なら、定期の協議で見直すほうが手間が少ないこともある。品目ごとに、単価に占める銅の割合で判断すればよい。

銅合金(黄銅など)の部品はどうしますか

銅合金は銅に亜鉛やすずなどを加えたものなので、銅の相場だけでは値動きを説明できない場合がある。参照する値を合金の地金の価格にするのか、銅の相場に一定の換算をするのかを、仕入先と相談して決める。決めた理由は記録に残す。

まとめ

2026 年 8 月の企業物価指数では、非鉄金属が前年同月比 43.3% 上がる一方、金属製品や電気機器の上昇は数パーセントにとどまり、銅の値動きは品目によって単価への効き方が大きく違う[1]。銅を含む部品の単価は「銅の量 × 参照する相場」と「加工費」に分け、相場の名前・時点・為替・銅の量の定義・適用の範囲を発注前に決める[2][4]。取適法の対象取引では、発注時の代金は具体的な金額が原則で、金額を示すことが困難なやむを得ない事情があれば金額が自動的に決まる式で足り、どちらも示さないまま後から金額を決めるのは違反行為事例に当たる[2][3]。指数を使うなら訂正の扱いを決め[6]、相場が下がったときに後から値引きを求めるのではなく、上下両方向に動く式を先に合意しておく[2][5]。

出典・参考資料

  1. 企業物価指数(2026年8月速報)(日本銀行調査統計局/2026 年 9 月 11 日)
  2. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)
  3. 金属産業取引適正化ガイドライン(金属産業における受託適正取引等のためのガイドライン)(経済産業省/平成 29 年 2 月策定・令和 8 年 1 月最終改訂)
  4. 鉱物資源マテリアルフロー2024 銅(Cu)(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構/2026 年 1 月)
  5. 適正取引の推進に向けた自主行動計画(一般社団法人日本伸銅協会/2024 年 6 月 28 日改定)
  6. 2020 年基準 企業物価指数の解説(日本銀行調査統計局/2022 年 6 月)

相場で動く品目の取り決めを、資料で確かめるなら

NEWJI総研は、製造業の調達・購買を中心に、実務・法令・規格・市場動向を調べて資料にしている調査の場です。研修テキスト、実務書式、法令・規格の改訂対応、実務トレンドレポートの棚を設けています。

NEWJI総研を見る

WHITE PAPER

この記事の理解を深める
無料ホワイトペーパーをプレゼント

製造業の現場で使える実務資料(PDF)を無料でお届けします。"こんな資料が届きます" ↓ 下のボタンからどうぞ。

CONSULT — 材料・加工の相談(無料)

この記事のような材料・加工の課題、
ご相談ください

材料や加工方法の検討から、加工先・試作先探しまで。専門の会社を探してつなぎ、newji がまとめて進めます。

  • 加工先・製造先探し(特殊な条件・少量・試作も)
  • 材料・加工方法を専門の会社と一緒に検討
  • 相談は無料。内容を確認のうえ担当者からご連絡
材料・加工の相談をする →

NEWJI総研

購買・調達や設計・品質の実務を、
研修テキストと実務書式にまとめています。
無料サンプルで中身を確かめられます。

NEWJI総研の資料を見る

OEM/ODM 生産委託

アイデアはある。作れる工場が見つからない。
試作1個から量産まで、加工条件に合わせて最適提案します。
短納期・高精度案件もご相談ください。

加工可否を相談する

AI/DX支援

見積・発注、紙・FAX、品質記録など、
人に頼って回っている業務を、AIと仕組みで回る形に。
まずは無料でご相談ください。

AI/DX支援を見る

見積・発注クラウド Newji one

受発注が増えるほど、入力・確認・催促が重くなる。
受発注管理を“仕組み化“して、ミスと工数を削減しませんか。
見積・発注・納期まで一元管理できます。

機能を確認する

You cannot copy content of this page