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水処理技術の基礎と応用およびそのポイント

目次
はじめに:水処理技術の重要性と現場のリアル
水処理技術は、製造業の現場において絶対に無視できないプロセスの一つです。
私自身、工場長や調達購買、生産管理、品質管理と多くの現場を経験してきましたが、水処理に関する知識と配慮が、実は生産性や品質、働く人の安全まで大きく関わっていることを痛感してきました。
特に日本の製造現場は「昭和のやり方」から抜け出せず、今なお紙と手作業、そして職人の勘に頼る場面もしばしば見受けられます。
ですが、水処理技術は日進月歩で進化しており、正しく理解し応用することで、工場運営において大きな武器となります。
今回は現場のリアルな視点で、水処理技術の基礎と応用、最新の動向、そして押さえておきたいポイントを丁寧に解説します。
水処理技術の基礎を押さえる
なぜ水処理が製造業に必要なのか?
製造業の多くの工程で「水」は欠かせません。
たとえば部品洗浄、冷却、溶解、ボイラー用水、そして最終的な排水処理まで、多岐にわたって水が使われています。
もし適正な水処理がなされなければ、製品品質の低下、機械設備の寿命短縮、さらには環境汚染のリスクまで生じます。
例えば、ボイラー用水に不純物が多く含まれていると、スケール(堆積物)が発生し熱効率が落ちますし、配管腐食の原因にもなります。
特に最近は環境負荷低減が叫ばれ、排水基準への対応は年々厳しくなっています。
水処理の基本的なプロセス
水処理には大きく分けて「原水処理」「工程内循環水処理」「排水処理」の3つがあります。
1. 原水処理
工場に引き込む水は井戸水や水道水が多いですが、ここに含まれる鉄分やマンガン、硬度成分(カルシウム・マグネシウム)、有機物、微粒子などを除去します。
活性炭ろ過、砂ろ過、イオン交換、逆浸透膜(RO)などがよく使われます。
2. 工程内循環水処理
冷却水や洗浄水は循環して再利用することでコストダウンができますが、バクテリアの繁殖、錆やスライムの発生、スケール障害のコントロールなどが課題です。
バイオサイド添加や薬剤注入、ろ過システムなどきめ細かな管理が求められます。
3. 排水処理
工場から排出される水は法律に基づく排水基準をクリアしなければなりません。
一般的なプロセスとしては、油分分離、凝集沈殿処理、生物学的処理(活性汚泥法や膜分離法)、中和処理などが組み合わされます。
代表的な水処理技術・装置を知る
製造現場で多く採用されている装置や技術の一例を挙げます。
– 砂ろ過機
– 活性炭ろ過機
– 管理型逆浸透膜(RO)装置
– イオン交換樹脂ろ過器
– 油水分離槽
– 排水処理のための凝集沈殿槽・活性汚泥槽
– 膜分離活性汚泥法(MBR)
どの装置をどう組み合わせ、どこに注意すべきかは原水の性質、用途、排水の行先によって大きく変わります。
ここを見誤ると設備の無駄な投資、あるいは致命的なラインストップ、行政指導に至ります。
水処理の応用と現場で差が出るポイント
現場目線で押さえたい運転管理の勘所
最新鋭の設備があっても、管理の質で大きな差がつきます。
たとえばろ材の交換時期を勘や経験値だけで回している工場は、依然多く存在します。
水質データのトレンド把握や異常値の早期発見、薬品投入量の最適化は「デジタル化」「自動化」が進む今こそ見直すべきポイントです。
一方、センサーだけに頼りすぎると、突発的な機械故障や、菌や藻の異常発生に気づくのが遅れることも。
現場で水色やにおい、流速の微妙な変化をキャッチする「五感」も依然大切です。
「デジタル」と「アナログ」、双方のバランスを意識し、現場スタッフの教育にも力を入れましょう。
サステナビリティと水の3R
今日、水使用量の削減、排水リサイクル、ゼロエミッション化はメーカーの命題となっています。
たとえば、工程排水の膜処理により70%以上のリサイクル率を実現するといった事例も増えています。
