投稿日:2025年11月28日

OEMアウターのトレンドを捉えるための展示会リサーチ術

はじめに:製造業の現場から考えるOEMアウターの今

OEMアウター業界は、時代の流れや消費者ニーズの変化を敏感に感じ取りながら、柔軟かつ迅速に対応する必要があります。
しかし現場では、依然としてアナログな情報収集や人脈頼みの商談が主流となっている企業も多いのが実情です。
そんな中、OEMアウターの最前線でトレンドをいち早く読み取り、プロとして成果を出すためには「展示会のリサーチ力」が不可欠です。
今回は、大手製造業で20年以上身を置いた経験から、現場目線かつ戦略的な展示会リサーチのコツを伝授します。

なぜ今、OEMアウターの展示会リサーチが重要なのか

OEMアウター市場の変化

コロナ禍を経た消費者意識の変化、SDGsへの関心、新素材・新技術の登場など、OEMアウター市場はここ数年で大きな転換期を迎えています。
加えてファッション業界では、短サイクルでの商品開発やコラボレーション案件が急増し、現場には「一歩先を読む視点」が求められています。

ネット情報だけでは差別化できない

SNSやWEBメディアによる情報収集が主流となった今ですが、OEMビジネスでは”生きた情報”や現場の空気を読む力が欠かせません。
展示会には、そうしたリアルなトレンドや競合他社の取り組み、未公開技術・新素材との出会いが詰まっています。
また、直接仕入先やバイヤーと顔を合わせることでネットワーク強化や信頼構築にもつながるのです。

展示会で押さえるべきOEMアウターのトレンドとは

1.サステナビリティ×機能性素材が主流に

アパレル全体でサステナブル素材への切り替えが進む中、OEMアウター業界でもリサイクルポリエステルやバイオ由来素材の採用が増加しています。
また、撥水・防風・保温・軽量といった機能性を兼ね備えた素材開発も目立ってきました。
単なる「高機能」だけでなく「環境配慮」との両立が、OEM提案では強い差別化ポイントになりつつあります。

2.パーソナライズ需要への対応力

アウターにも個性やおしゃれ感を求める消費者が増え、小ロット生産やカスタマイズ受注の要望が高まっています。
そのため、展示会で「カスタマイゼーション技術」や「短納期対応力」を持つサプライヤーに注目する動きがあります。

3.用途特化型アウターの拡大

ワークウェア、アウトドアスポーツ、通勤向けハイスペックなど、用途に特化したアウター展開が拡大しています。
ターゲットごとにデザイン・機能・素材の提案を細かく切り替えていくマルチブランド型OEMも登場しており、競争が激化しています。

実践的「展示会リサーチ術」5つのステップ

1.事前準備は「明確な課題設定」から

展示会は情報が過剰で、意識しないと漫然と歩くだけで終わってしまいます。
自社の現在地(どの分野が伸び悩んでいるか/どんな技術が不足しているか)や、今季・来季のトレンド予測、必要なスペック、コスト目標などを事前に明文化しましょう。
課題をリストアップし、「今回の展示会で何を得たいのか」を明確にしておくことが肝心です。

2.注目企業とブースをリスト化し、事前アポも検討

展示会の公式サイトや出展企業リストから、注目すべき企業・ブース・技術をピックアップします。
比較したい競合他社や、特定の技術を持つメーカーがあれば優先順位順にリスト化しましょう。
可能であれば、気になる企業へ事前に連絡しておき、現地で商談の場を設けることで深い収穫が得られます。

3.現場では「見せ方」も必ずチェック

各社はプロモーションや展示の”見せ方”にも工夫を凝らしています。
新素材のタッチ&フィール、着用感のデモ、防汚・撥水などのパフォーマンス比較、実際の製造現場の動画紹介など、リアルな訴求ポイントを意識して観察しましょう。
同時に自社ブースの参考や商談ツールのヒントにもなります。

4.商談・質問で「課題解決力」を見抜く

商談では「最新トレンドの対応可否」「短納期の仕組み化」「トラブル発生時の体制」「品質保証の考え方」といった現場で直面しやすい課題について、深くヒアリングしましょう。
OEMバイヤーの場合は「サプライヤーとしての提案力」「自社との相性」「安定生産とリスク管理体制」についても必ず確認することが重要です。

5.展示会後の情報整理と次のアクション

展示会で得た名刺やカタログ、メモをすぐに整理し、自社の課題リストと照らし合わせて分析しましょう。
気になる企業と再度web商談を設定する、サンプル依頼や試作を進めるなど、展示会後のアクションを迅速に実行することで案件化のチャンスがぐっと広がります。

アナログ業界の壁を乗り越えるための提案

昭和のやり方の限界と、現場DXの重要性

多くの工場・メーカーでは、いまだFAXや紙による情報共有、電話でのアナログ調整が当たり前になっています。
しかし、OEMビジネスでは”スピード命”の時代を迎えています。
展示会をきっかけに「現場主導の情報DX」(サプライチェーンのデジタル化、進捗可視化ツールの活用、製造リードタイム短縮のデータ連携)を積極的に進めることが、競争力の源泉となります。

若手バイヤー・サプライヤーへのメッセージ

業界歴が浅い方や次世代バイヤーの皆さんには、ぜひ「現場感覚」と「最新トレンド情報」の両輪を大切にしてほしいです。
現場での失敗や課題を恥じずに学びに転換し、展示会など外部刺激を積極的に取り込むことで、時代に合った問題解決力を身につけてください。

まとめ:展示会リサーチで開く、OEMアウターの新たな地平線

OEMアウターのトレンドを的確に捉え、次の一手を打つためには「展示会リサーチ」が最短で最大の情報収集手段になります。
単なる”流行のおさらい”ではなく、「どんな視点で新しいものを見つけるか」「自社の課題解決にどうつなげるか」を意識することが重要です。
製造業の現場に根ざした”リアリティ”と、デジタル時代のトレンド視点を織り交ぜながら、これからのOEMアウター開発・調達に挑戦していきましょう。

皆様の現場での新たな気づきと成長が、業界全体の底上げにつながることを心から願っています。

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