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投稿日:2025年7月4日

経営層を納得させる研究開発テーマ提案とデータ可視化手法

はじめに:製造業における研究開発テーマ提案の重要性

製造業の現場では、激化するグローバル競争や市場変化、新技術の台頭といった波が絶え間なく押し寄せています。

その中で、研究開発(R&D)は競争優位性を築くための切り札として注目され続けています。

しかし、現実の現場で「面白い」と思えるテーマや革新的なアイデアを経営層に提案しても、なかなか採用に至らない――そんな壁に直面した経験は多くの方が持っているのではないでしょうか。

本記事では、現場目線で培った知識と経験をもとに「経営層を納得させる研究開発テーマの提案方法」と「データの可視化による説得力向上手法」を徹底解説します。

昭和時代から続くアナログ文化の中で、なぜ今、データと論理的なプレゼンが不可欠なのか。

バイヤー・サプライヤー双方の立場でも活かせる実践的な知見をご紹介します。

現場あるある:なぜ研究開発テーマ提案が“通らない”のか?

現場と経営層の視点ギャップ

多くの現場リーダー、バイヤー、開発エンジニアが研究開発テーマ案を経営層に提案する際、こんな経験がありませんか。

・「現場感覚では明らかに必要だけど、なぜか首を縦に振ってもらえない」
・「顧客やサプライヤーからの要望には応えたいが、コストやROIの壁に阻まれる」

その背景には“現場と経営層の視点ギャップ”があります。

現場は「どう実現するか」「どんな技術か」を重視する一方、経営層は「事業成長に結びつくか」「投資対効果はどうか」といった経営全体の視点=ビジネスインパクトを強く重視します。

提案内容が抽象的・感覚的になりがち

情熱や現場目線だけでは、経営層への説得材料として不足しがちです。

「この開発はお客様のために必要です」「最新技術を使えばきっと売れる」という抽象論や希望的観測では、経営判断を動かすには力不足です。

経営層は“意思決定のための定量的・客観的根拠”を求めているのです。

経営層を動かす提案のために必要な3つの視点

1.経営的インパクト(利益性・成長性・競争優位性)

経営層は「その研究開発が会社の売上や利益、市場シェア、長期的な競争力向上にどう貢献するか」に最大の関心を寄せています。

下記のような切り口でストーリーを組み立てましょう。

・本テーマの実現で見込める収益インパクト(市場規模、シェア拡大、新規顧客獲得)
・コスト削減や生産効率向上による利益貢献
・他社との差別化、新たな市場参入への期待

2.実現可能性(リソース・技術力・リスク分析)

「ほんとうにウチの会社でできるのか?」という現実感も重視されます。

・必要な技術レベルや開発リソース
・想定リスクとその回避策
・スケジュール、マイルストーンの具体性

理想論だけではなく、現場目線の実現シナリオを示しましょう。

3.意思決定しやすい客観データ・可視化

経営層は膨大な案件を限られた時間と情報で判断するため、“直感的で客観的な可視化”がカギです。

・一目で分かるグラフ・チャート
・他案件との優劣比較(ベンチマーキング)
・リスク&リターンのバランス

これらの要素を網羅することで、「数字で語れる提案=稟議が通りやすい提案」に進化します。

提案力を高めるデータ可視化手法(現場発!実践例付き)

1.ROIシミュレーションの作成(投資対効果)

「その開発投資がどれだけのリターンを生むか」を見せることが、経営層の最大の関心事項です。

現場で実践しやすい方法として、「ROI(Return on Investment)シミュレーション表」を推奨します。

【作成ポイント】
・初期投資額(人件費・設備・外注費)
・開発後の売上見込み、新規市場規模、ランニングコスト削減効果
・回収期間(Payback period)

【実践ヒント】
ExcelやPowerBIを使えば、数値入力だけで直感的なグラフ化が可能です。
シンプルに「縦棒グラフで年次利益増加イメージ」「回収期間を線グラフで可視化」がオススメです。

