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消耗品OEM商品のカスタマイズ範囲と自由度の選び方

目次
はじめに:今、なぜ消耗品OEM商品のカスタマイズが注目されるのか
製造業の現場で日々使われている消耗品。
その多くがOEM(Original Equipment Manufacturer)商品として調達されていることは、業界で働く方なら周知の事実です。
しかし、「カスタマイズ」の本当の意味や範囲、さらにはバイヤー目線でどこまで自由度をもたせるべきか、迷った経験はありませんか。
2020年代に入り、脱昭和的なアナログ調達からの脱却が叫ばれる一方、現場の細やかなニーズに応えるカスタム対応力こそが競争力の源泉となりつつあります。
この記事では、消耗品OEM商品のカスタマイズ範囲と自由度の選び方について、20年以上の調達実務経験をもとに、現場目線の本音も交えて解説します。
さらに、サプライヤー視点からも、バイヤーが何を重視しているかを紐解き、調達と供給、双方での価値創出のヒントをお伝えします。
消耗品OEM商品の「カスタマイズ」とは何か
標準品とカスタム品の違い
まず、「標準品」と「カスタム品」の違いを明確にしましょう。
標準品は、サプライヤーが大量生産する汎用品で、多くの顧客へ同じ仕様で供給されます。
一方、カスタム品(カスタマイズ品)は、一部または全体を顧客の仕様に合わせて製作したものです。
消耗品の場合、たとえば工場の清掃用ワイパー、切削工具、梱包材、フィルターなどの分野で、オリジナルサイズや材料変更、ロゴ印刷などの要望が生まれやすいです。
OEMサプライヤーは、その要望をどこまで受け入れ、どこまで自社の標準に近づけるかでコストと納期、品質管理のバランスを取っています。
製造現場で求められる「本当のカスタマイズ」とは
現場では、「こうだったら便利なのに」「あと数ミリ短ければ装着が楽だ」「この材質だと耐久性が弱い」など、使う人ならではの“現場の知恵”が蓄積されています。
それが「本当のカスタマイズ要望」です。
昭和の時代は、見積もり依頼をFAXで送り、発注から納品まで数週間かかることが当たり前でした。
しかし、今やデジタル技術の進展や、サプライチェーンの最適化により、柔軟なカスタマイズが求められるようになりました。
重要なのは、現場目線で「なぜその仕様が必要なのか」を論理的に整理する力です。
カスタマイズ範囲はどこまで検討できるのか
カスタマイズの主な項目例
消耗品OEM商品の一般的なカスタマイズ範囲には、以下のような項目があります。
– 寸法(長さ、幅、高さ、厚み、径)
– 材質(高強度仕様、耐熱・耐薬性材、エコ材料など)
– 仕様(硬度、吸水性、防音、難燃化などの機能性)
– 色・デザイン(コーポレートカラー、ロゴ印刷)
– 梱包形態(小ロット化、特殊包装)
– ラベル・印字内容(QRコード、管理番号、注意文表記など)
このうち、「どこまで自由度があるか」はサプライヤーの設備、原材料調達、製造キャパシティ、管理体制などに大きく依存します。
業界動向:カスタマイズ要求が生まれる背景
グローバル競争が激化する中で、同業他社との差別化は「製品」そのものだけでなく「使い勝手」「運用効率」まで含めて問われるようになりました。
工場の自動化が進むにつれ、わずかなサイズの違いが生産性や歩留まりに直結することもあります。
また、SDGs(持続可能な開発目標)やESG投資の流れに伴い、“環境配慮型消耗品”や“再生材使用”など、新しいカスタマイズの軸も生まれています。
自由度をどう設計し、どこまで求めるべきか
現場の利便性と全体コストのバランス
カスタマイズを追求すればするほど、当然のことながらイニシャルコストやランニングコストが上がりがちです。
例えば、特殊寸法や特別材料を指定することで「型代」「ロット最低数」「リードタイム増加」など、さまざまな追加コストや付帯条件が発生します。
重要なのは、「現場の利便性」をいかに数値化し、全体最適の視点で判断するかです。
本当に必要な仕様なのか、標準品に小さな工夫(例えば治具やシートの追加)で代替できないのか、バイヤーとサプライヤー双方が“事実ベース”でディスカッションする姿勢が求められます。
