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部下育成と目標達成を両立する効果的チーム構築マネジメント術

目次
はじめに:製造業の現場で求められるチームマネジメントとは
製造業の現場では、日々の生産活動を安定して継続するために、数多くの人材が連携し、成果を出す必要があります。
一方で、目標達成をただ押しつけるだけでは、現場で働くメンバーの成長はもちろん、組織そのものの活力も失われてしまいます。
昭和の時代のようなトップダウン型マネジメントは、今や現代の現場では限界を迎えています。
部下一人ひとりを育てながら、同時に組織目標もクリアしていく——この“二兎”を追うための実践的マネジメント術が、今こそ求められています。
このコラムでは、20年以上製造現場でマネージャー・工場長として培った経験をもとに、現場目線で実践できる「部下育成」と「目標達成」を両立させるチームマネジメント術について解説します。
現状把握:なぜ育成と目標管理の両立が難しいのか
部下の育成と業務達成、どちらも求められる現場の実情
製造業、とくにモノづくりの現場では納期や品質保証といったプレッシャーが非常に大きくなります。
日々のトラブル対応、突然の工程変更、サプライチェーンの乱れ……現場は常に予期せぬ事態と隣り合わせです。
このような中で部下を育てる時間的、精神的余裕が取れず、つい「とりあえず目の前の仕事を回す」ことに追われがちです。
結果、職場は「指示待ち型」の人材ばかりになり、リーダー1人に負担が集中し続けてしまいます。
いまだ根強い「昭和型マネジメント」の弊害
日本の多くの製造現場では、年功序列や現場中心主義、属人的ノウハウの継承といった昭和的価値観が根強く残っています。
上司の命令通りに部下が動き、「教わるより見て覚える」OJTの風土が浸透しています。
そのため、失敗を恐れて自己成長に挑戦できない、効率化や改善への新発想もなかなか生まれないという停滞を招いている場合が少なくありません。
部下育成と目標達成を両立するための三大原則
両立の鍵は、“人を助けて人と成果を出す”という姿勢です。
現場のリーダーに必要なのは、単なる「管理」ではなく、メンバー一人ひとりの成長志向とチーム全体の目標達成を組み合わせてマネジメントする力です。
以下、私が現場で実践して成果を上げた三大原則を紹介します。
原則1:自律的人材を育てる仕組みの醸成
現場では「自分で考え、自分で動ける人材」が最も価値を発揮します。
自律的人材を育てるには、「問いを与えて考えさせる」こと、「失敗を許容する環境づくり」が重要です。
例えば、トラブル時にすぐ答えを出すのではなく、「どうすれば防げたと思うか?」と問いかけ、本人に意見や仮説を述べさせます。
この繰り返しが、自ら課題を発見し、周囲と協働しながら解決策を導き出す力を養います。
原則2:目標=“現場から見える数字”で共有する
離れた事務所で作った経営計画やKPIだけを上から押し付ける方法では、現場の当事者意識は生まれません。
「現場の言葉」に落とし込まれ、現場作業に直結した具体的な目標や指標こそが、メンバーの行動を前向きに変えるエンジンになります。
例えば、「年間不良率を0.5%下げる」という曖昧な目標より、「●月までに●ラインで1日2件のヒヤリハットを提出」といった具体的な数字や行動に変換することが大切です。
原則3:成果とプロセス、両方をきちんと評価する
目標の“達成度”だけでなく、“達成に至るまでの努力や工夫”も公平に評価する文化を作りましょう。
たとえば、ベテランがマンツーマンで若手社員に段取り替え作業を丁寧に指導し、結果的に新人の作業ミスが減ったとします。
この過程を評価し「指導した側・された側」の両者をきちんと認める言葉で称賛することで、チーム全体のやる気や帰属意識が格段に向上します。
現場で実践すべきマネジメントの具体的方法
日常的な“対話”の積み重ねが、強いチームを作る
指示と報告のやり取りだけでは、部下は自分の意見を口にしなくなります。
朝礼やミーティングで、「最近気になっている現場の小さな工夫」「困った経験や成功したこと」など、仕事以外のことも含めた雑談的コミュニケーションを取り入れましょう。
