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品質問題再発を防ぐ真因追究と仕組み化改善サイクル

目次
はじめに
日本の製造業は長年「高品質」を強みとしてきました。
しかし現場では、品質問題が繰り返される、いわゆる“再発”が後を絶ちません。
なぜ同じ失敗が何度も起きてしまうのでしょうか。
その背景には、表面的な原因分析で終わっている現状や、改善活動が現場に根付かず仕組み化されていない現実があります。
この記事では、品質問題再発防止のための「真因追究」と、「仕組み化による改善サイクルの構築」について、昭和からの日本の現場文化も振り返りながら、現場目線で深堀りして解説します。
品質問題の再発 “なぜ繰り返すのか” 解剖
表面的な原因追究になっている現場
品質問題が発生すると、多くの現場では「なぜ起きたか」を提出するレポートが求められます。
しかし実際には、納期や生産のプレッシャーから「現象」や「直接的な原因(直接原因)」のみを書類化し、表面的な対策に留まっていることがほとんどです。
たとえば、「作業手順の見落とし」「検査工程の手抜かり」などが挙げられがちですが、その裏にある“根本的な原因(真因)”までは踏み込めていません。
昭和の現場マインドと今のギャップ
一方で、昭和世代のベテラン職人は「カンコツ(勘と経験と度胸)が大事」「やればわかる」という精神が根強く、プロセスや標準化よりも個々人の力量・対応力に頼りがちです。
この風土が営業や生産、品質管理といった部門間の情報共有不足や「なぜなぜ分析」の形骸化に繋がっています。
デジタル化や標準化が叫ばれて久しい現在でも、こういった企業文化が“再発の温床”になっているのです。
発生源対策、拡大防止だけで終わる危険
不良や異常の第一報を受けた時、まず現場は「とにかくラインを止めたくない」本音を持ちます。
応急処置や暫定処置が優先され、「とりあえず動かす」「出荷は止めない」となりやすい。
これが「場当たり的な対応」→「同じミスがまた起きる」悪循環を生みます。
真因追究の“技” ~なぜなぜ分析の落とし穴と再発防止の本質
なぜなぜ分析を本当に使いこなせていますか?
有名な「なぜなぜ5回分析」は、単なる形式に走ると「なぜ?」の答えすら品薄になり、根本まで到達できません。
たとえば、「ミスが起きた」→「作業者の注意不足」→「なぜ?」→「眠かったから」など、個人の責任や精神論で止まってしまいがちです。
これでは組織的・構造的な真因、すなわち「仕組みの不備」や「工程設計」「教育体制」まで掘り下げられません。
“現場から離れない”真因追究の流れ
1. 現象の現物・現場・現実(3現主義)を確認する
2. 関連する部署/前後工程も巻き込む
3. ヒューマンエラーに着目しすぎず、仕組み・設計・標準にも原因を探る
4. “なぜ”の答えに抽象ワード(「指導不足」「未熟」など)が続くなら、さらに具体的に掘り下げる
5. 必ず「なぜ?」→「どういう状況で?」→「なぜそうなった?」を根掘り葉掘り尋ねる
現場での真因追究は、「作業者の目線」と「管理職の俯瞰」による“縦割りを超えた対話”がカギです。
昭和の現場マインドと、若手やDX世代の合理的志向の「橋渡し」も大切です。
再発防止策を“仕組み”として残す重要性
重要なのは、真因まで到達した対策を“個人の努力”で終わらせず、組織や業務フロー、仕組みに組み込むことです。
たとえば「ミスをしないよう注意徹底します」で終わらず、“二重チェックの義務化”や“自動検知センサーの導入”“教育手順の見直し”など「仕組みとしての再発防止策」へ落とし込まなくては意味がありません。
そして、その継続有効性を定期点検し、更新するサイクルも必要です。
アナログ文化の壁をどう突破するか?現場の実態と革新のヒント
紙・FAX・人海戦術が根付く現場のリアル
日本の多くの生産現場では、今なお紙の日報やFAXによる指示伝達、電話での口頭報告が根強く残っています。
データ収集が手書き、標準手順書も担当者の頭の中にしか存在しないことも珍しくありません。
「これまでも問題なくやってきた」というマインドが、根強い品質問題の再発に繋がっているとも言えるでしょう。
昭和的現場の強みと弱点を再評価する