調達購買部門による「自由度の線引き」ポイント
実際の購買交渉や仕様決定の現場では、以下のようなポイントが「自由度の落とし所」になります。
– 年間使用数量(多いほどカスタマイズの採算性が高まる)
– 今後のモデルチェンジ頻度(長期継続的に使うか)
– 他ライン・他拠点での汎用化の可能性
– 工場側/エンドユーザー側の負担軽減度合い(定量的効果)
– エンジニアリングチェンジ対応(設計変更・トラブル時の柔軟性)
例えば、年5000個を超えるような大量消費品であれば、サプライヤーも積極的に特注対応を検討します。
一方、月数十個程度の消耗品の場合は、標準品のアレンジでコストダウンを優先するなど、現実的な選択が求められます。
バイヤーの「考えていること」と、サプライヤーが知るべき本音
バイヤーは何を重視しているのか
調達購買側がOEMサプライヤーに求めるものは、必ずしも「価格だけ」ではありません。
近年の“サステナビリティ経営志向”や“BCP(事業継続計画)”への配慮、また、現場負荷の削減や人手不足対策へ直結するイノベーティブな提案を歓迎する傾向が強いです。
つまり、「A社はこのサイズできます」「B社は環境配慮材も対応」「C社は短納期」……こうした“差別化ポイント”に強さを持つサプライヤーが選ばれやすい時代です。
バイヤーとしては、「提案力」と「対応スピード」にも敏感です。
サプライヤーが押さえるべきカスタマイズ対応フロー
サプライヤー側からみれば、無理なカスタム対応が品質リスクやコスト増を招く。
ですが、細やかな要望には“できる範囲”と“推奨する案”をセットで提案することで、信頼関係を構築できます。
たとえば、
– 「ご指定の寸法A案ですと型代が50万円かかりますが、寸法B案(標準金型流用)なら初期費用なしでいけます」
– 「ご指定の材質は耐久性に優れますが、国内在庫が少なくリードタイム8週間が必要です。代替案Cなら2週間で納品可能です」
といった現実的な選択肢を具体的に提示することが重要です。
バイヤーは最終判断責任者ですが、“意思決定の材料”を与えるのが、信頼されるサプライヤーの大切な役割になります。
業界のデジタル化と今後のカスタマイズ進化
製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)潮流
デジタル調達プラットフォームや、WEBカタログ、3D CADデータ提供など、デジタル化の波がOEM消耗品にも押し寄せています。
これにより、仕様打合せやサンプル作成、見積もり取得が飛躍的にスムーズになりました。
また、少量多品種・多頻度小ロット生産の時代、サプライヤー側でも「インダストリー4.0」対応工場が増え、柔軟なカスタマイズ生産が可能に。
今後はインターネット経由で詳細な仕様カスタムがリアルタイムでできる時代が訪れつつあります。
“昭和のまま”でいいのか? カスタマイズの新地平はどこか
伝票手書き、アナログFAX依存、職人頼みの現場感。
こうした“昭和スタイル”に固執している間は、他社との差別化は難しいでしょう。
消耗品OEM商品のカスタマイズは、現場改革・業務改善の大きなきっかけであり、単なる物品調達を超えて、ビジネスモデル自体を変革する可能性も秘めています。
今後は、「標準化とカスタマイズの絶妙なバランス」「環境/サステナブル要求への柔軟な対応」「現場データの活用」といった次世代的テーマがますます重要になるでしょう。
まとめ:いまOEM消耗品カスタマイズを考えるすべての現場へ
消耗品OEM商品のカスタマイズ範囲と自由度の選択は、単なる「調達業務の一部」ではありません。
現場の生産性を左右し、会社の競争優位を生む戦略的テーマです。
迷った時は「なぜその仕様が必要か」から考え直し、バイヤー・サプライヤーが“理想と現実”の間でベストな落とし所を探ることが大切です。
その積み重ねこそが、真の現場改善や業界の進歩につながります。
消耗品の調達とカスタマイズ、ぜひこれを新たな価値創造の起点にしてみてください。
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