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投稿日:2025年5月12日

トマトピューレを活かした新商品開発の進め方と成功事例

トマトピューレを活かした新商品開発の進め方と現場のリアル

トマトピューレは、その濃厚な旨味・鮮やかな色合い・安定した品質から、食品業界の多様な新商品開発において重要な原材料です。

しかし現場では、昭和のアナログ工程に根ざした意思決定や開発プロセスが根強く残っているのも事実です。

本記事では、「トマトピューレ」を中心とした新商品開発を、製造現場一筋で培った知見や購買・生産・品質管理の観点から、実践的なノウハウと成功事例を交えてご紹介します。

現場目線での課題と解決案、そして明日から活かせる発想のヒントもお伝えします。

製造現場が抱える新商品開発のリアルな課題

開発スピードと現場の温度差

企画会議で「トマトの新商品の需要が来ている」「市場トレンドを追おう」と立案されても、現場では素材調達や設備適正確認等で時間ギャップが生まれがちです。

特に、トマトピューレのように季節変動や産地ブレがある素材では、計画通りにいかないことが多いです。

この温度差を埋めるには、現場と営業、調達が一体となってリードタイムやトライアル回数を早期にすり合わせる意思疎通が不可欠です。

購買目線:サプライヤーとの距離感、コスト・安定供給の重要性

トマトピューレは調達先によって味・粘度・色味が異なるため、商品の方向性と品質のバラツキ許容度を明確にする必要があります。

バイヤー(購買担当)は、コストだけに囚われず、現場への安定供給・品質保証・フレキシビリティという要素を天秤にかけ、サプライヤーとの関係性構築に努める必要があります。

取引先の工場見学を実施し、生産工程を目視で確認することも、日頃のアナログな現場づくりには欠かせません。

トマトピューレ新商品開発の流れと成功ポイント

1. トレンド分析・企画立案

まずは、市場ニーズや世間のトレンド(例:健康志向、発酵食品人気、ビーガン需要など)を的確に捉え、トマトピューレが貢献できる新商品企画を立案します。

現場の視点を加えると、季節商品の提案や製造設備の遊休時間帯を活用した新商品開発など、意外な切り口も見えてきます。

ラテラルシンキング(水平思考)で、「トマトピューレはソースだけでなく、デザートやベーカリー、調味料、発酵食品にも応用できるのでは?」と、固定観念から一度離れてアイデア拡張を図りましょう。

2. 原料選定・サンプル検討

トマトピューレは、産地や品種、製法によって「糖度」「酸味」「粘度」に大きな幅がある原料です。

サプライヤー複数社からサンプルを取り寄せ、品質検査(理化学/官能両面)や社内試作を繰り返します。

製造現場のメンバー(オペレーター・機械担当者)が参加することで、「現場適性」すなわち加熱耐性・ラインの洗浄性・瓶詰め時の作業性など、後々の“つまづきポイント”を事前に見抜くことが可能となります。

3. 製造プロセスの最適化

ピューレは粘度が高く、伝熱特性や混合性が通常の液体と異なり、昭和からのレシピや機械設定が通用しないケースも多々あります。

生産管理の担当者と共に、撹拌方法・加熱時間・原材料投入順序・ライン流量等を再設計し、トライ&エラーを回して最適化を図ります。

設備トラブルを未然に防ぎ、不良率やロスを削減することが安定供給・コスト低減への近道です。

4. 品質管理・保存・物流の工夫

トマト由来のリコピン色素は、保存温度やpH、光の影響で変色が発生しやすいのが難点です。

品質管理チームと連携し、光遮断包装や低温物流、賞味期限の表示条件等を適切に設定することで、エンドユーザーに届くまで品質を守ります。

冷蔵輸送やロット管理を徹底した上で、「何が起きてもトレーサビリティOK」の体制を整えることも今や必須です。

昭和型アナログ業界が直面する壁と突破口

属人化した知見の棚卸しと標準化

古参の現場担当者にノウハウやコツが集中している場合、その人が退職・異動した瞬間に品質トラブルや生産能力低下が起きがちです。

紙ベースのレシピや手順書だけに頼るのではなく、デジタル化や動画記録による工程の『見える化』を進めていくことが今後の“最も強い競争力”となります。

現場からのボトムアップ提案力こそ製造業の武器

開発現場では、「トップダウン」の新商品指令が圧倒的につよい一方、現場スタッフのボトムアップな気付きを商品に活かせていない企業も多いです。

ピューレ缶の洗浄工程の無駄、廃棄物削減策、機械の自動化アイデアなど、現場ならではの知恵を吸い上げられる仕組み作り(小集団活動・改善提案表彰等)が、じつはイノベーションの源泉となります。

トマトピューレ商品開発の成功事例

成功事例1:地方老舗メーカーの冷凍ピザ新開発

昭和から続く中小食品工場が、地元農家直送の無添加トマトピューレを生地に練り込み、鮮紅色の「冷凍ピザベース」を開発。

最初は現場から「変わったことはやりたくない」と反発もありましたが、現場のベテランが「低温混練装置の回転数やピューレ投入順序の実験」を繰り返し、滑らかな食感と退色しない商品化に成功。

農家のストーリーをパッケージ化し、地元スーパーで売上2倍を達成。

開発→調達→現場→営業→品質保証が“顔の見える連携”で動けたことが大きな勝因でした。

成功事例2:大手メーカーのトマト発酵調味料

某大手調味料メーカーは、トマトピューレを乳酸菌発酵し、従来のケチャップやウスターソースとは一線を画す新調味料を開発。

現場の課題は「トマトピューレの糖度管理」と「発酵時間の安定化」でした。

精密化された品質管理手順を標準化しつつ、トマトピューレ供給サプライヤーと生産計画共有を徹底したことで、歩留まり向上と在庫ロス削減を両立。

健康志向ユーザーにもヒットし、販路拡大へとつながりました。

明日から現場で活かせる発想のヒント

・ピューレは副材料ではなく「主役」と捉え、既存設備でどう差別化や応用ができるかを現場発案で考える
・購買は「コストダウン」だけでなく、供給安定・取引先との協働開発を重視し、Win-Winの関係を作る
・ベテランの暗黙知は動画や写真でアーカイブし、若手への技術伝承と標準化を進める
・これまでにないジャンル(麺類、スイーツ、惣菜など)での応用を恐れず試作・検証する

まとめ:製造現場からトマトピューレ新商品の未来を拓く

トマトピューレを用いた新商品開発は、単なるトレンド追従ではなく、現場の知恵・調達と供給の安定化・品質管理、そして営業や消費者とのつながりが一体となって実現します。

新しいこと、前例のないことに正面から向き合い、ラテラルシンキングで商品の枠を超えて考えてみる。

アナログな現場とのギャップも含めて、開発プロセスに多様な声を巻き込むことが、結局は“続くブランド”と“真のものづくり力”を養います。

この記事が、製造業やバイヤー志望者、サプライヤー現場の皆さんの新たなチャレンジの一助となれば幸いです。

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