2.ビフォーアフターの因果関係を図解化

「新技術を適用することで何が変わるのか?」を明示することは、経営層理解を得る最短ルートです。

現場発で説得力ある「ビフォー&アフター」の図解を取り入れましょう。

【事例】
・設備自動化による歩留まり改善=ムダ削減チャート
・購買プロセス見直しによる調達リードタイム短縮=ガントチャート
・品質向上によるクレーム件数推移=棒グラフ

【現場Tips】
「現状の課題データ」と「改善後の目標値」をセットで出すことで、費用対効果の“ストーリー”が生まれます。

3.リスクマップによる意思決定の後押し

昭和時代から続く「せっかくの新提案も“失敗リスク”を恐れて却下されがち」という文化も根強く残っています。

そこで有効なのが「リスクマップ(リスク可視化表)」です。

【実践例】
・“技術的リスク×発生確率×インパクト”を2軸または3軸マトリクスで整理
・回避策・対策プランもセットで提示

【ポイント】
「リスクが見える=安心感」「想定以上にリスク低減プランがある=実践的」に映ります。

業界動向を踏まえた“昭和的アナログ文化”の打開策

なぜいまだにアナログ文化が根強いのか

日本製造業の現場では、いまだに紙の承認、会議資料の大量出力、データの手計算、根拠は“経験と勘”という昭和の香りが色濃く残っています。

この背景には「ミスが許されない現場」「前例踏襲型の意思決定フロー」「縦割り組織」「ITリテラシーの格差」など構造的問題があります。

打開するカギは“データの小さな成功体験”積み重ね

一度に全部をデジタル化・可視化するのは難しくても、「目先の課題」「小さなテーマ」から数値化・グラフ化を試すことで現場も経営層も徐々にメリットを体感できます。

現場でよくある一歩進める小手先テクニックは以下の通りです。

・手書き集計データ→Excelグラフ化だけでベテランの心を動かす
・紙の会議資料→OneDrive保存&PowerPointで図解にして印象度UP
・工程改善提案書→表計算&図解で「なぜ今やるべきか」を明確化

「小さな成功体験→現場浸透→経営層納得」この流れを作ることで、組織文化も徐々に変革していきます。

バイヤーやサプライヤーの立場で考える“経営層への伝わる資料術”

製造業のバイヤーやサプライヤーにとっても、経営層や上位意思決定層に「なぜこの仕様(提案)が有効か」を納得してもらうのは共通の課題です。

ポイントは“客観的な事実”と“事業へのインパクト”をセットで示すこと。

【例】
・コスト低減だけでなく、サプライチェーン全体最適を図るためのデータ
・品質管理強化が顧客満足やリピート率向上につながることのエビデンス
・サプライヤーサイドから「安くする理由」ではなく「価値を高める根拠」を提示

現場発の生々しいデータや実測値は非常に説得力を持ちます。

原材料価格の推移や調達リードタイムの変動推移、自社だけでなく市場全体の動向も資料化し、エビデンスを“見せる力”で差別化を図りましょう。

まとめ:研究開発テーマ提案の勝ちパターンとは

研究開発テーマの提案や新規プロジェクトの稟議には、現場起点の課題意識だけでなく、事業成長や組織変革の視点が必要不可欠です。

経営層(マネジメント)が納得する提案の“勝ちパターン”は――

・経営視点のインパクトと客観データでストーリーを作る
・ROIやベンチマークデータ、ビフォーアフターの図解で直感的に訴える
・リスクも包み隠さず提示し、現実的な実現可能性を説明する
・昭和的なアナログ文化を“ちいさな成功体験”で変革していく

現場、管理職、バイヤー、サプライヤー――どの立場でも、“数字とデータで語れる人材”が今、製造業界で圧倒的に求められています。

皆さんもぜひ、実践的なデータ可視化と論理的解説力で、「次の時代の研究開発テーマ提案」へ一歩踏み出してみてください。

きっと、現場からの声が経営層を動かし、製造業の新たな飛躍の原動力となることでしょう。

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