日常的な“対話”の積み重ねは、現場の異変を早期にキャッチするアンテナになり、メンバー同士の心理的安全性を高める基盤にもなります。
PDCAサイクルを「チーム単位」で運用する
製造現場では、従来個人でPDCA(計画・実行・評価・改善)を意識させる指導方法が目立ってきました。
しかしより実践的には、職場単位(小集団やチーム単位)で定期的に自分たちの活動を振り返る仕組みを作るのが効果的です。
小さな改善活動やQCサークル活動も、このフローに組み込みましょう。
たとえば、「今月の成果と反省点を全員発表→来月に向けて自分たちで新しい目標を決定」というサイクルを、現場リーダー主体で回すだけでも、自律性や達成意欲がグンと高まります。
多能工化とローテーションで「主体性」を引き出す
一人ひとりのスキルをできるだけ多くの工程に広げ、多能工化(多工程習得)を推進することで、その人なりの“得意”や“強み”が浮かび上がります。
これにあわせてローテーションを設け、適性や意欲に合わせて工場の複数セクションを経験させましょう。
現場の多能工化は、人材の定着や障害時のリスク分散だけでなく、「自分は工場にとって価値のある人材だ」という主体性や自己肯定感を強め、結果的に目標達成へのモチベーションUPにつながります。
組織の階層ごとに異なるアプローチ法
現場リーダー・係長クラスの場合
現場を知る中核層であり、部下とも現場トップとも密に接点を持つ立場です。
この層は「言われたことを徹底する力」と「現場で発見した改善の芽をトップへ上げる橋渡し役」両方が求められます。
特に「ちょっとした仕掛け(可視化ツールや進捗ボード)」を現場で試してみる自由度を持たせ、成功体験を積ませることが有効です。
管理職・工場長クラスの場合
部下育成と目標達成の両立を「組織文化」「仕組み」として定着させる視点が必要です。
組織を横断するタスクフォースやプロジェクトチームを組成し、若手とベテラン、他部門の社員を適宜「混ぜて」複眼的な視点でプロジェクト推進を図ると、若手も巻き込んだダイナミズムが生まれます。
アナログ業界にも有効な“DX時代”の創造的チームマネジメント
今後、工場現場もIoT・AI・自動化設備の導入が急速に進むことは明らかです。
しかし、ただの効率化だけでは「独創性ある人材・改善力ある組織」にはなりません。
昭和的な現場感・暗黙知が根強い業界だからこそ、デジタルとアナログを融和させた“現場発DX”が求められます。
たとえば、現場帳票をデジタル化する際にも、現場の誰が・どんな用途で・どんな手間や気付きがあるかをメンバーと一緒に考え、カスタマイズして使いこなす運用が大切です。
これにより、「現場で必要な情報が瞬時に共有され、改善につながる」土壌が生まれ、創造的なマネジメントサイクルが回り始めます。
サプライヤー・バイヤー志望者こそ現場型マネジメントを学ぼう
部内外の調整役であるサプライヤー営業、または将来バイヤーを目指す方にとっても、この現場型チームマネジメントは非常に重要です。
なぜなら、サプライヤーは自社の生産能力や現場特有の制約を理解し、バイヤーの要望にどう応えるかを現場と対話しながら進める必要があります。
バイヤー志望者も、単なるコストダウン交渉力ではなく、現場視点で「どうすれば両社の生産性や品質、納期が高まるか」という課題を自律的かつチームで解決する経験を積むことで、唯一無二の調整力・説得力を磨くことができます。
まとめ:部下育成と目標達成の「両立」こそ、現場を進化させる要
製造業の現場において、部下育成と目標達成の両立は決して“二重苦”ではありません。
「日々の対話」「自律的人材の育成」「プロセスも評価する仕組み」——これらを組み合わせれば、個の成長とチーム目標が同時に実現できる“強い現場”が育ちます。
昭和の時代から続くアナログな現場文化も、デジタルの波と融合して今まさに生まれ変わろうとしています。
バイヤー・サプライヤー問わず、製造業界で働くすべての方が“現場型マネジメント力”を磨き、次世代のモノづくりを支えるリーダーへと成長していくことを、心より願っています。
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