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行動規範の現地適用で監査準備のムダをなくすサプライヤ連携

目次
はじめに:今、なぜ行動規範の現地適用が求められるのか
製造業の現場では、サプライチェーン全体のガバナンスが強く問われる時代になりました。
グローバル化によって、調達先や生産拠点が多様化する一方、各国・各地域ごとに異なる法規制や商慣習、多様な文化への配慮も同時に求められています。
その象徴的な取組が、サプライヤーに対する「行動規範(Code of Conduct)」の策定と運用です。
しかし、「本社主導で一律に押し付ける行動規範」では、まさに昭和から続く「お仕着せ・チェックリスト型監査」から抜け出せません。
現場レベルでの実践的な現地適用が、いっそう重要になってきました。
メーカーとサプライヤーが本質的に信頼し合い、ムダな監査業務を効率化していくには、現地現物主義を核とした「連携」の仕組み化こそが鍵を握っています。
今回は、20年以上の製造業現場経験を踏まえ、行動規範の現地適用で監査準備のムダをなくすためのサプライヤー連携について、実践的な視点で解説します。
行動規範(Code of Conduct)とは何か? その意義と現場課題
グローバルサプライチェーンにおける行動規範の潮流
行動規範は、英語で「Code of Conduct」、すなわち事業活動に関わる全てのプレイヤー(企業、スタッフ、取引先等)が遵守すべき行動基準を規定したものです。
多くの大手メーカーでは、
- 労働人権の尊重(チャイルドレイバーの排除など)
- 健康・安全・環境保全
- 公正な取引・腐敗防止
- 品質基準の遵守
などをベースに、自社グループだけでなくサプライヤーにも遵守を求めています。
これには、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGsの潮流が大きく影響しています。
現場でよくある「ムダな監査準備」「アナログ手続き」
多くのサプライヤーは、原材料・部品を納入する度に、「行動規範監査」を受けることになります。
しかし実際には、「書類の山」を求められるばかりで
- 本質的でない証憑・エビデンスの整理に追われる
- 現場担当者が本来業務を後回しにして監査対応に費やす
- 監査準備は毎回「手作業」や「紙文化」が残存
- 監査そのものが形骸化し、不正の温床にもなりうる
など、現場と経営・統制側の間に大きな温度差が生まれています。
この温度差を解消するには、表層的で一律な仕組みから脱却し、「現地現物を基礎とした、サプライヤー個別の現地適用」が不可欠となります。
行動規範の現地適用:本社主導の「お仕着せ」から現場主導へ
なぜ一律の標準化だけではムダが増えるのか
大手メーカーでは、本社の法務・監査部門がグローバル標準を策定し、全サプライヤーに同一フォーマットで展開しているケースが多々あります。
しかし、現地現物主義の観点では
- 国・地域ごとの法規制の違い
- 企業規模や現場状況
- 成熟度や管理レベル
など、各サプライヤーの個別事情を無視して、形式的なチェック項目だけが増えていく傾向にあります。
この一律主義こそが、「ムダな監査準備」「本質的でない書類業務」「現場負担増加」の元凶です。
現場起点でつくる「現地適用型 行動規範」とは
現地適用型とは、「グローバルスタンダードを軸としつつも、実際の現場状況や現地リスクに即して運用する」考え方です。
たとえば
- 現地の法規制や業界慣行に即した義務・基準の再整理
- 現場で実効性のあるチェックリストの作成
- 現場の声を反映した改善サイクルの導入
といった具合です。
特に中小サプライヤーでは、リソースも限られているため、「現場に合った形」に仕様を調整することで、形骸化や過剰負担の防止に繋がります。
監査準備のムダをなくす現実的なサプライヤ連携の進め方
1. 事前コミュニケーションの徹底:部署間・企業間の壁をなくす
調達担当者とサプライヤー担当者が定期的なミーティングや勉強会を設け、行動規範の狙い・エビデンスの基準・監査の目的など、本音で意見をすり合わせる機会を設けます。
この場では、「何がムダか」「本来の監査の意義は何か」「お互いに納得できる最小限の負担に落とせるか」を議論します。
本社主導のお仕着せから、現場担当者の主体的な関与が大きく影響をもたらします。
2. デジタル化によるエビデンス共有:紙文化の脱却