ただし先進的な設備を入れても、「その運用をどう現場に落とし込むか」が成功と失敗の分かれ目です。
安易な「丸投げアウトソーシング」でなく、現場目線で省エネ、省人化、そして継続的改善(KAIZEN)を実現する体制が重要です。
サプライヤーとバイヤー双方に求められる視点
バイヤーには、全体最適(Total Optimization)の観点と、安易なコストダウンではなくLCC(ライフサイクルコスト)思考が必要です。
サプライヤー側も単なる「装置屋」にとどまらず、現場の困りごとを共に解決する「ソリューションパートナー」として動くと、他社との差別化に繋がります。
水処理薬品や設備の提案の際は、イニシャルコストだけでなくランニングコスト、人手や省エネ化の観点も事例データをつけて明示すると良いでしょう。
またバイヤーも、現場で日常的に使う人・メンテナンスする人の声に耳を傾けて導入検討に反映するのが大きなポイントです。
「カタログスペック通りにならない」「想定外の詰まりやトラブル」という現象は、実はコミュニケーション不足から生まれがちです。
良い取引関係とは、現場の声を起点にした技術的キャッチボールで築かれます。
昭和から抜け出せない現場の課題と新たな地平へ
アナログ業界にこそ求められる変革
未だに工場の多くで「属人化」「エクセル管理」「日報は紙」という姿が残っています。
これは手作業や職人技の否定ではありません。
むしろ、日本の現場力の強みは細やかな気配りや工夫(カイゼン)にあります。
しかし、同時に「数値」と「仕組み」で再現性のある強みを作らなければ、グローバル化、少子高齢化の時代に生き残ることは難しくなっています。
たとえば、簡易水質測定器を使った日常管理も、デジタル化による履歴管理と組み合わせることで異常早期発見に威力を発揮します。
また、省エネルギーの観点からも、ポンプやブロワのインバータ制御、自動流量調整、遠隔監視システムの導入が進んでいます。
こうした最新技術と、現場の地道な点検・カイゼンを両輪で回すことが求められています。
グローバルスタンダードと日本の工場
近年、「ISO14001」「SDGs」など国際的な取り組みとの連動が求められる中、水処理の分野も例外ではありません。
外国人ワーカーが多くなる、グローバル企業との連携が増える——そうした中で、現場のナレッジを「見える化」することも事例として重要になっています。
標準作業手順(SOP)の整備、品質トラブル事例の共有、設備のKPI(日常運転指標)の定量的評価など、データドリブンな運用へと進化が急がれます。
一方で、日本の現場が培ってきた細やかな「気づき」は他国の模範でもあります。
グローバルスタンダードと職人的ノウハウのハイブリッド、これこそが日本の製造業が水処理技術を通じて発展できる新たな地平線です。
まとめ:これからの水処理技術活用のポイント
製造業の現場において、水処理は「利益確保」「品質保証」「社会価値向上」の三拍子そろったキーテクノロジーです。
単なるコストでなく、経営力強化の柱に据えるべき分野と断言します。
今後注目すべきポイントをまとめます。
– デジタル・自動化推進=「データ」を起点にした省人化・見える化
– LCC(ライフサイクルコスト)の重視=導入+運用+メンテの総合評価
– サプライヤー/バイヤーの対話力向上=現場課題と科学的根拠の融合
– 環境配慮・リサイクル・3Rといった長期目線
– グローバルスタンダードと日本の現場力の融合
この記事が、製造業に携わる方、バイヤーを目指す方、サプライヤーの方々の現場改善やキャリア発展の一助となれば幸いです。
水処理の現場には、まだまだ昭和的な課題も多く存在しますが、一歩踏み出せば大きな競争力を獲得できる分野です。
一緒に未来を切り開いていきましょう。
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