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濾過機用フィルターエレメント部材の製法と目詰まりリスクの関係

目次
濾過機用フィルターエレメントとは――製造現場に不可欠な存在
濾過機用フィルターエレメントは、工場の生産ラインや各種プラントにおいて異物除去や流体の清浄化に不可欠なパーツです。
製造業の「縁の下の力持ち」として、液体・気体を問わず様々な異物除去工程で活躍しています。
特に、機械の摩耗防止・製品の品質安定、さらには環境対策の一環としても大きな役割を担っています。
しかし、フィルターエレメントは「ただの消耗品」「目詰まりしたら交換すればよい」という従来の考え方だけで運用していると、大きな損失やトラブルの原因となりかねません。
なぜなら、フィルターエレメントの部材製法や構造・選択ミスによる”目詰まり”は、生産効率の低下や突発的なライン停止リスクを孕んでいるからです。
本記事では、濾過機用フィルターエレメント部材の主要な製法と、それぞれに潜む目詰まりリスクの違い、そして調達や現場管理の観点から知っておくべきポイントを、20年以上の現場経験を生かした実践的な視点で掘り下げていきます。
フィルターエレメントの部材別・主要製法
フィルターエレメントの性能やコスト、そして目詰まりリスクを大きく左右するのが「ろ材」と呼ばれる主材料と、その製法です。
ろ材の選択とその加工技術は、今なお多くの製造業現場で”感覚任せ”にされがちですが、デジタル化が進む令和の製造業こそ、根拠ある選定眼が求められています。
ろ紙(セルロース系・合成繊維系)
ろ紙は、最もスタンダードなフィルターろ材です。
パルプを主体にポリエステルなどの化学繊維を混抄し薄いシート状に加工しており、優れたろ過精度が得られます。
近年ではナノレベルのミクロファイバー技術や、表面改質処理により微細な粒子回収も可能になりました。
しかしながら、ろ紙フィルターは繊維間隙に粒子が次第に堆積する「表面ろ過」タイプが多く、装置運用の現場では定期的なパルス洗浄やエアブローが難しい場合、目詰まりによる圧力損失上昇が避けられません。
特に、昭和から連綿と続くアナログ現場では「ろ紙は安いから目詰まりしたら交換」が常識となっており、フィルターの設計寿命を”現場勘”で決めてしまう傾向が強い点がリスクです。
金属焼結体(焼結ステンレス・ブロンズ他)
金属粉を成形し高温で焼結した金属ろ材は、耐薬品性・耐熱性・強度に優れることからハイエンドな現場で多用されます。
微細な多孔体構造を持ち、洗浄再生も可能なため一部設備ではリユーザブルフィルターとして重宝されています。
金属焼結体の目詰まりリスクは、異物が粒子径レベルでフィルター孔を閉塞する「内部ろ過」型が多い点が特徴です。
メンテナンス計画と再生条件の設定が不十分だと、目に見えないうちに透過流量が低下し、生産遅延や異常加圧を招く場合もあります。
また、調達・品質管理の現場では、焼結工程の品質バラつきによる孔径不均一が圧損や寿命バラつきの原因となるため、信頼できるサプライヤー選定が肝となります。
樹脂(不織布・メンブレン)
ポリプロピレンやナイロンなど、樹脂系素材をスパンボンドやメルトブロー、またはメンブレン(TIPS、SIPSなど)の製法で加工したフィルターが現代の主流です。
微細な繊維径や、層構造の工夫で精密ろ過に適応できるのがメリットです。
樹脂ろ材の目詰まりは、粒子の捕捉性能と孔径の精密さのトレードオフによって異なります。
高精度を狙って微小孔に振るほど、目詰まりは加速度的に早まります。
また、静電気や樹脂表面への吸着による突発的な一斉目詰まり(ケーキング)にも注意が必要です。
ラインの種類や対象物質によっては「コスト重視型」と「性能重視型」とで設計が真逆になるため、バイヤーとサプライヤーの間に齟齬が生まれやすいのが現場のリアルです。
意外と知られていない“目詰まり”の本質とリスク
濾過機フィルターの目詰まりは、「流量が落ちた」「圧損アラームが鳴った」など、定量的兆候でようやく現場が認知するものが一般的です。
ですが、その背後にはさらに深いイシューがあります。
目詰まりの「様態」はろ材製法によって根本的に異なる
– ろ紙や樹脂不織布は、表面に粒子が層状に堆積する「ケーキ形成」による急激な目詰まりが起こりがちです。
運転初期のヌケは良いが、突然の圧損増大やフィルター破損・バイパス発生リスクも高いです。
– 金属焼結や多孔性セラミックは、内部への粒子侵入による徐々な目詰まり型が主流です。
流量減少に気づきにくいため、事前警告や予防メンテナンスが重要になります。