依然として「紙の管理台帳」「手書きチェックリスト」が監査資料として使われている企業が多いのが現状です。
デジタル化を進め、写真や電子ファイルでエビデンスを共有できれば、「書類整理」のムダ時間が大幅に削減できます。
AI-OCRなどのツールを活用して、「現物×デジタル証憑」のセットで素早く対応できる仕組みも検討しましょう。
3. 段階的な適用と、現場改善サイクル(PDCA)の確立
いきなり100%完璧な対応を目指す必要はありません。
まずは主要ポイントに絞って運用し、改善点は定期レビューの場でPDCAを回しながら現場にあった最善解を積み上げていくことが大切です。
監査で発見した「ムダな手順」は、すぐに改善案・省力化策として現場にフィードバックし、次回監査時に「廃止できること・省略できること」を事前合意しておくと効果的です。
4. 監査の共通化・相互認証の活用
取引先によって異なる監査ルールが乱立すると、サプライヤーの現場は都度対応に追われます。
そこで近年増えているのが、「業界標準の監査プログラム(例:RBA監査など)」や、「大手メーカー数社で相互認証を実施」し、重複対応を減らしていく取組です。
本質は、「なぜやるのか」という目的一本化と、サプライヤーとメーカー双方が最小負担でガバナンスを強化することにあります。
知っておきたい、昭和型アナログ調達が抱える根深い問題と未来像
旧態依然とした監査手法が引き起こすリスク
「昔からのやり方が一番安全」「紙で残しておかないと不安」という意識は、依然として製造現場や調達・監査の管理層に根強く残っています。
このようなアナログ主義は
- 業務の属人化・ブラックボックス化
- 現場の疲弊と形骸化
- 最新社会要請・外部監査に対応できないリスク
を生みやすくなります。
施行猶予後には、多くの外部ステークホルダー(投資家、グローバル大手、消費者)から厳しい目が向けられ、商機損失や取引停止のリスクも現実味を帯びてきました。
これからの理想形は「協働型・パートナーシップ重視」の仕組みへ
先進的なメーカーでは、サプライヤーを「規制すべき対象」ではなく「共に価値をつくるパートナー」と見なす価値観が急速に拡大しています。
実際に、調達・品質・生産技術など複数部門をまたぎ、現場を巻き込んだ「協働型プロジェクト」を多数発足させています。
これは、現場発の連携こそが、「単なるコンプライアンス遵守」に留まらない、本当のサプライチェーン強靭化につながるのです。
現場目線で考える、バイヤーとサプライヤーの理想的な連携像
バイヤー(調達側)の視点:選定理由を明確に伝える
サプライヤーに行動規範適用を求める際、本当の目的(リスク管理、顧客要求、自社のガバナンス方針など)を丁寧に説明し、押し付けでない「納得感ある連携」を目指しましょう。
現場訪問や合同ミーティングを活用し、「現地の実状」と「本社の要請」の橋渡し役を果たす調整力が不可欠です。
サプライヤー側の視点:現場課題を率直に伝え改善ポイントを提案
「この項目は現場では不要」「このエビデンスは電子化で運用可能」といった現場目線の課題と解決策を具体的に働きかけましょう。
現場担当者同士の信頼関係があれば、「監査負担削減=本来業務への集中」という好循環が生まれます。
両者の「知見と教訓」を交換しあうことが現代のサプライチェーン競争力
現場に根付く連携事例や効果的な監査手法は、両者がオープンに知見を共有することで進化します。
競争から協調へ、そして 現地現物主義による監査適用の合理化の運動は、今まさに始まったばかりです。
まとめ:行動規範の現地適用で監査準備のムダをなくすために
製造業のサプライチェーンが世界中に広がる今、行動規範の徹底と、それを「現地現場」に即した形で運用していく取組が、グローバル競争力を左右し始めています。
本社主導の一律監査や昭和流のアナログ手続きから脱却し、現場目線での現地適用、属人化の排除、デジタル化、パートナーシップを推進することが、これからの勝ち筋です。
バイヤー・サプライヤーの双方が「協働」と「信頼」の土壌を築き、ムダな監査準備やエビデンス作成を減らすことで、本来の競争力強化=真の価値創出にリソースを集中できるのです。
現場の知恵を活かし、行動規範を「現実の強みに転換」するサプライヤー連携――これが製造業現場に求められる新たな地平線です。
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