投稿日:2024年11月13日

FTA活用とそのメリット 購買部門が考慮すべき実務対応

FTAとは何か?

FTAとは、Free Trade Agreement(自由貿易協定)の略称で、二国間または多国間で取り決められる貿易の枠組みです。
関税の削減や撤廃、貿易障壁の低減を目的として締結されます。
これにより、加盟国間の貿易が活発になり、経済成長を促進する効果があります。

FTAでは通常、関税だけでなく、規制の調整や投資、サービス取引の自由化など幅広い分野がカバーされます。
地域のFTAとしてはEU、NAFTA、ASEANなどが知られており、日本も多くの国々とFTAを締結しています。
これらの協定が設立されることで、企業は貿易の機会を増やし、コストの削減を図ることができます。

FTAの購買部門への影響

FTAがもたらす最大のメリットは、関税の引き下げですが、これにより企業の購買活動にはいくつかの影響が出てきます。
購買部門はFTAの活用によって、材料や部品の輸入コストを削減することが可能になります。
これは直接的なコスト削減に結びつくため、製品価格の競争力を高める要因となります。

また、FTAによる貿易の自由化は輸入先の拡大をもたらし、購買部門が取引できるサプライヤーの選択肢を広げます。
これにより、質の高い製品をより安く、迅速に調達できる可能性が増します。

さらに、FTAを利用することで得られる関税優遇措置は、企業が特定の原産地の基準を満たしていることを示すために、サプライチェーン上の証明作業が必要になります。
これによって、購買部門はサプライヤーと密に連携し、製品の原産地証明を確実に取得する必要があります。

FTA活用による具体的なメリット

FTAを利用することにより、購買部門には以下の具体的なメリットがあります。

1. **コスト削減効果**:
FTAを活用することで、関税の削減や免除が可能になります。
結果として、輸入コストを直接的にカットでき、製品の価格設定に有利に働きます。

2. **新市場開拓**:
FTAの存在が新たな市場への参入障壁を低くするため、購買部門はさまざまなサプライヤーからの供給を検討できるようになります。
その結果、より高品質で競争力のある製品を調達できます。

3. **競争力の向上**:
原材料や部品のコスト削減により、最終製品の販売価格を抑えることが可能です。
これは競争力の向上につながり、市場での優位性の確立を助けます。

購買部門におけるFTA対応の実務

FTAを利用するために、購買部門は以下のような具体的な手順を踏む必要があります。

FTAに基づく原産地証明の取得

FTAを最大限に活用するには、原産地証明の取得が不可欠です。
原産地証明書はFTAが定める特定の基準を満たすことを証明するもので、FTAに基づく優遇措置を受けるための必須文書となります。
そのため、購買部門は製品の原材料や製造プロセスに関する詳細な情報をサプライヤーから入手し、適切な原産地証明を収集しなければなりません。

サプライチェーンの調整と教育

FTAを適用する上で重要なのは、サプライチェーン全体での調整と教育です。
購買部門はサプライヤー、物流業者、さらに社内の生産・品質管理部門と密に連携し、原産地証明の取得、関税削減の適用に関する情報を共有する必要があります。

また、従業員や関係者への継続的な教育が欠かせません。
これにより、FTAの理解を深め、いかなる変更にも柔軟に対応できる体制を構築します。

FTAのリスク管理

FTA活用においては、リスク管理も重要です。
例えば、FTAの規定は各国で異なるため、誤解や手続きのミスにより優遇措置が受けられなくなるリスクがあります。
したがって、購買部門は法律相談を行う、原産地証明の適正を確認する専門家を置く等の対策が必要です。

また、FTAの改正や新しい協定の締結にも注意を払い、常に最新の情報を入手することを心掛けましょう。

最新のFTA動向と購買部門への影響

近年、世界各国でのFTAの動きはますます活発化しています。
例えば、RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)は日本・中国・韓国を含むアジア太平洋地域の15カ国による協定で、世界のGDPの約30%を占めるとされています。
これにより、参加国間での貿易がより円滑になることで、購買部門はさらなるコスト削減と新規サプライヤーの開拓が期待できます。

また、米国や欧州連合とのFTAも引き続き注目されています。
特に、自動車や電子機器などの産業分野では、FTAによる関税削減が競争力に直結するため、各企業はこれを機に新たな購買戦略を構築する傾向にあります。

結論

FTAの活用は、購買部門にとって非常に重要な要素です。
関税削減やサプライチェーンの最適化、新市場開拓など、多くのメリットをもたらします。
しかし、そのためには原産地証明の取得、関係者との密な連携、FTAに関する最新情報の把握が求められます。

また、FTAを最大限有効にするための体制づくりやリスク管理も重要です。
これらを踏まえ、購買部門がFTAを活用することで、企業全体の競争力向上に大きく貢献できるでしょう。

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