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新防爆規格と規格に対応した防爆機器設備の設計技術

目次
はじめに:防爆規格の最新動向と現場ニーズ
製造業における安全対策、とりわけ危険物質や可燃性ガスを扱う現場では、防爆対策が欠かせません。
近年、グローバル化や新素材、新エネルギーの登場によって、製造現場も高度化が求められています。
これに呼応する形で、防爆関連の規格は国内外で次々と改定・新設されてきました。
本記事では、最新の防爆規格と、実際の設計現場で求められる防爆設備設計技術について、現場目線と業界全体のトレンドの両面から深掘りします。
昭和から根付く“慣習”と、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が同居する、いわゆる「アナログ業界」でも実践できる解決策も提示します。
防爆規格とは何か:求められる背景とその種類
防爆規格は、爆発危険性のある環境での電気・機械設備の安全基準を定めるルールです。
世界全体では「IEC規格」、日本では「技術基準適合認定(TIIS)」や「防爆指針」があり、北米の「NEC(National Electrical Code)」、ヨーロッパの「ATEX指令」など、地域ごとに細分化されています。
特に日本では、従来の「本質安全防爆」「耐圧防爆」「内圧防爆」などが工場現場で主に採用されてきました。
一方で、グローバル調達やグローバル生産の流れを受けて、IECExやATEXといった国際規格への対応が急務となっています。
最近の規格動向
近年、防爆機器に関する規格要求事項は「より詳細・かつグローバルに」なっています。
例えばIEC 60079シリーズの最新動向、ATEX 2014/34/EU(旧94/9/EC)の適用範囲拡大などです。
日本国内でもJIS規格が国際整合の流れで見直されています。
従来“日本独自”で済んでいた設計・運用ポイントがグローバル調達では通用しないケースが増えてきたため、現場の設計や調達バイヤーにも新たな知識が不可欠となってきています。
現場における防爆規格対応の課題(アナログからの脱却は本質命題)
防爆規格対応の本質的な課題は「理解・解釈・実践」という3段階に凝縮できます。
1. 規格要求の高度化・複雑化
新しい規格や国際規格は非常に専門性が高く、従来の現場リーダーや管理職だけで“読み解く”のが困難になっています。
現場では「とりあえず日本のTIIS通ってればOK」から、「グローバルな監査・顧客監査でも説明できる設計思想」へとシフトが要求されています。
2. アナログ管理の限界
多くの工場では、図面の改定や施工記録が紙ベースのまま。
設計変更に追従できず、古い規格で据付・運転している事例が根強く残っています。
特に昭和期の工場や「ベテラン依存」が強い工場では、防爆施工・保全のノウハウも属人化しやすいです。
3. 設備ベンダーとの共創体制の不足
防爆機器・施工への理解が不十分なまま、価格や納期だけで調達して「現場で装置が止まる・通らない」といった事故例も。
バイヤーとサプライヤーの意識・知識格差を埋めるアプローチが極めて重要です。
設計現場で求められる「防爆適合性」の新常識
防爆規格に準拠する最短ルートは「現行要求事項を正しく把握し、現場仕様に噛み砕いて落とし込む」ことです。
そのためには、設計者(エンジニア)・バイヤー・サプライヤーが一枚岩になることが不可欠です。
まずは危険場所分類の見直しから
大前提として、「危険場所分類」は規格準拠の第一歩です。
これが間違っていると、その後のすべての設備設計・選定が無意味になります。
ガス・蒸気(ゾーン0・1・2)、粉じん(ゾーン20・21・22)など、実際の原料や工程変化も踏まえて、最新のリスク評価を行う必要があります。
アナログ業界では「昔の図面ありき」から脱却する思い切りが重要です。
防爆設備の適正仕様の決め方