– メンブレンフィルターでは、表面にラージ異物が堆積するよりも、粒子の内部浸透+表面吸着により早期閉塞が発生します。
「思ったより持たない」現場の声も少なくありません。
“目詰まり”による損失コストは想像以上
フィルターの突然死(急な目詰まり)は、バックアップ設備やバイパスラインを持たない現場では「即・生産停止」となり、膨大な機会損失を生み出します。
また、目詰まり寸前まで「粘って運転」する現場運用は、異物のバイパス混入や品質トラブルの温床です。
昭和的な感覚のまま「運転しきったら交換」のスタンスは、今やコスト面でも品質面でも大きなリスクとなっています。
調達購買・バイヤー視点での重要チェックポイント
フィルターエレメントは、その用途・現場特性・予算に応じた選定が不可欠ですが、調達購買の現場では「従来通りの型番踏襲」「価格交渉優先」に終始しやすいのも事実です。
ベテラン現場出身者として、購買やサプライヤー選定時に押さえておきたい視点を解説します。
(1) 基本スペックだけでなく、部材製法・孔径データを確認
単に「5μmフィルター」「PP製で十分」と画一的に考えるのではなく、使用するろ材の製法や実孔径の分布(平均・最小・最大)をカタログか現物データで入手しましょう。
公称(ノミナル)値だけでなく、絶対(アブソリュート)値、±表記のバラつきにも注目です。
(2) サプライヤーの製法・検査体制・再現性を見極める
フィルターの目詰まり特性は、同じ型番であってもロット間・メーカー間で大きく異なる場合があります。
サプライヤーの焼結・抄造・スパンボンド技術力、社内検査(水圧・気密)体制、トレーサビリティの充実度が重要です。
不具合時の問い合わせ対応力も比較材料となります。
(3) “目詰まり検証”の実機テストまたはサンプル提供の活用
新素材・新メーカ採用時は、必ず実機での寿命評価・目詰まり挙動試験を実施しましょう。
机上検討のみで導入すると「持たない」「流量不足」「頻繁な交換が必要」などのトラブルを招きがちです。
また、サプライヤーによってはサンプル・トライアル品の無償提供も行っているため、購買の交渉余地となります。
(4) トータルコスト視点での”目詰まり損失”も含めた比較
イニシャルコストだけではなく、交換頻度・寿命保証・目詰まり由来の損失(生産停止リスク、異物混入リスク)等も加味しましょう。
”安かろう悪かろう”の選択が後々大きな損失に直結する場合も多いため注意が必要です。
サプライヤーにも求められる“バイヤー目線”での技術提案
サプライヤーの立場からも、バイヤーの本音を把握しつつ相手のニーズ(コスト・寿命・安定供給)を技術で提案できるかが差別化ポイントとなります。
例えば、従来のろ紙を多層構造樹脂タイプへ提案転換し”目詰まり寿命2倍”を訴求する、フィルター再生型設備の導入を共同検討してランニングコスト低減をアピールするなど、現場の課題起点での付加価値創出が今やサプライヤーにも不可欠です。
また、フィルター材質や加工法の変更による生産設備上のリスク評価・検証(ケミカルアタックや物理的ストレス等)の情報提供も、信頼度アップに直結します。
目詰まりとどう向き合うか――ラテラルシンキングでの“突破口”
フィルターの目詰まりを単なる消耗品トラブルとして片づけず、構造要因・運転状況・現場環境といった多面的視点で捉えることが、製造現場革新の第一歩です。
– 「微細粒子捕捉を追求」=目詰まり寿命短縮を受け入れるだけでなく、プリフィルター多段階化やパルス洗浄技術導入といった運転条件そのものの見直し、
– 複合素材やケミカルコーティングの適用による長寿命化等、視点を広げることで”型番通りではない最適解”が見つかる可能性が高まります。
失敗を恐れず、バイヤー・サプライヤー・現場作業者が水平連携し、データと現場の声を元にフィルターを「攻めのツール」として再設計していく。
それが、昭和から令和への現場進化の近道だと私は確信します。
まとめ:フィルター選定・運用は「現場目線×ラテラルシンキング」で進化する
濾過機用フィルターエレメント部材の製法と目詰まりリスクは、単なる材料や価格差だけでは語れない”現場活用”の現実があります。
製造業の真価は、こうした細部の設計・運用に現れます。
バイヤー志望者も、サプライヤー担当者も、自社現場の特性・リスクを深く理解し、それぞれの製法起点でリスクマネジメントとコストパフォーマンスを両立させる視点を養いましょう。
現場から得たノウハウや失敗こそ、次世代製造業の進化の原動力です。
皆様の現場に、ラテラルな視点と実践的な知見が根付く契機となれば幸いです。
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