とはいえ、「現物主義」「現場主義」「異変に即応する感性」など、昭和文化には効率化一辺倒のDX時代には失われがちな“現場感覚”が根付いています。
強みを活かしつつ、業務の見える化・デジタル化への抵抗をどう乗り越えるか。
それが、再発防止力の底上げに不可欠です。
業界動向:強まる品質要求と取引リスク
グローバル調達化、海外取引の拡大、消費者の「安心・安全」志向の高まりで、一次サプライヤーにも“徹底したトレーサビリティ”や“再発防止策のレベルアップ”が求められています。
大手自動車業界の「仕組み単位の是正要求(システム改訂型の再発防止対策)」や、航空・医療分野の「再発ゼロ保証」など、バイヤー側の品質要求は年々厳しくなっています。
「現場で人ががんばっているから大丈夫」という時代ではもはやありません。
実例に学ぶ“仕組み化”による再発防止サイクル
1. トラブル原因を“プロセスに埋め込む”仕組み化の事例
例えば、ネジ締め不良の再発が多発した電子部品工場では、作業員への“注意喚起の強調”だけで済ませていました。
真因を掘ると、「トルク管理が作業員任せ」「トルクレンチの点検表が紙で紛失多発」「指導内容が人ごとにバラバラ」など、仕組み不備が露見。
最終的に、
・デジタル管理によるトルクレンチの自動校正通知
・作業員の教育シナリオとシートを標準化・統一
・作業現場ごとに“ミス防止の簡易ポカヨケ(装着ミスを物理的に防ぐ治具)”を導入
こうした「ヒトに頼らない仕組み化」で、数年単位の不良削減につなげています。
2. 情報共有と定常点検の仕組み構築
多くの品質問題は、仕組みが一度“形だけ”できても、メンテ・点検が疎かになり風化・形骸化することにあります。
ある工場では、毎月「品質問題&未然防止」テーマのカイゼン会議を設け、現場リーダー・スタッフ・改善担当が集まり、「発生事例→真因分析→仕組み再確認&対応策」を議論し、対策が現場に“本当に根付いているか”を点検する仕組み化を行っています。
この「サイクル型カイゼン活動」によって、口先だけ・書類だけの抜け漏れを埋めています。
3. バイヤー・サプライヤー横断の再発防止サイクル強化
品質問題の再発には、系列間・サプライヤーチェーン全体の仕組みミスも隠れています。
例えば、ある自動車部品メーカーでは、部品メーカーとバイヤー企業が合同で「なぜなぜ分析・仕組み点検」「工程監査」を実施。
バイヤー側からも「設計変更が伝わっていなかった」「工程能力の限界を考慮しないスケジュールが根本原因」など、現場以外の真因が見えてきたことで、全社レベルの再発防止が進みました。
品質問題再発防止サイクル ~仕組みで未来を創るために~
1. 現象発生 → 早期発見・通報
現場主義を活かし、異常の初動をいかに早く察知・通報できるか。
IoTやAI画像検査など“DXツール”の活用も進めましょう。
2. 真因追究(なぜなぜ分析+チーム討議)
管理職・現場リーダー・各工程担当・時にバイヤーも参画した「横断的なチーム」で真因追究を徹底すること。
ここには、忖度や前例主義を排し、「事実ベース」で議論できる文化づくりが不可欠です。
3. 仕組み化・標準化(デジタル・マニュアルv.2化)
現場に根付く標準手順のアップデート、教育・点検のデジタル化など、「人に頼らず仕組みでミスを防ぐ」アプローチを最優先に置きます。
4. 点検&改善サイクルの“定期運用”
「一度作った仕組みも風化する」ことを前提に、定期的な確認・点検サイクル(PDCA)を組織的に根付かせます。
まとめ ~未来への“品質文化”を創るには
品質問題の再発を防止するには、昭和から続く“人頼み・現場任せ”の文化を一歩乗り越え、真因追究を進化させ、“仕組みでミスを潰す”改善サイクルを実現することが何よりも重要です。
デジタル化と現場主義を両立し、個人依存から全体最適・横断型管理への転換に抵抗せず取り組んでいきましょう。
“誰のせい”ではなく“何が問題か”“どう仕組みに落とし込むか”へ。
現場・バイヤー・サプライヤー・管理者それぞれが品質再発ゼロの循環を支え合う新しい時代のものづくり文化を作りましょう。
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