投稿日:2024年12月30日

EXCELマトリックス関数を利用した有限要素法計算 実習

はじめに

有限要素法(FEM)は、工業製品の設計や分析において非常に重要な手法です。
この方法を利用することで、複雑な構造や材料の挙動を数値解析することが可能となります。
しかし、専門的なソフトウェアを使用せずにFEMを実践することは、初めての方にとってハードルが高いと感じるかもしれません。
そこで、今回はEXCELのマトリックス関数を利用して有限要素法の基礎を実習する方法について解説します。
EXCELを用いることで、手軽に手計算の煩雑さを軽減し、FEMの基本的な考え方を学ぶことができます。

有限要素法の基本概念

有限要素法とは

有限要素法とは、複雑な物理問題をより単純な要素に分割し、個別に解析することで全体の挙動を予測する手法です。
この方法は、構造解析、熱解析、流体解析など多岐にわたる分野で使用されています。

要素の分割

FEMでは、構造物を小さな「要素」に分け、それぞれを結びつける形で問題を解決します。
例えば、2次元の問題であれば三角形や四角形の要素、3次元であれば四面体や六面体の要素を使用します。

解析過程の概要

FEMの解析は一般に以下のステップに分けられます。
まず、モデルのジオメトリを分割しメッシュを生成します。
その後、各要素に対して方程式を立て、境界条件を設定します。
最後に、これらの情報をもとにグローバルな方程式を構築し、数値的に解きます。

EXCELでの有限要素法実習

EXCELの利便性

EXCELは、多くのビジネスシーンで活用される表計算ソフトであり、その数値計算能力を活かして様々な計算を行うことができます。
特にマトリックス関数は、FEMで頻繁に使われる行列計算を手軽に行うのに非常に便利です。

マトリックス関数の利用方法

EXCELには、行列を扱うための関数がいくつか用意されています。
例えば、行列の積を計算する`MMULT`関数や、逆行列を求める`MINVERSE`関数などがあります。
これらの関数を使用して有限要素法の解析に必要な計算を行っていきます。

有限要素法計算の流れ

1. **メッシュの設定**: 解析対象をシンプルな形状に分割し、それぞれの要素について情報を整理します。
2. **要素行列の作成**: 各要素について、材料特性や形状から行列を作成します。EXCELで行う場合、この部分がマトリックス関数の活用場面となります。
3. **グローバル行列の組み立て**: 各要素の行列を統合して全体のシステム行列を構築します。
4. **境界条件の適用**: 知っている条件(支点や荷重など)を反映させます。
5. **システムの解決**: 最終的な方程式を解き、変位や応力を求めます。

具体例を用いた操作手順

ここでは、簡単なトラス構造を例に取り、EXCELで有限要素解析を行う手順を示します。
まず、トラスをいくつかの桁に分け、それぞれの長さ、角度、材料特性を設定します。

要素行列の算出

各要素の剛性行列を計算します。
例えば、バー要素の場合、次のような2×2の行列が一般的です。
この行列をEXCELのシートに入力し、`MMULT`関数を使用して行列積を計算します。

全体行列の組み立て

各要素から得られた行列を統合し、システム全体の行列を形成します。
このとき、要素の接続関係に基づいて、行列の該当部分を適切に配置します。

境界条件の適用

例えば、支点が固定されている場合には対応する行列の行と列を変更します。
具体的には、支点における自由度を減らすか、十分に大きな値を代入して変位が生じないように考慮します。

結果の解釈

最終的な変位や応力の分布を計算し、EXCELのグラフ機能を利用して結果を視覚化します。
これにより、モデルのどこに力が集中しているのか、どの部分が最も変形しているのかを確認できます。

実習から得られるメリット

手軽に始められる

専用ソフトウェアに比べ、EXCELは広く普及しており手に入りやすいです。
そのため、FEMの基礎を学ぶのに適しています。
また、EXCELの関数を活用することで、プログラミング経験がなくても解析を行うことが可能です。

システムの理解が深まる

自分で設定して計算を行うことで、各ステップの意味や計算過程を深く理解することができます。
この経験は、後に専用ソフトを使う際にも役立ちます。

コストの削減

FEMの専用ソフトウェアは高価であることが多いですが、EXCELを用いることで初期コストを抑えつつ解析技術を学ぶことができます。

まとめ

有限要素法は、複雑な工業製品の設計において非常に有用なツールです。
EXCELを用いて基本的な解析を行うことで、手軽に有限要素法の基礎を学ぶことができます。
今回紹介した実習の手順をもとに、小規模な問題から始めてFEMの理解を深めていくことが重要です。

限られたリソースの中で最大限のアウトプットを求める現代の製造業において、こうした基礎的な技術の積み重ねが製品の品質向上やコスト削減につながります。
EXCELという身近なツールを上手に活用して、ぜひFEMのスキルを身につけてください。

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