投稿日:2025年10月12日

コンタクトレンズの透明度を高める脱泡工程とポリマー硬化制御

はじめに:コンタクトレンズ製造の進化と現場の課題

コンタクトレンズは今や日本国内だけで4,000万人以上に使われる生活必需品となりました。

透明性・薄さ・やわらかさ・安全性を兼ね備えた高機能製品への要求がどんどん高まる一方で、現場の課題解決と品質向上の最前線では、伝統的な“昭和的アナログ工程”と最新の自動化・デジタル技術がぶつかり合っています。

特にレンズの「透明度」は、エンドユーザーの使用感や安全性に直結する最重要要素です。

そこで不可欠になるのが、液状モノマーの「脱泡」工程と、それに続く「ポリマー硬化制御」なのです。

本記事では、自身の現場管理および調達・生産・品質の経験を活かして、コンタクトレンズ製造における脱泡からポリマー硬化までの業界動向と、成功のための現場ポイントを徹底解説します。

コンタクトレンズの透明度を左右するバブル(気泡)とは

なぜ気泡が入るのか ~現場で起こるリアルな“敵”~

コンタクトレンズの素材は、多くがHEMAやシリコン系の液状モノマーに架橋剤・増粘剤・紫外線吸収剤などを加えた混合液です。

この混合の際、どうしても攪拌・搬送・型流し込み・温度差などで微細な気泡が発生します。

昭和世代の工場現場では「泡ぐらい気にしなくていい」と楽観視されがちですが、バイヤーや販売側のクレーム事情・IT化した顧客対応の観点では、その油断が命取りです。

気泡残存のデメリット

– レンズが白濁する・くもる
– 硬化後に強度が落ちる(割れ・カケの原因)
– コンタミ(異物)が目立ちやすい
– レンズ表面が波打つ
– レジンと金型の間に泡が残り、成形不良や“個体差”が発生

特にプレミアム商品や医療用グレードでは、1個の泡が「リコール」や「契約終了」に直結することも珍しくありません。

脱泡工程の現場的アプローチ

今も根強い“昭和的バッチ処理”事情

多くの老舗工場では、今もバッチ単位で真空脱泡(減圧チャンバー)、遠心分離、もしくは人手による撹拌・静置方式が使われています。

レーザーなどを活用した微細泡の検知・除去装置の導入はコストの壁に阻まれ、中小工場では「現場力」に依存する傾向が強いです。

最新の脱泡技術と生産管理の交差点

– 連続生産ラインへの真空脱泡モジュール組み込み
– センサーによるオンライン泡検知 → バルブ切り替え式の自動バイパス
– バブル分布のAI解析による工程最適化
– 材料メーカーとの共同開発で、低発泡性モノマーの選定

現場目線で大切なのは、「脱泡時間」「温度」「真空圧」「搬送スピード」の最適バランスを取る“地味な改善の積み重ね”です。

「泡が減った=歩留まり向上だけでなく、営業クレームや品質情報の“見える化”にも直結する」と全員が腹落ちできれば、投資効果も最大化します。

バイヤーが注視する“脱泡の見える化”

サプライヤーの立場では、「バブルコントロール状況をわかりやすくバイヤーに示す」こともカギです。

– 脱泡テスト結果のグラフ化や実機サンプル提出
– EPA基準やCEマーキングなど“泡ゼロ基準”に照らした客観データ提出
– 脱泡工程だけでなく原料保存・搬送時の気泡対策マニュアルの開示

契約上はSLA(サービスレベルアグリーメント)で泡残存許容値まで規定するケースも増えてきています。

ポリマー硬化制御のリアル:透明度と安全性の両立

硬化メカニズムの現場最適化

レンズの硬化には、化学的重合(温度で硬化)または光重合(UVで硬化)方式が使われます。

この際の「硬化スピード」や「均一加熱・照射」の制御レベルが、透明度だけでなく分子の“詰まり具合”=物理強度や耐久性を左右します。

特に連続生産時には、型内温度やUV強度が少しでもムラになると分子間隙に泡が残りやすくなります。

歩留まりと価値創出の両輪を回す方法

– 硬化前後の自動光学検査(可視光・IR・UV組み合わせ)
– 工程内でのインライン分子構造解析
– 微細流量制御(バルブ・ノズルの進化)
– “熟練工のカン”とデジタル管理値のすり合わせ

現場担当者としては、シフトや原料変更などのちょっとした条件差で出やすい「バラツキ」の累積を、いかに“見える化→標準化→自働化”するかが勝負どころです。

調達・バイヤー視点で重視すべきポイント

サプライヤー選定の新基準

近年のバイヤーは、「安さ」「リードタイム短縮」だけではなく、次の点を重視し始めています。

– 安定したバブルレス(泡ゼロ)提供実績
– 硬化工程の自動記録/トレーサビリティ対応
– 品質異常時のフィードバック速度と柔軟性
– 原材料のECO対応(バイオ原料、低VOC)の有無

調達側としては、“泡ゼロまたは可視化”の達成率を市販品(競合他社)より高める提案があるサプライヤーが、今後選ばれやすくなります。

脱アナログ現場のヒントと落とし穴

自動化やDX(デジタル変革)を一気に進めようとする現場では、逆に本来の「モノづくりノウハウ」が抜けてしまい、泡トラブルや硬化不良の“質”が変わって複雑化することもあります。

– 熟練者のプロセス知見をデータベース化
– エラー発生時の即時対応力の訓練(ヒューマンエラーも含む)
– ITと製造現場の“翻訳者”育成

こうした取り組みが、工場力の底上げに直結します。

まとめ:透明度向上への現場力とこれからの展望

コンタクトレンズの透明度は、単なる“製品見た目”だけでなく、ユーザーの健康・体験・社会的価値に直結します。

脱泡工程およびポリマー硬化制御は、どちらも「目に見えない気泡」や「分子配列」といった細微な要素が歩留まり・クレーム・原価管理のすべてを左右しています。

サプライヤー側は、その見えにくい価値を“可視化”してバイヤーへ伝えること。
バイヤーは、工程・原料・現場力の“本質”を見抜く眼力を磨くこと。

そして現場・技術・調達が一体となり、一歩一歩の地味な改善を積み重ねていくこと。
これこそが、アナログ業界であっても世界基準の透明度を実現し、さらに新たな付加価値を生み出す一丁目一番地なのです。

今こそ、昭和からのしがらみを打破し、脱泡と硬化制御の新たな地平を一緒に切り拓いていきましょう。

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