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経営層がイメージできない提案が無視される失敗談

目次
はじめに:現場の提案が経営層に届かない理由
製造業の現場には日々、多くの課題と、その改善策が生まれます。
しかし、いくら現場視点で実直に考えた提案であっても、経営層の承認が得られずに却下されてしまう――そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
これは製造業特有の「昭和の価値観」が根強く残る、日本の大企業ならではの現象だとも言えます。
本記事では、現場が経営層に提案を上げたものの、「経営層がイメージできない」という理由で無視・却下された実例や、その背後にあるメカニズムを深堀りします。
また、経営層と現場の思考のギャップを埋めるための工夫、提案が採用されやすくなるポイントも解説します。
調達購買、生産管理、品質管理など各分野のプロセスにも言及し、バイヤーやサプライヤーなど立場の異なる方にも役立つ知見をお届けします。
失敗例1:現場の自動化提案が「夢物語」と片付けられた理由
生産性改善のための自動化提案が現場で却下された話
ある中堅製造業の工場で、生産担当者がロボットアーム導入による工程自動化を提案しました。
計算上は人手作業時間が30%削減でき、導入費用も2年以内で回収できる見込みでした。
しかし、経営層からは「本当にうまくいくとは思えない」「もっとコスト削減策はないのか」と却下されました。
理由は、そもそも経営層にとって「現行工程がどう回っているか」実態が十分にイメージできていなかったことに加え、自動化投資そのものの効果が“実感として”湧かなかったことです。
イメージできない=経営層へのリスク説明が不足しているサイン
経営層は「分からないもの」に投資するのを嫌います。
特に、自分たちが過去経験したことがない技術や現場レベルの細かなノウハウが要求される施策ほど、「失敗したらどうする?」という心理的ハードルが高くなります。
現場から見ると「なぜ分かってくれないんだ」と感じてしまいますが、これは実は「現場と経営層の情報・認識の隔たり」による構造的な問題です。
失敗例2:品質管理のデジタル化が「現状維持主義」に潰された話
紙の検査記録からデジタル管理への提案が却下された理由
品質管理グループのリーダーが「紙で行っている検査記録をすべてデジタル化し、リアルタイムで集計・分析できるシステムを導入したい」と上申しました。
現場の課題やヒューマンエラー発生率、ペーパーレス化によるコスト削減効果も数値で丁寧に説明しました。
しかし、経営層から出た言葉は「うちの現場はずっとこうやってきた。混乱が起こると困る」「システム入れ替えはもう少し様子を見てから」でした。
経営層の「現状維持バイアス」と製造業のアナログ文化
製造業の大手であればあるほど、運用歴の長い“アナログ業務フロー”に強い愛着があります。
経営層の多くが「安定した稼働こそ最優先」という文化に身を置いてきたため、未知のシステム導入によるトラブルや現場混乱への警戒心が非常に強いのです。
「今困っていないことはリスクを冒してまで変えない」という考え方は、まさに昭和以来のものだと言えます。
なぜ経営層は現場提案をイメージできないのか
1.現場の“肌感覚”と経営層の“数値思考”のギャップ
多くの現場担当者が抱く「目の前の問題を解決したい」という熱意と、経営層が求める「全体最適」「数字で説明できる根拠」には明確な断絶があります。
たとえば、月々の製造コストがいくら下がるのか、投資回収期間がどうなのか、社内外への波及効果はどこまでか――これらを丁寧に“見える化”しなければ、経営層は「イメージできない」状態のままです。
2.「自分ごとになっていない」から伝わらない
経営層が最も考えているのは「会社全体としての安定」や「調達・販売・技術すべてを貫く長期リスク」です。
現場目線の課題解決提案も、「自分(経営層)にとってどんな価値・利益があるのか?」がクリアに伝わらなければ、優先順位が低くなりがちです。
逆に言えば、「経営層の悩みごと」「経営層の関心ワード」に寄り添った提案こそが、実際に動かす力を持つのです。
経営層の「守り」にどう対応するか?ラテラルシンキングで考える
提案書は「ゴールからの逆算」で仕掛ける
経営層が“イメージできない”要因は、現場の視点から出発した説明がほとんどで、最終ゴールや全社戦略との接点が見えづらい点にあります。
「この施策は会社の事業計画・経営目標にどう貢献するのか」
「他社事例や業界動向から見て乗り遅れたときのリスクは何か」
「10年後の組織力・収益力にもメリットが及ぶ」など、“逆算型”で訴求しましょう。
導入の「段階的小試し」を具体的に設計する
一気にすべてを変えようとせず、小さく始めて経営層が結果を体感できるような「パイロット導入案」を用意しましょう。
「まずは一工程・一部門でテスト運用→効果検証して段階的に展開」の流れを示すことで、心理的な抵抗も緩和できます。
「経営層の数字」に寄り添った資料作りが決め手
現場の勘と経験は重要ですが、最終判断に必要なのは具体的な数値です。
「生産コスト削減効果」「投資回収期間」「エラー低減率」など、経営層がKPIとして重視する指標に沿ったエビデンスを揃えましょう。
また、「失敗時のリスク」「うまくいかなかったときの撤退基準」も明確に盛り込むと、経営層の安心材料になります。
「買い手」と「売り手」の論理を理解する
調達購買業務の場合、サプライヤーからの新提案や改善提案も、「バイヤー(買い手)」の立場を熟知した説明が欠かせません。
バイヤーが何を重視し、どんな評価軸で判断し、どこにリスクを感じているか。
このポイントを押さえたうえで、「御社の課題解決に直結する提案です」と明確に打ち出す工夫が、採用率アップにつながります。
実践的アドバイス:バイヤー志望・サプライヤー向けの提案術
バイヤー視点の「NEEDS分析」で切り込む
製造業のバイヤーが求めるのは、
「いかにQCD(品質・コスト・納期)で不満がないか」
「サプライヤーとして本当に信頼できるか」
「どんな新しい価値をもたらしてくれるのか」です。
したがって、サプライヤー側は
「なぜ自社が選ばれるべきか」
「現場課題にどうコミットし、成果に直結させるか」のストーリーを数値と証拠で示しましょう。
現場の声と経営層の視点を“翻訳”して提案に盛り込む
現場の「ものづくり目線」と、経営層(もしくは顧客の経営責任者)の「経営効率・利益追求目線」。
この両者の間を“翻訳”するのが、実はプロのバイヤーや提案型営業の腕の見せどころです。
現場ニーズを経営メリットにまで落とし込んで筋道立てて伝えることで、採用される確率が格段に上がります。
まとめ:提案が採用されるかどうかは「相手の立場」をどれだけ想像できるかで決まる
経営層がイメージできない提案は、多くの場合「現場の目線から出てきただけ」か、「経営層にとってのメリットやリスクが可視化できていない」ことに起因します。
成功するためには、
・ゴールから逆算したプレゼン設計
・段階的小試し案とエビデンスの提示
・数字で語るエグゼクティブサマリー
・相手のニーズや痛みにピンポイントで寄り添う熱意
――こうした工夫が欠かせません。
本記事が、現場で奮闘するすべての製造業従事者やバイヤー志望者、サプライヤーの方々にとって、明日から活かせるヒントになれば幸いです。
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