従来は耐圧防爆(Ex d)、本質安全防爆(Ex i)のように、すでにシステムに合うものを“カタログから選ぶ”だけでした。
しかし、最新規格下では「使用温度クラス」「保護等級」「ケーブル接続形態」「メンテナンス頻度」「部品の互換性」など、より詳細な仕様検証が必要です。
たとえば…
– 海外子会社でもメンテナンスできる分解性・互換性
– IoT対応による“見える化”要件
– 高分子材や複合材を使った次世代設備の保護要件(耐薬品性や帯電防止性)
これらはいずれも「規格上のグレード」だけでなく、現場プロセス全体でのライフサイクルコストを視野に設計することがポイントです。
防爆設計の実践:最新事例とヒント
1.多機能型防爆ケーブルグランド
防爆設備の故障・トラブルで意外と多いのが「ケーブルグランド部」の浸水、腐食、誤配線です。
最近は、「ATEX適合」「IECEx同時取得」の多機能型グランドを装置メーカーの段階で標準採用するケースが急増しています。
また、日本工場でもこれを使うことで「グローバル転売」や「海外監査」時のアドバンテージが生まれます。
2.IoT・DX時代の防爆モニタリング
粉じんゾーンや高爆発危険エリアでも「現場の状態を遠隔監視」できるIoT対応の防爆センサ、ネットワークカメラが増えています。
これらは本質安全防爆方式や光通信方式を採用しつつ、クラウド連携も可能。
昭和的な「毎日見回り」から「異常時のみ遠隔通知」への変革例として現場の生産性を大きく押し上げます。
3.グローバル調達への標準化対応
日本の設計現場で「日本規格しか通っていない機器」を使用していたため、欧州/北米/中東など多拠点展開時に思わぬ再設計コストが発生する事案が増えています。
初めから「IECEx/ATEX適合品」を標準仕様化することが“世界市場で負けない工場”の合言葉です。
BOM(部品表)管理でも、規格明細まで“見える化”することで設計変更・緊急調達時の手戻りを防げます。
サプライヤー、バイヤー双方向で取り組むべきポイント
バイヤー視点で防爆機器・設備を調達する際は、以下の点に注意する必要があります。
– 必要な規格適合(日本/IECEx/ATEXなど)を仕様書段階で明記する
– 設計変更やライフサイクルコストも踏まえて見積もる
– 保守・運用・点検サービスまで含めた価格交渉を行う
– サプライヤーの認証・納入実績をチェックし、現場監査できるようにする
一方サプライヤー側も、「製品スペック」だけでなく「現場が何に困っていて、どう解決できるか」「どのような現場運用負荷を減らす提案ができるか」まで踏み込むことで、次世代要求に応えるパートナーとなれます。
防爆規格対応の今後と進化するエンジニア像
防爆規格のトレンドは、引き続きグローバル化、デジタル化、安全性・環境配慮の方向に進みます。
昭和から続く“属人管理”“アナログノウハウ”から、「誰もが安全・簡便に使える」システム化、ノウハウの共有・標準化がますます強く求められます。
エンジニアやバイヤー、現場管理職は…
– 進化する規格知識をキャッチアップし続ける
– 社内外のコミュニケーション能力を磨く
– 誰もが“安全・安心を担保”できる仕組みづくりを主導する
こうした「新たな地平線」に挑戦できる人材が、これからの製造業を担う存在になるでしょう。
まとめ:防爆規格と現場設計の進化を自分ごとにする
新防爆規格の理解・対応は、安全と品質の根幹を支え、グローバル競争で勝ち続ける大きなポイントです。
かつての「慣例」や「ベテラン感覚」だけに頼らない、現場を進化させる推進力として、あなた自身の現場で規格対応・設計力強化を本気で自分ごと化してください。
「安全・安心の新たな地平線」を切り拓くのは、現場と設計の両輪で挑戦する一人ひとりの情熱と実践力です。
製造業が大きく変わろうとしている今こそ、現場から新しい防爆対応の時代を作り上げていきましょう。
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